フルモデルチェンジした新型スバル「レヴォーグ」に今尾直樹が試乗した。運転支援システム「アイサイトX」など、見るべきところの多い新型の完成度は?
両手を組んで、首都高を走る
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そのとき私は新型レヴォーグの最上級モデル、「STIスポーツEX」のステアリングを握って、首都高1号線を横浜から東京方面に向かっていた。いや、正確に申し上げれば、そのときステアリングホイールは握っておらず、両手を組んで、アイサイトXのふるまいを注視していた。
師走の夕方のことで、1号線は渋滞していた。車両が停止し、しばらくするとエンジンが休止した。アイドリング・ストップが働いたのだ。ここまでは驚くにあたらない。ところが、前走車が動き出したその刹那、新型レヴォーグはエンジンをぶるんっと再始動し、自走し始めた。ドライバーの私はなんにもしていないのに。アイサイトX、おそるべし!
Hiromitsu Yasuiすごくないですか。静止していたクルマが自動的にエンジンをかけて走り始めたのだ。21世紀のロボット・カー。それもガソリン・エンジンの。ハイブリッドとかEVだったら、爆発と振動を伴わない、いわば家電製品の親戚みたいなものだけれど、コイツは違う。ガソリン・エンジン搭載のロボットだ。
続いて、渋滞の最中、「渋滞時ハンズオフアシスト」にはお世話になった。自動車専用道路上で、たとえば左右両方の車線をカメラが認識できているなど一定の条件を満たすと、0~50km/hの範囲でステアリングから手を離すことが可能になる、いわゆる自動運転に近いシステムである。ハンズオフが可能なときは、メーターナセル内の液晶のアイコンがグリーンからブルーに色が変わって知らせてくれる。
こんなことができるのは、新開発のステレオ・カメラに、前後4つのレーダーを組み合わせることで360度、監視する能力に加え、GPSと日本版GPSである「みちびき」などからの情報を高精度3D地図データと組み合わせて、自車の位置を正確に把握しているからだという。
このシステム、道がほぼまっすぐであれば、まったくもってなんの不安もない。前のクルマが速度を落とせば、こちらも落とし、加速すれば、加速して、「杉作、日本の自動運転の夜明けは近い」という、「笑点」で林家木久蔵、現・木久扇師匠のギャグを真似てつぶやくほかない。
中途半端ではぜんぜんなかった
私は謝りたい。最初、侮っていたことを。東京から横浜に向かうときには、ようするにアイサイトXのハンズオフ機能にピッタンコの渋滞に出逢わなかったのだ。0~50km/hに速度が限られているから、軽い渋滞にハマっても、前走車がびゅーっと加速し、50km/h以上のスピードに達してしまうと、取り残される。
その繰り返しが何度かあって「こんな中途半端な技術を称揚してどうする?」 と、思った。中途半端ではぜんぜんなかった。渋滞でこそ、ありがたいシステムなのだ。50km/h以上にならないでください。と願うほどに。
Hiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu Yasuiこうなると、渋滞も怖くない。両手が使えるのだから、ギターでもオカリナの練習でも、早晩できるようになるだろう。いまはまだNGだとしても。
前のクルマに置いてけぼりをくったときには、アニメの女性のような声で、こう教えてくれる。
「先行車、発進しました」
Hiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu Yasui最初はこの声になんの感情も抱かなかったけれど、だんだん官能的にも思えてきた。杉作。日本の自動運転の夜明けは近い。
ただし、臆病な私は「アクティブレーンチェンジアシスト」は試せなかった。自動車専用道路での高速走行時(70~120km/h)で、ドライバーが方向指示器を操作し、システムが作動可能と判断すると、ステアリングを制御して車線変更のアシストを行うというもので、メルセデスにも同様のシステムがあるけれど、ぶつかったらどうしてくれる。と、思うのである。
Hiromitsu YasuiHiromitsu Yasui懐かしい味わいがある
なお、クルマとしての新型レヴォーグは、機構的に共通点の多いはずの現行「インプレッサ」のワゴン版、というよりは、「WRX STI」に似ていると思った。ドイツ車的な骨太感がある。ボディの剛性アップが効いている。路面を踏みしだくような乗り心地もドイツ車っぽい。STIに採用されたZF製の電子制御ダンパーも、ドイツ車風味のプラスにつながっているにちがいない。
設計をゼロから見直したという1.8リッター水平対向4気筒直噴ガソリンターボは、希薄燃焼のレギュラー・ガソリン仕様で、最高出力177ps/5200~5600rpmは大したことないけれど、最大トルク300Nmを1600~3600rpmで発揮する。WRX STIのEJ20型ほどにはパワフルではないし、いかにもフラット4っぽいサウンドは発しない。希薄燃焼のせいか、音がガーガー、アヒルっぽい。最初、耳慣れない排気音に少々とまどった。
Hiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu Yasuiでも、これはいつの間にか慣れた。ボクサー・エンジンならではの異様なスムーズさと、低重心がもたらす安定感に「やっぱり、フラット4はいいなぁ」と、思うようになり、このエンジン形式にこだわるスバルの姿勢に共感と尊敬の念を抱いている自分に気づく。
CVTの制御もよくなっていて、トルクコンバーター式ATにかなり近い、自然なフィールを実現している。
Hiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu Yasuiこれは最新技術を用いてつくった、スバルWRXなのだ。と、私には思えた。だからこそ、日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考委員諸氏はこのクルマを2020-2021の大賞に選んだのではあるまいか。ハイブリッドでもなければ、EVでもない。ピュア・ガソリン・エンジンの、その意味では伝統的な、古いクルマである。運転しても、なんだか懐かしい味わいがあるのだ。
そこに最新の自動運転システムを組み合わせたのが新型レヴォーグで、つまりCOTY選考委員諸氏は、大局的には過ぎ去りゆくガソリン・エンジン車への惜別の念を隠すことができなかった。最後に花を送った、ということではあるまいか。
Hiromitsu YasuiHiromitsu Yasui2020年は、日本政府が2030年代半ばまでに国内で販売される新車はすべて「電動車」とする方向を打ち出し、日本自動車工業会の豊田章男会長が「電動車=EV」ではないと大手マスコミに対して注文をつけた年でもある。
新型レヴォーグはなるほど、2020年の日本を代表するクルマだったのだ。
Hiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu Yasui文・今尾直樹 写真・安井宏充(Weekend.)
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