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ジャガーXJにはドイツのプレミアムを脅かす「伝統に裏打ちされた先進性」があった【10年ひと昔の新車】

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ジャガーXJにはドイツのプレミアムを脅かす「伝統に裏打ちされた先進性」があった【10年ひと昔の新車】

2010年春、ジャガーXJが劇的な変貌を遂げて日本上陸を果たした。歴史あるブランドほど革新にためらいはないと言われるが、その激変ぶりは衝撃的だった。果たして新型XJ(X351系)はどのように受け入れられたのか。ここでは上陸間もなく行われた国内試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2010年6月号より)

XFとは違う造形で、よりハイレベルな高級感を演出
写真だけを見て、クルマのスタイリングについて語るのはよくないと改めて感じた。ジャガーXJの写真を初めて見たとき「XFによく似ているな。これではフラッグシップとしての面目が保てないのでは・・・」と思ったのが正直なところ。しかし、今回、実車を目の前にして驚いた。チーフデザイナーのイアン・カラムさんには、素直に「ごめんなさい」と言いたい。

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まずボディ全体から醸し出される迫力に圧倒される。XJはXFより165mm長く25mm幅広く5mm低いのだが、とてもその程度の差には思えない。ひとまわりも、ふたまわりも大きく感じる。ちなみにこのクラスでは最近、アウディ A8が新しくなったが、その全長は5137mm、全幅は1949mmでXJを上回るが、見た目の印象ではXJの方がかなり大きく感じる。

フロントからリアにまわるとさらに驚く。XFとはまったく違う造形で、よりハイレベルな高級感を演出しているのだ。XFのリアエンドが左右に伸びるスポーティなイメージなら、XJは上下に展開する有機的なラインで、ラグジュアリームードを高めている。

このスタイリングを目の当たりにすれば、ジャガーの伝統的なデザインを愛していた人たちも、その良さを認めざるを得ないのではないだろうか。アストンマーティンから移籍したイアン・カラムがまず手がけたのがXK、そしてXF、今回XJを仕上げて完成させたジャガーの新たなラインナップは見事と言うしかない。

さて、ニューXJは従来モデル同様にアルミ製モノコックボディを採用、さらにフロントエンドにはマグネシウムを採用するなどで、軽量化に磨きをかけている。車重は今回試乗したプレミアムラクシュリーで1850kg。アルミ製スペースフレーム構造を採用するニューアウディ A8と同レベルだ。

インテリアも洗練されている。空間の広がりを非常にうまく使っていて、メリハリがあるのだ。ドライバーズシートはあえてタイトにしてスポーティムードを高める一方、ダイヤル式シフトセレクターがあるセンターコンソール部分は幅を広くとることで、よりよい操作性と見た目の豪華さも演出するという具合だ。

また、斬新なのは全面液晶のメーターパネルだ。まるでゲーム機のようではあるが、ダイナミックモードにするとメーターリングが赤くなるなど、ドライバーに伝えるメッセージを直感的でわかりやすくすることに貢献する。

進化したアルミボディの恩恵でしっかりとした走行フィール
エンジンは従来の4.2Lから5Lへとスープアップ、385psの自然吸気版と、470ps/510psの仕様があるスーパーチャージャー付きの計3種を用意する。トランスミッションはこれまでと同じ6速AT。BMW 7シリーズやアウディ A8のようにZF社製の8速AT採用とならなかったのは惜しまれるところだ。

足まわりで特徴的なのは、フロントにコイル、リアにエアサスペンションを採用している点だ。これによってリアシートの快適性を損なわずに、スポーティでダイナミックなハンドリング性能を実現したという。また、エンジンの出力特性やトランスミッションの変速スピード、トラクションコントロールなどを総合的に制御するジャガードライブコントロールは全車標準装備する。

今回の試乗会は横浜みなとみらい地区をベースに行われたので、十分な走り込みはできなかった。しかし、市街地でのストップ&ゴーと都市高速での走行だけでも感じられたことはいくつかあった。

まず何よりも印象的なのはクルマが軽いということだ。これはアルミモノコックボディの恩恵だろう。従来モデルも軽快感があったが、ボディ剛性がアップしたためだろうか、軽快さとともに乗り心地に曖昧なところがなくなり、しっかりとした印象だ。また、今回は試す機会はなかったが、ハイスピードでのコーナリングでは前後重量バランスの良さ(前51:後49)も感じられるに違いない。

排気量アップとともに直噴化されたV8エンジンは、高回転までよく回りトルクの出方に大きな山はなくフラットな印象だ。8速ではなく6速ATであることは燃費の問題はさておき、都市部での走行フィール上は何らデメリットを感じさせなかった。

さて、高速道路やワインディングロードでのドライビングは次の機会に譲るが、今回の試乗だけでも言えるのは、ジャガーXJの総合力は相当に高いということだ。まず斬新で優雅なスタイリングはひとクラス上の豪華さを感じさせるし、軽量ボディと新世代直噴エンジンなどで実現した走りの良さも光る。

さらに価格設定も非常にリーズナブルだ。ドイツのプレミアムブランドも、うかうかしてはいられない。そして、もしこのクルマのことが気になるのなら、ぜひ実車を見てみることをおすすめする。(文:Motor Magazine編集部 荒川雅之/写真:永元秀和)

ジャガーXJ プレミアムラクシュリー 主要諸元
●全長×全幅×全高:5135×1900×1455mm
●ホイールベース:3030mm
●車両重量:1850kg
●エンジン:V8DOHC
●排気量:4999cc
●最高出力:283kW(385ps)/6500rpm
●最大トルク:515Nm/3500rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FR
●最高速:325km/h
●車両価格:1150万円(2010年当時)

[ アルバム : ジャガーXJ はオリジナルサイトでご覧ください ]

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