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【クルマ好きの憧れの的へ?】アメリカ発「eマッスル」が変えるEVの価値観 

掲載 更新 4
【クルマ好きの憧れの的へ?】アメリカ発「eマッスル」が変えるEVの価値観 

「eマッスル」が価値観変える?

執筆:Kenji Momota(桃田健史)

【画像】まだその名に違和感あり?【マスタング・マッハEと2世代のマスタングを比較】 全140枚

編集:Taro Ueno(上野太朗)

今、EVと聞くと、クルマ好きの多くは遠巻きにしながら、今後のトレンドを観察しているような雰囲気がある。

単純に加速力だけみれば、テスラ・モデルSの最上級モデルは0-100km/h加速が2秒台と、日産GT-R、フェラーリ、ポルシェに匹敵するか、それ以上のパフォーマンスを誇る。

とはいえ、従来のクルマ好きにとってテスラなどEVをスポーツカーとして評価するというユーザー心理には至っていない印象がある。

「EVは別物、EVは別腹」

そんな受け止めなのではないだろうか。

ところが、そうしたクルマ好きのEVに対する違和感を一気に吹き払ってしまいそうな動きがアメリカから出てきた。

その筆頭は、ダッジのeマッスル構想だ。

eとはEVを代表とする電動化を指し、マッスルとは当然、アメ車の真髄ともいわれるマッスルカーのことである。

ダッジの展開するステランティスによれば、ダッジブランドの主力ユーザーは20代後半から30代の世代であり、アメリカの人口の約4分の1を占めるが、この世代は新しい変化に対する関心が高く、ダッジの電動化についても理解を示すはずだというのだ。

ただし、導入するモデルは燃費やCO2規制を優先した、マイルドハイブリッド車など「手ぬるい」電動化ではなく、既存での量産HEMIが誇る600psや700ps級を超える本格的EVを提供する。

第3次マッスルカー時代が幕開け

そもそも、マッスルカーと呼ばれる大排気量、大出力、大トルクのアメ車たちは1960年代の高度経済成長時代の申し子として、「強いアメリカ」を世界に知らしめる役割をしていた。

それが70年代に入り、公害対策の必要性から排気ガス規制強化によって市場から姿を消した。

それから30年以上が経ち、「原点回帰」トレンドが生まれ、フォード「マスタング」はシェルビーチューンとして、またダッジはHEMIの強化が段階的におこなわれ、2010年代は第2次マッスルカー時代と呼べるような市場環境となっていた。

日本市場での正規輸入がなくても、アメリカからの並行輸入によって本場マッスルカーを満喫するユーザーが少数ではあるが、その数は着実に増えていったのだ。

ところが、2010年代後半からグローバルで環境、社会、ガバナンス(企業統治)を重視するESG投資が急激に広まり、それと連動して国や地域での電動化政策が強化に進み、欧州、アメリカ、中国でのEVシフトに転じている。

こうしたグローバルなトレンドを日本が後追いしているのが実状だ。

ダッジのeマッスル構想も、こうしたESG投資を出口戦略とした巧妙なマーケティング手法であり、フォードやGMも独自のeマッスル体制を敷いてくる可能性が高い。

第3次マッスルカー時代の幕開けである。

カマロやファイアバードも?

フォードはすでに、「マスタング・マッハE」でEV市場に参入済みだが、車両のイメージは従来のマッスルカーというより、高性能SUVという雰囲気にとどまっている。

また、フルサイズピックアップトラックFシリーズでハイパフォーマンスグレード「ライトニング」をEV化するという秘策に出ており、ここからの派生車としてフルサイズSUVのEV化に進展しそうだ。

キーポイントとなるのは、従来型2ドアマスタングのeマッスル化であり、そうした中で欧州メーカーとEVプラットフォームの共有化が気になるところだ。

一方、GMはGMCハマーを皮切りに、EVプラットフォームのアルティウムで中大型モデルでのEVシフトを展開することが明らかになっている。

その中で、eマッスル化の可能性は当然、シボレー「カマロ」が筆頭となる。

さらに、気になるのはファイアバードの復活だ。ブランドであるポンティアックはハマー同じく2000年代に消滅したが、eマッスルとしてGMCから再登場するといったサプライズを期待したい。

デトロイト3のeマッスル揃い踏みの時期だが、ダッジが2024年に第1弾を市場導入の予定であることから、これにあわせてフォードとGMが動くと見るのが自然だ。

そうなると、日本勢はどう対応してくるのか?

EV憧れの的に? 日本勢はどう挑む

日本勢でEVといえば、2010年代にリーフを、また今冬にはアリアを導入する日産のイメージが強い。

だが、昨今の日産の事業戦略の中で電動化は、エンジンを発電機として使うeパワーの拡充を優先している。

先に公開された新型Zもスカイライン400R搭載の3リッターV6ツインターボを応用しており、電動化は次期モデル以降へ持ちこされた。

また、そろそろ次期GT-Rの青写真が社外に漏れてきそうな時期だが、次期Zを含めて現実的な電動化はEVではなくeパワーと考えるのが妥当ではないか。

これに対して、ホンダはNSXやS660を今年度中の生産中止を決め、また2040年までに全モデルEV/FCV化を宣言するなど、2020年代半ばから後半にかけてEVのeスポーツカー登場の可能性が高まっている。

そのほか、マツダでは2030年からの電動化戦略でロードスターが組み込まれていることをマツダ幹部が明らかにしているが、一気にEV路線は難しいとみるメディア関係者が多い。

マツダを含めて、スバル、スズキ、ダイハツは今後、トヨタ主導のEVプラットフォーム共用化を進めることになるが、見方を変えるとトヨタEV戦略の傘下でeスポーツカーや、日本版eマッスルが誕生することも十分あり得ると思う。

今、時代は大きく変わり始めており、近い将来、クルマ好きにとってEVが憧れの的になる日が訪れるかもしれない。

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みんなのコメント

4件
  • アメ車はガソリン車なら並行物もありかなと思うけどEVだと並行物は修理の面で不安があるな
  • アメ車がもさーっと地味に静音で走るん?w

    エンジン音のないアメ車なんて図体だけのデブと同じ…
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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