2L 6気筒エンジン搭載のダイナミック・エリート
バブル全盛期の”ハイソカー”ムーブメントにて、中心的役割を果たした車種といえばトヨタ・マークII以外にはないだろう。それはもちろん、X70型系およびX80型系のマークIIを指すのだが、その下地を作った存在として、四代目(X60型系)マークIIも忘れることはできない。そして、そんなマークIIにもバンやワゴンがこの時代には用意されていたのである。
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【画像38枚】クレスタから見事に生まれ変わったマークIIワゴンとその制作工程を見る!
トヨタ・マークIIの初代モデルは、1968年にトヨペット・コロナ・マークIIとしてデビューしている。車名が示す通り、コロナの上級版としてクラウンとの車格のギャップを埋めるモデルであった。四代目となるX60型系は、1980年10月に登場した。実はこの世代まで、正式な車名はコロナ・マークIIだったのである。
この四代目では、それまでの2ドア・ハードトップの代わりに4ドア・ハードトップという新たなボディ形式を導入。これがイメージリーダー的存在となり、4ドア・セダンは一歩引いた地味な存在へと変化している。また、兄弟車としてチェイサーに続くふたつめの車種、クレスタが登場したのもこの世代だ(半年先行して1980年4月に発売)。そして、ツインカム・エンジンをスポーツ性よりむしろ高級感をアピールするアイテムとして搭載。こうした変化は、続く2世代においても基本コンセプトとして忠実に受け継がれたのであった。
X60型のワゴン/バンは、ひと月遅れて1980年11月に発売された。シャシーはもちろんFRレイアウトで、リアサスペンションがバン(TX67V/LX67V)ではリーフリジッドとなるのに対し、ワゴン(GX60G)ではセダン/ハードトップの下級モデルと同じラテラルロッド付き4リンク式。フロントサスペンションはいずれもストラットである。搭載エンジンは、ワゴンは直6 2Lの1G-EU(新開発)のみ。これはEFIを装着したSOHCエンジンで、最高出力は125psであった。変速機は5速MTとOD付4速ATの2種が設定されたが、グレードはLEの1種のみとなる。
バンの方は、1.8Lの直列4気筒OHVである13T-J(95ps)と、2.2Lの直列4気筒ディーゼルであるLの2種類を搭載。グレードはスタンダード、DX、GLの3種があったが、ディーゼル車はDXのみの設定とされた。ミッションはフロアシフトのみで、1.8L車には4速MTと3速AT、ディーゼル車には5速MTが組み合わせられている。
装備面では、バンには荷室サイドウィンドウにガードバーが付くほか、ヘッドライトも丸型4灯とすることで差別化されていた(ワゴンは角型4灯)。しかし、最上級モデルのバンGLとワゴンLEは装備品もある程度共通で、電磁式バックドアロック、チルトステアリング、ランバーサポート、オートアンテナ、電動リモートコントロールミラーなどが備わる。1982年8月のマイナーチェンジでは、ワゴンはセダン同様に角型2灯ライト+フォグランプ、バンは角型4灯ライトへとデザイン変更されている。
こんなプラモデルは存在しないんですよ!
セダンがベースのワゴンやバンは、元々プラモデル化の例が少ないものだが、このX60マークIIにおいてもキット化は皆無である。ここでご覧いただいているのは、マイクロエース製1/24スケール・プラモデルのクレスタ(旧エルエス金型)をベースに、マークIIワゴン(GX60G)へと改造した作品だ。エルエスおよびマイクロエースには、マークIIハードトップのキットも存在するのだが、ここでクレスタをベースにチョイスしたのは、形状的にこちらの方が近いのではという判断からである。
さて、作品の方はというと、実車のワゴン/バンに詳しい方なら、「おや?」と不思議に思われた点があるだろう。ワゴンでは本来ブラックの樹脂パーツとなるべき前後バンパーが、ボディと同じホワイトの仕上げとなっているのである。また、ホイールもオリジナルでは当然ありえないBBSが装着されている。実はこの作例、作者の棚瀬氏がかつて愛用していた実車を再現したものなのだ。それについては追って公開する後編の記事で作者に詳しく語ってもらうこととして、ここではボディの改造などについて、写真のキャプションを詳しくお読みいただきたい。
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