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トヨタはなぜ、スープラを復活させたのか?──「儲からなければ儲かるまでスポーツカーを作り続ける」と、宣言した発表会

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トヨタはなぜ、スープラを復活させたのか?──「儲からなければ儲かるまでスポーツカーを作り続ける」と、宣言した発表会

2019年5月17日、東京都江東区にあるメガウェブでトヨタの新型「スープラ」の発表会がおこなわれた。

13時から始まった発表会では、冒頭に友山茂樹GAZOO Racing Companyプレジデントが登壇し、「躍動感を間近で感じて欲しい。何か熱いものが蘇ってくるのを保証します」と、話した。

新型トヨタ スープラ登場! 価格は490~690万円

ちなみに新型スープラは、2019年3月から予約注文受付がはじまったものの、多くのオーナーが殺到。結果、3.0リッター直列6気筒ターボエンジン搭載モデルの受付を取り止めていたことについて「大変申し訳ございませんでした」と、お詫びもあった。

しかし、「少しでも早く手に入れたいという多くの声を受け止めて、生産調整した結果、本日から受注再開しました」と、お詫びから一転、朗報が伝えられた。

「ひとりでも多くの人にGRスープラを持つ歓びを味わってもらいたい」と、友山プレジデントは述べる。

また、新型スープラはトヨタのトップテストドライバーだった故・成瀬弘氏の思いを汲んだモデルであることも友山氏より語られた。

トヨタ社長のトヨタ自動車株式会社代表取締役社長の豊田章男氏が登場するビデオでは、豊田社長の運転の師匠でもあった故・成瀬氏(2010年、事故により逝去)のコメントがいくつか紹介された。

成瀬氏は生前、「ドイツメーカーを見てみろ。(ニュルブルクリンクを)開発中の新型モデルで走っている。しかし、このコースでトヨタが勝負出来るクルマは中古(先代)のスープラしかない」と、豊田社長に語ったという。

この言葉が忘れられなかった豊田社長は「いつかスープラを復活させる」と、心に決めたそうだ。

そして2018年、復活した新型スープラのテスト車を、ニュルブルクリンクで実際に走らせた豊田社長は「成瀬さん、ついに、新型スープラでニュルに来ました……」と、心のなかで呟いたという。

新型スープラを使い、モータースポーツにも積極的に参戦していくという。2020年からは日本国内でおこなわれるハコ車レースの最高峰「SUPER GT」にも、新型スープラベースのマシンで参戦する計画だ。

また、バーチャルの世界(eスポーツ)でも新型スープラを使った大会をおこなうという。

「リアルからバーチャルまで、あらゆるシーンで戦う新型スープラの世界を楽しんで欲しい」と、友山プレジデントは話す。

また、2019年6月にはニュルブルクリンク24時間レースにも、新型スープラで参戦する。

友山プレジデントは「世界中のレースで存在感を示すのがGRの宿命である。それを、新型スープラが担う」と述べる。

新型スープラの魅力とともに、旧型スープラの魅力も友山プレジデントは語った。友山プレジデント自身も旧型スープラを今なお所有する。

今回の発表会では「GRヘリテージパーツプロジェクト」の立ち上げも同時に発表された。これにより、先代および先先代スープラのパーツが復刻・販売されるという(具体的な部品名は未公表)。

最後、友山プレジデントはスポーツカーを開発することについて熱い思いを述べた。

「スポーツカーは売れないといった冷ややかな目で見る人も多い。とはいえ、売れないからやめるというのはいかがなものか? 儲からなければ儲かるまで、売れなければ、買ってもらえるようになるまで、改善を積み重ねていくのが本来トヨタのあるべき姿であると思う」と、話した。

また、「クルマは五感で感じるものであることを継承しなくてはいけない。次の100年もクルマを徹底的に面白くしたい」とも述べた。

発表会に続いておこなわれたトーク・ショーでは、友山プレジデントをはじめ開発責任者の多田哲哉氏、レーシングドライバーの脇阪寿一氏などが登壇。豊田社長自らデザインしたオリジナルデザインのTシャツを着用していたのが印象的だった。

冒頭、BMWとの共同開発について、多田氏は「トヨタとBMWで、チームをふたつにわけてデザインや、ボディ関係などの開発を進めた。結果、すべてのテイストは独自に作っていった」と、述べた。

また、GRヘリテージパーツプロジェクトについて、脇坂氏は「ずっと、古いパーツを作って欲しいとリクエストしていた」とのこと。

なぜ、実現しなかったのか?  担当者は「型が捨てられている部品も多く、またコストも嵩むため、プロジェクトの立ち上げは大変だった。(トヨタ社内)周囲からも、プロジェクトに懐疑的な意見も多かった」と、話す。

友山プレジデントは「非効率なことをやらない会社なんですが……」と、前置きしたうえで「新型スープラが登場することになって、社内の空気が変わった。(旧型スープラの)『ドライブシャフトを作ろう』などといった声もあがったほどだ」と、社内の盛り上がりを話した。

友山プレジデントは続けて「もっと早くやってほしかったです。自分も、ライト類などの部品は、欠品の可能性があったのでキープしているぐらいですので」と、旧型スープラのオーナーであるがゆえの本音も述べた。

友山プレジデントは続けて「メーカーとオーナーが一体となって古いスポーツカーを大切にすべきである」と話す。

今回の発表会で、トヨタのスポーツ・カーに対する熱い思いがよくわかった。“次の100年もクルマを徹底的に面白くしたい”と、述べた友山氏の言葉に、期待したいと思う。

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