「ネオクラシックカー」という言葉が流行っている。
海外ではトヨタ2000GTや「ケンメリ」こと日産スカイラインをはじめとした、日本の「クラシックカー」が人気なのはいうまでもないが、実はいま、1980~90年代の「ネオ(=新しい)クラシックカー」においても、日本車はひそかに注目を集めているのだ。
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以下、ネオクラシックカーの人気の概要と、そのなかでも特に人気の高い3モデルを紹介したい。
文:吉川賢一 写真:NISSAN、MAZDA、TOYOTA
■なぜ今「ネオクラシックカー」が注目されるのか?
それはずばり、「バブル景気」に沸く時代に誕生した車だからだ。
現在はエコカーが主流となっているが、当時は自動車メーカーも消費者も、経済的に元気な頃。湯水のようにコストがかけられた、優れたパフォーマンスと独特のデザインを持った魅力的なクルマが次々にリリースされた。メーカー同士が競い合うようにいわゆるデートカーやスペシャリティカー、ハイソカーを世に送り出し、大いに盛り上がった時代だった。
バブル期に開発、生産されたモデルはコンセプトも装備も豪華
戦後間もなく作られた「クラシックカー」よりも信頼性があり、メンテナンスもしやすく、パーツもそこそこ世に出回っており、相場も落ち着いていて、うまくいけば極上コンディションの車が手に入る。
「最近のエンジンは燃費優先で細かく制御されているし、ミッションはみんなCVTだし、なんだか乗せられている感じがする…」と、今の「装備てんこ盛り」クルマに不満を持つクルマ好きがカタルシスを求めて、吸い寄せられるように手に入れる「ネオクラシックカー」。
そんな「ネオクラシックカー」から魅力的な3台をご紹介しよう。
■マツダ サバンナRX-7(FC3S)
サバンナRX-7(FC3S)は、1985年にサバンナRX-7の2代目として登場。プラットフォームが刷新され、リアサスペンションは独立懸架化、セミトレーリングアームマルチリンクとなった。
1985~1992年に生産されたマツダRX-7(2代目)
インタークーラーターボ付き13Bロータリーエンジンを搭載し、最大出力は185馬力を誇る。「プアマンズ・ポルシェ」などと言われたことでも知られるが、当時、動力性能はその「ポルシェ944」を上回るものだった。
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FC3S最大の魅力はシャープなコーナリング性能だった。ニュートラルステアではなく弱オーバーステアでピーキーな特性があり、シビアなコントロールをドライバーが楽しむ、という「玄人志向」なところに、マツダのこだわりを感じることができる。
■トヨタ ソアラ(Z30)
高性能なツインカムエンジンや最先端のハイテク装備満載で「ハイソカー」人気を牽引した初代・二代目に続いて、1991年に三代目として登場したソアラ(Z30)。エンジンは、セルシオにも搭載された1UZ-FE型4L、V8NA(260ps)と、1JZ-GTE型2.5L、直6ツインターボ(280ps)のモデルがあり、後者には4速ATに加えて5速MTも用意された。
1991~2000年に発売されたソアラ(3代目)。海外ではレクサスSCとして販売された。1996年にマイチェンを実施しており、これ以降が後期型と呼ばれる
サスペンションは4リッターモデルに電子制御サスペンションが採用され、後にアクティブコントロールサス仕様も登場。
全体的に丸みを帯びたデザインが特徴で、特にフロントライト周りのインパクトは半端ない。真正面から見るとフェンダー、ドアパネルがボリュームたっぷりに張り出しており、当時としては衝撃的なエクステリアだった。
[usedcar-search carname="ソアラ" limit="2"]
サイズも排気量も、先代から一回り大きくなったZ30ソアラだが、新車で300万円以上、一番高いモデルで700万円超など、その販売価格も同時に大きくなった。まさに「古き良きバブリー高級車の代表的な1台」といえるだろう。
■日産 フェアレディZ(Z32)
1989年、「スポーツに乗ろうと思う」というキャッチコピーのもと、フェアレディZの4代目として登場したZ32。国産車初の280馬力到達を実現したことでも有名だ。
1989~2000年に販売していたZ32フェアレディZ(4代目)。1998年にマイナーチェンジを実施し、その時点でコンバーチブルが廃止となった
堂々としたワイド&ローフォルム、ショートノーズで「グランツーリスモ」としての雰囲気を漂わせていながらも、ハンドリングを重視していた当時の日産らしく、四輪マルチリンクやスーパーHICASを採用し、スポーツカーらしい運動性能も持ち合わせていた。
実際、3L、V6ツインターボエンジンは、当時のスカイラインGT-Rを最大トルクで上回る日産最強のユニットだった。ラインナップは2シーターとTバールーフ搭載の2by2、手動の幌を備えるコンバーチブルという、まさに時代を反映したお手本のような車だ。
■まとめ
海外では古いクルマでも大事にされる文化があるが、残念ながら日本ではクルマを長く維持しにくい環境である。
気候もさることながら、「古いクルマは悪」と言わんばかりの日本の税制が、それに拍車をかけている(※一部東京都などでは(「1945年以前製造車」とハードルは高いものの)ビンテージカーに対して減免あり)。
どんどんと古いクルマを廃車にしていく動きは、本当に「エコ」なのだろうか。
ここにきて、日本の各自動車メーカーでは、この時代の純正部品を供給する動きが一部あるものの、それほど積極的とはいえず、旧車ユーザーへのケアや部品の再生産は自動車メーカーとしては「儲からないビジネス」なのかも知れない。
しかし、自動車文化を育てていくという意味では、こうした「ファンを大事にする」活動は、絶対に必要な活動であり、これこそが新たなクルマファンの獲得につながる活動だと考える。
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