岡山国際サーキットでスタートしたスーパーGTの公式テスト。初日の2セッションでは、GT500のトヨタGRスープラが軒並み下位に沈むような結果となった。
午前のセッション1では36号車au TOM'S GR Supraが3番手に入ったものの、その他の5台は11番手~15番手。午後のセッション2は39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supraの8番手が陣営の最上位であった。
■テストで好タイム連発のARTA……しかし手応えはイマイチ? 強力2台体制も「クルマが同じにならない」|スーパーGT公式テスト
もちろんテストのタイムシートだけを見てシーズンの勢力図を推し量るのは早計だが、トヨタ陣営は冬のメーカーテストからライバルに対してタイム上で後れをとっていたのは気になるところ。14号車ENEOS X PRIME GR Supraの山下健太も「例年であればトヨタがトップをとるときもありましたが、今はトヨタがトップをとれる雰囲気がありません」と不安を口にしていた。
ただ冬のメーカーテストに関しては、今季から導入されるカーボンニュートラルフューエル(CNF)を全車が使用していたわけではない。メーカーテストでは各メーカーにCNFが一定数支給されるにとどまっているため、従来のガソリンで記録されたタイムも多いと思われる。
そんな中で全車CNFを搭載して行なわれた岡山テスト。坪井曰く、CNFの影響かは分からないものの、トヨタ勢とライバルとのタイム差はメーカーテストの時よりも縮まっているような感触があるという。ただやはり、現状はトヨタ勢が好調とは言えず、危機感を感じざるを得ないようだ。
「初日午前の(3番手)タイムに関しては、僕たちもトラフィックがあった中でのタイムだったので、トップタイムも見えていました。そういう意味では悪くないと思っていましたが、その他のスープラ勢の苦戦や、午後のロングランやアタックの状況を見ても決してスープラ勢が好調とは言えないのかなと思います」
「タイム差だけ見ればメーカーテストよりも縮まっているように見えますが、実際(CNF導入によりパフォーマンス差が)縮まったかどうかは分からないです。ただタイムシートを見る限りは下に固まってしまっているので、危機感を持ってやっていく必要があります」
「順位通りの結果だと認識しているので、開幕までに色々詰めていかないと出遅れてしまうと思います」
36号車au TOM'Sは午前で3番手タイムを記録するも、12番手に終わった午後は路面コンディションの変化に伴うマシンバランスの変化に手を焼いた様子。僚友の37号車Deloitte TOM'S GR Supraも終日車両とタイヤのマッチングに苦しんでいたようで、そういう点ではトヨタ陣営にも“伸びしろ”があるようにも感じられる。
ただ37号車Deloitte TOM'Sの大立健太エンジニアは、ライバルに対してエンジンパワーの面でも後れをとっているとして、トップを狙うためにはエンジン、車体の両面での改善が必要だと語る。
「ドライバーも、クルマはまだまだ改善の余地があると言っていますが、とはいえあのトップタイムが見えるかというと、微妙なところですね。今のところクルマとタイヤをどれだけ合わせ込めたとしても、あそこまではいけないと思います」
「そこの最後の一押しの部分は、(エンジン開発を担う)TRDさんに頑張ってもらって押し上げていただきたいです。エンジンも車体も一緒になって押し上げていく必要があると思います」
坪井もトヨタ陣営が開幕から圧倒的な強さを見せるのは難しいと考えているが、36号車が陣営のトップになれるという自信は確かにあるようだ。
「スープラ勢は苦しい状況ですが36号車は極端に遅いわけではないので、スープラ勢の中で(一歩抜け出す)という意味では自信を持って良いと思います」と坪井は言う。
「他メーカーは速いのでなんとかしないといけませんが、他メーカーに対しては追い付きたくても追い付けない部分もあると思いますし、そこを言ってもしょうがないので、僕たちはできることをやっていきたいです」
「(開幕戦で)ぶっちぎれるような感じでは全くないですが、自分のアタックしたフィーリングとしては(ライバルは)見えない距離にはいないと思っています。タイヤチョイスやセットアップをミスしなければ、予選で良いところを狙えるのではないかと思っています」
なお2日目午前のセッション3では、19号車WedsSport ADVAN GR Supraがトップタイムを記録。36号車は2番手タイムを記録した。
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