現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【注目モデル試乗】世界で最も個性的な電動車。ロータリーを贅沢にも発電用に使ったマツダMX-30 Rotary-EVの気持ちよさ

ここから本文です

【注目モデル試乗】世界で最も個性的な電動車。ロータリーを贅沢にも発電用に使ったマツダMX-30 Rotary-EVの気持ちよさ

掲載 23
【注目モデル試乗】世界で最も個性的な電動車。ロータリーを贅沢にも発電用に使ったマツダMX-30 Rotary-EVの気持ちよさ

クルマ好きが高ぶるロータリーモデルが復活!?

 マツダMX-30・Rotary-EVを公道で試乗した。世の中にはいろいろなタイプの電動車が存在する。だが個性的なメカニズムという点でこれ以上のクルマはない。MX-30・Rotary-EVは、マツダが世界で唯一量産化に成功したロータリーエンジンを発電機として用いるシリーズ式のPHEVだ。

【注目モデル解説】11年ぶりにロータリー復活! マツダMX-30 R-EVはエンジニアの夢が結実した「努力のクルマ」だった!

 走行のすべてをモーターで駆動し、バッテリーのみで最大107kmの距離が走れる。そしてロータリーエンジンで発電した電力で既存の内燃エンジン車のように長距離走行もOKというオールラウンダーである。

 発電用ロータリーエンジンはゼロから開発した専用品。4500rpmで53kW(72ps)の最高出力と112Nmの最大トルクを発生する830ccのワンローターである。コンパクトな利点を活かし、高出力モーター、ジェネレーターと同軸上にエンジンを配置してフロントスペースに搭載している。これに17.8kWhのリチウムイオンバッテリーと50リッターの燃料タンクを組み合わせ、トータルで十分な航続距離とかつてないドライビングの世界を実現したのが特徴だ。

 走行モードはEV/ノーマル/チャージの3種。EVモードはバッテリーがある限りEVとして走りつづける。ノーマルモードではハイブリッド走行し、45%をメドにバッテリー残量が維持されるようにエンジンが自動制御される。チャージモードは、ネーミングどおりロータリーエンジンが起動し、積極的に充電を行う。バッテリー充電量は20~80%の範囲で自由に選べる。ノーマルモードでは45%に設定されているのに対し、20%まで選べる点が特徴だ。

 市街地をEVモードで走りはじめる。このクルマのBEVとしての真価を味わうためだ。アクセルを強めに踏み込んでも当然ながらエンジンがかかることはない。EV状態が維持されて、いたって静かで滑らか、十分に力強い走りを楽しむことができた。市街地を過ぎ、高速道路に乗って中~高速で巡行しても、それは変わらない。高速域でもパフォーマンスは十分。暴力的な加速感こそないが、ドライバーを気持ちよくする刺激する実力の持ち主である。

純BEVのスムーズさとロータリーの鼓動が味わえるのが面白い

 BEVモデルに対して、車両重量が130kg増加していることに合わせて、モーター出力はBEVの107kWから125kWに高められており、結果的に若干だがRotary-EVのほうが速くなったという。確かに走りはパワフルに感じる。
 ブレーキフィールも上々だった。パワーメーターを見ると回生しているのだが、ブレーキフィール面の違和感はまったくない。実に扱いやすい。

 しばらく走って、まだ十分にバッテリーが残っている状況で、ノーマルモードに切り替えた。バッテリー残量が45%以上の場合、大人しく走っているぶんにはエンジンはかからない。ただし、アクセルを強めに踏み込むとロータリーが始動し、より力強く加速できるようになる。

 エンジンがかかったときの感覚は、いままで経験したことのないものだ。どんな音なのかと、とても気になっていたロータリーが放つサウンドは、やはりレシプロとは別物。独特の乾いた連続音が低く控えめに聞こえてくる。車速がある程度出ていると周囲の音にかき消され、注意深く観察していないとわからない。ロータリーなので始動してもレシプロのような振動を感じないところがユニークだ。

 スピーカーから発せられる演出的な走行サウンドも面白い。アクセル操作に応じたEVサウンドが奏でられ、それがエンジンがかかったときのロータリー音とうまく連携する。アクセルワイドオープンでは2300~4500rpmの間でスロットル操作と連動したサウンドが耳に届き、パワーメーターがめいっぱい振り切れると、そこで一定になる。条件がそろうとコースティングする。車速やアクセルの踏み加減によって、ドライバーの意図を読み取るかのようにエンジンがかかり、求めた加速を得ることができた。エンジンの存在を煩わしく感じる場面はまったくなかった。

