積算8389km 初代4シリーズよりワイドなM2
G87型BMW M2のボディサイズへ、すっかり慣れた筆者。最近は、特に大きいとは感じていない。
【画像】「盛りすぎ」感も漂う2ドアクーペ BMW M2 2から8まで 現行のMモデルたち 全203枚
しかし先日、とある駐車場で初代4シリーズ、F32型とニアミス。もはや、小さなクルマとは呼べないことを実感した。全長はほぼ同じ。フロントグリルが強調されているぶん、前からの姿はM2の方が断然大きく見えたほど。実際、全幅はより広いのだ。
積算9442km 2ドアクーペの割に広い荷室
M2のオーナーなら、週末は交通量の少ないエリアへ足を伸ばすことが一般的かもしれない。しかし先週末の筆者は、自宅を整理し、不要な物品をチャリティーショップへ持ち込むことで追われた。
ありがたいことに、M2の荷室は2ドアクーペの割に広い。開口部の底辺が狭いものの、実用性には感心させられる。軽くなった帰路では、寄り道して運転も楽しめる。
積算1万118km 航続距離はさほど長くない
バッテリーEVの長期テストで、テーマとなるネタの定番といえば、長くない航続距離と充電の手間だろう。現在のモデルが抱える弱みだけでなく、グレートブリテン島の充電ネットワークの不確実性が、大きく影響している。
内燃エンジンのモデルと比較して、1度のエネルギー補給で走れる距離が短いことは、最新のバッテリーEVでも課題。どうしても、充電器につなぐ回数は増えてしまう。
ところがBMW M2も、航続距離が長いわけではない。3.0L直列6気筒ターボガソリンの燃費は、カタログ値で10.2km/L。普段使いしている最近の平均値は、8.3km/Lでしかない。ガソリンタンクの容量も、52Lと小さめだ。
結果として、1度の給油で走れる距離は良くても450km程度。気持ちを鎮めて運転し続ければ、もう少し燃費は伸ばせるはず。しかし、M2のステアリングホイールを握っているのだから、それは簡単ではない。楽しまないなんて、もったいない。
比較的コンパクトなスポーツクーペだから、400km以上も走れれば充分とはいえる。それでも、この仕事をしていると長距離移動が必要な予定は多い。それが、何週間も続くことも珍しくない。ガソリンスタンドへ立ち寄り、給油へ費やす時間は増えがちだ。
ガソリンが少ない深夜に早く帰るには
バッテリーEVの充電と、決定的な違いはある。現状のグレートブリテン島では、ガソリンスタンドを見つける方が、急速充電器を見つけるより遥かに簡単。満タンになるまでの時間も、満充電になるより遥かに早い。
ただし、M2がお望みのハイオクガソリンは安くない。バッテリーEVで同じ距離を走れる電気代より、英国では高く付くことが一般的だ。
先日の夜に、グレートブリテン島南部のロンドン・ガトウィック空港へ向かう飛行機は、諸事情で遅れた。M2のタンクに残るガソリンが少ないことには気づいていたが、行きは渋滞が酷く、給油は帰り道にすることにしていた。
こんな状況の深夜で、早く自宅へ辿り着きたい時には、2つの選択肢がある。アクセルペダルを丁寧に傾けて、できるだけ効率良く走るか、急いで走れるだけ走って、途中でエネルギーを補充するか。バッテリーEVなら、間違いなく前者を選ぶだろう。
しかしM2なら、後者を選んでも間違いではない。スタートボタンを押してエンジン音を聞いたら、自ずとそうしていた。結果的に不慣れなガソリンスタンドへ立ち寄ったが、後悔することはなかった。
積算1万302km ありがたいバックセンサーとカメラ
2ドアクーペではよくある悩みだが、リアピラーが太くリアウインドウが小さく、トランクリッドの高いBMW M2はバックで気を使う。こんな時にありがたいのが、バックセンサーとカメラだ。
M2のそれは良く機能し、今のところヒヤッとした瞬間はなし。リアのオーバーハングが短く、クルマの後方には意外と広い空間も残る。先代よりだいぶ成長したG87型ながら、扱いやすいサイズだと思える。
テストデータ
気に入っているトコロ
ドライなサウンド:S58型の直列6気筒エンジンは、新しいM4より僅かにデチューンされている。それでも惚れ惚れする美声を奏でる。
気に入らないトコロ
実際の燃費:時間や天候を問わず、M2ではガソリンスタンドへ寄る回数が増えがち。
英国価格
モデル名:BMW M2 クーペ(英国仕様)
新車価格:6万2420ポンド(約1186万円)
テスト車の価格:6万6940ポンド(約1272万円)
テストの記録
燃費:8.3km/L
故障:なし
出費:なし
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4WDでもないのに…