11月5日に行われた2022スーパーGT第8戦『MOTEGI GT 300km RACE GRAND FINAL』の公式予選。フロントロウには2台のホンダNSX GT3が並ぶ一方、セカンドロウ3番グリッドに4号車グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也)、そして4番グリッドに65号車LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗)と2台のメルセデスAMG GT3が続いた。
■Q1とQ2で違うタイヤを選択した初音ミク
衝撃のクラッシュに山内英輝が涙。「最後まで諦めない」とチームメイトの井口卓人と追い上げ誓う
予選終了直後、3番グリッドを獲得した4号車の谷口信輝は「今回はがセットアップなどを担当していたので、そのままQ1を片岡が走って僕がQ2という予定でした。なので僕は(公式練習では)ニュータイヤをまったく履いていませんでした」と明かした。
「でも、『僕でもQ1突破できるのじゃない?』となって、それで急遽Q1を走ることになりました。僕が頑張ってQ1を突破すれば、Q2では片岡がもっと上に行けそうだからということで」
ニュータイヤはぶっつけ本番という状況で予選Q1 A組に挑んだ谷口は1分46秒504をマーク。360号車RUNUP RIVAUX GT-Rの名取鉄平を0.142秒上回り、A組8番手でQ1突破という使命を果たした。
「正直、アタックをいまいち決めきれず『やべぇ』と思いましたね。でも、ギリギリ8番手で突破できて『よかった~』といか、ほっとしています」と谷口は笑みを覗かせた。
一方、公式練習でのセットアップの組み立てそしてQ2を担当した片岡龍也は「公式練習では、そこまでの手応えはなかったです」と明かした。
「そこからセットアップを変更して、Q2でウォームアップを行っているときに、路面が良くなったこともあってか、『ちょっと行けそうだな』という手応えを感じました」
「ただ若干硬め(のタイヤ)だったので、結構ギリギリまでウォームアップに時間を使って。最後にアタックしようと思っていたタイミングで赤旗が出ました。もし残り4分で再開と言われたら結構きついなと。ただ、残り時間5分で再開したのでよかったです。しっかりとタイヤを温めてアタックに行った結果、クルマのフィーリングが『公式練習が嘘みたい』というくらいよかったですね」
ようやく手応えを得たQ2では1分45秒170と、トップから0.372秒差で今季最上位タイとなる3番グリッドを獲得。しかし、片岡は「ただ、もっと決めることができていたら、もう0.1秒弱はあったかと思うので、2番手もいけたかなとは思うんですけどね」と悔しさも口にした。
3番グリッド獲得で、グッドスマイル 初音ミク AMGは第5戦鈴鹿以来となる今季2勝目も現実的な状況となった。決勝へ向けて片岡は「Q1とQ2で違うタイヤを選択していたので、抽選でどちらのタイヤが選ばれるかでも作戦は変わってくると思います。スタートのタイヤが決まったら作戦をチームで決めて、その結果、今季2勝目を狙えたらいいなと思っています」と語った。
なお、どちらかといえば「Q2の方が若干ロング目でも強いと思われるタイヤなので、そっちがいいなと思っています」と語った片岡だったが、ポールポジション会見で行われた抽選により、スタートタイヤはQ1タイヤと決まった。
■逆転タイトルの可能性を残すも「あまり考えていません」と蒲生尚弥
一方、4番グリッドにはドライバーズランキング8位の65号車LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗)が続いた。
Q2を担当したLEON PYRAMID AMGのエース、蒲生尚弥は「そつなく走れたかな、という感じです」と振り返った。
61号車SUBARU BRZ R&D SPORTのクラッシュにともなう赤旗中断がタイム、そしてタイヤに影響を与えた可能性について尋ねると、「アタック前だったので、タイヤも中途半端に使った感じでもなかったので、僕らにはあまり影響はなかったかなと思います」と明かした。
「コースとクルマの相性も悪くはないと思います。タイヤもすごく調子がよく手応えもあるので、なんとか最終戦は勝てたらいいのですけど。すべてがうまくいかないと優勝には届かないだろうという気もしているので、油断せずに頑張りたいですね」と、決勝へ向けても手応えがあると語った蒲生。
ランキングトップの56号車リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rから19ポイント差のランキング8位の65号車は、優勝(20ポイント獲得)のうえ、ライバルの順位次第ではシリーズタイトル獲得の可能性も残している一台だ。そしてタイトル獲得の可能性を残す6台の中でもっとも前方からスタートすることから、19ポイント差を跳ね除ける大逆転の可能性もゼロではない。
しかし、蒲生は「かなり低い確率なので、あまり考えてはいませんね」と、あくまで望みは決勝での優勝のみという。
「決勝のレースペースはおそらく……(上位勢は)どこも近いと思います。だからこそ、ピット作業を含めたチーム力の差で抜いていくしかないと考えています」
また、Q1を担当した篠原拓朗も「みんな速いとは思うので、優勝は簡単なことではないです。でも、とにかく自分たちはミスなく全力を尽くして、レースが終わったときにチームみんなが笑顔であることが理想です。ロングも問題はないと思うので、あとは周り次第……ですね」と語った。
フロントロウに並んだホンダNSX GT3、3列目に並んだランボルギーニ・ウラカン GT3は、もてぎでは過去に勝利を飾ったことがない。一方、メルセデスAMG GT3は最多勝となる3勝を挙げており、もてぎで圧倒的な勝率を誇る。それだけに、4号車と65号車の2台は、フロントロウに並んだ2台のNSXを差し置いて第8戦の優勝争いの中心となるかもしれない。
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