 WLTCモードのハイブリッド燃費は15.4km/リッターと意外に低い。この点は、あまり気にする必要はないだろう。MX-30・Rotary-EVは基本的にBEVであって、燃費が問われるシチュエーションは限定的と考えられるからだ。何しろBEVとして107kmも走るのだ。

 充電は、PHEVとしては珍しく、普通に加えて急速にも対応している。とはいえ基本はBEVに軸足を置いたクルマである。急速充電ができるのは当たり前のことだ。
 外部給電の機能も充実。別売の機器を組み合わせると最大で一般家庭約9.1日分の電力供給が可能だ。

 フットワークも申し分ない。600km+αを走れる電動車としては車重がかなり軽いほうとはいえ、BEV版よりも増した車重に見合うよう足回りは強化されている。BEVやマイルドHEVのMX-30が、まるで路面をなめるかのようにしなやかだったことを思うと、いくぶん引き締まった印象は受けるが、MX-30の美点は失われていない。Rotary-EVの乗り心地は、ハイレベルに仕上がっている。加えて、電動化により進化したGベクタリング・コントロール(GVC)は違和感がほぼなく、まさしく意のままに操れる感覚をサポートする。

 ロータリーを積むことで大いに注目を集めているMX-30・Rotary-EVは、発電用に特化したとはいえロータリー特有の味わいが楽しめるクルマだった。
 往年のロータリー・ファンの期待に応えるとともに、1台の独創的な電動車としても、目を見張る完成度の持ち主である。

マツダMX-30ロータリーEV 主要諸元

グレード=インダストリアルクラシック
価格=478万5000円
全長×全幅×全高=4395×1795×1595mm
ホイールベース=2655mm
トレッド=フロント:1565/リア:1565mm
車重=1780kg
エンジン=830cc水冷1ローター(8C-PH型、レギュラー仕様)
最高出力=53kW(72ps)/4500rpm
最大トルク=112Nm(11.4kgm)/4500rpm
モーター最高出力=125kW(170ps)/9000rpm
モーター最大トルク=260Nm(26.5kgm)/0~4481rpm
動力用電池・総電力量=17.8kW
WLTCモード充電電力使用時走行距離=107km
WLTCモードハイブリッド燃費=15.4km/リッター(燃料タンク容量50リッター)
(WLTC市街地/郊外/高速道路:11.1/18.5/16.4km/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:トーションビーム
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク
タイヤ&ホイール=215/55R18+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=5名
最小回転半径=5.3m

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

18年ぶりに復活を遂げたトヨタ新型「クラウン・エステート」“待望”の発売! SUVの魅力をプラスした「新発想ワゴン」は635万円から
18年ぶりに復活を遂げたトヨタ新型「クラウン・エステート」“待望”の発売! SUVの魅力をプラスした「新発想ワゴン」は635万円から
VAGUE
ヒョンデ、『インスター』4月導入でEV普及を加速…新拠点開設やパートナーとの連携強化へ
ヒョンデ、『インスター』4月導入でEV普及を加速…新拠点開設やパートナーとの連携強化へ
レスポンス
軽自動車にこそEVがピッタリです。ル・ボラン編集部が選ぶ! 「EVアワード」日産サクラ
軽自動車にこそEVがピッタリです。ル・ボラン編集部が選ぶ! 「EVアワード」日産サクラ
LE VOLANT CARSMEET WEB
18年ぶり復活のトヨタ新型「クラウン“エステート”」! 「ワゴンとSUVの融合」実現した“デザイン”に込められた“想い”とは
18年ぶり復活のトヨタ新型「クラウン“エステート”」! 「ワゴンとSUVの融合」実現した“デザイン”に込められた“想い”とは
くるまのニュース
トヨタ「クラウンエステート」登場! “シリーズ第4”のモデルはなぜ「SUV×ワゴン」融合した? 伝統の「エステート」名称“復活”にかけた開発の想いとは【開発者インタビュー】
トヨタ「クラウンエステート」登場! “シリーズ第4”のモデルはなぜ「SUV×ワゴン」融合した? 伝統の「エステート」名称“復活”にかけた開発の想いとは【開発者インタビュー】
くるまのニュース
56年前の「ランボルギーニ」がオークションに登場 名スーパーカー「カウンタック」以前の“4人乗りランボ”とは
56年前の「ランボルギーニ」がオークションに登場 名スーパーカー「カウンタック」以前の“4人乗りランボ”とは
VAGUE
マルティン、MotoGP第3戦アメリカズGPも欠場へ。第4戦カタールでの復帰も不透明「思うように回復できず、本当に苦労している」
マルティン、MotoGP第3戦アメリカズGPも欠場へ。第4戦カタールでの復帰も不透明「思うように回復できず、本当に苦労している」
motorsport.com 日本版
レクサス [LS]2013年モデルが想像以上に良すぎる件!! マイナーチェンジってウソだろ!?
レクサス [LS]2013年モデルが想像以上に良すぎる件!! マイナーチェンジってウソだろ!?
ベストカーWeb
新車購入で後悔したくないなら徹底チェック! 購入前にディーラーの実車で穴が空くほどガン見して確認すべき項目とは
新車購入で後悔したくないなら徹底チェック! 購入前にディーラーの実車で穴が空くほどガン見して確認すべき項目とは
WEB CARTOP
トヨタ新型「クラウンエステート」発表! “ワゴン×SUV”を「よりメッキきらめくスタイル」に! スタイリッシュなモデリスタパーツを設定、KINTOでも取り扱い開始!
トヨタ新型「クラウンエステート」発表! “ワゴン×SUV”を「よりメッキきらめくスタイル」に! スタイリッシュなモデリスタパーツを設定、KINTOでも取り扱い開始!
くるまのニュース
レーシングブルズとエクソンモービルが燃料パートナー契約を締結。レッドブルファミリー全体との提携が強化
レーシングブルズとエクソンモービルが燃料パートナー契約を締結。レッドブルファミリー全体との提携が強化
AUTOSPORT web
動かす前に何をすべき!? 冬の間に乗らなかったバイクのメンテナンス
動かす前に何をすべき!? 冬の間に乗らなかったバイクのメンテナンス
バイクのニュース
ワゴン×SUV!? トヨタ新型「クラウンエステート」18年ぶりに復活! 完成された16代目クラウン独自の「乗り味」とは【試乗記】
ワゴン×SUV!? トヨタ新型「クラウンエステート」18年ぶりに復活! 完成された16代目クラウン独自の「乗り味」とは【試乗記】
くるまのニュース
高速道路に「人が運転していない」トラックが出現…なぜ? 一般車の自動運転と何が違うのか
高速道路に「人が運転していない」トラックが出現…なぜ? 一般車の自動運転と何が違うのか
乗りものニュース
トヨタ新型「クラウンエステート」正式発表! ワゴン×SUVとして18年ぶり復活の理由は? ブランド70周年で4モデル揃う!エステートが担う役割とは 635万円から設定
トヨタ新型「クラウンエステート」正式発表! ワゴン×SUVとして18年ぶり復活の理由は? ブランド70周年で4モデル揃う!エステートが担う役割とは 635万円から設定
くるまのニュース
スバル新「クロストレック」発表! 鮮烈な「オレンジ」ボディ採用した“サンブレイズ仕様”に大注目! 同時に「インプレッサ」と「レヴォーグ」特別仕様車も公開!
スバル新「クロストレック」発表! 鮮烈な「オレンジ」ボディ採用した“サンブレイズ仕様”に大注目! 同時に「インプレッサ」と「レヴォーグ」特別仕様車も公開!
くるまのニュース
「アントネッリ圧倒は必須とは思っていない」先輩ジョージ・ラッセル、”速いヤツは最初から速い”理論を提唱
「アントネッリ圧倒は必須とは思っていない」先輩ジョージ・ラッセル、”速いヤツは最初から速い”理論を提唱
motorsport.com 日本版
ホンダ『ZR-V』のゴツゴツ感を低減、スタビリティも向上させるテインの車高調「フレックスZ」発売
ホンダ『ZR-V』のゴツゴツ感を低減、スタビリティも向上させるテインの車高調「フレックスZ」発売
レスポンス

みんなのコメント

23件
  • sid********
    エンジンの充電フィールが最高なのよってユーザーは誰も言わんだろ。
  • sat********
    個性的だが魅力的ではない
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

293 . 6万円 340 . 7万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

149 . 7万円 335 . 8万円

中古車を検索
マツダ MX-30の買取価格・査定相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

293 . 6万円 340 . 7万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

149 . 7万円 335 . 8万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村