値段、サイズ、走り、スタイル…すべてが「手ごろ」
1980年代に青春を送った世代にとって、「免許を取ったらまず買うクルマ」の代表格が、トヨタ「スターレット」でした。
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1984(昭和59)年に発売された3代目「スターレット」は、取り回ししやすいコンパクトなボディのハッチバックモデル。全長3700×全幅1590×全高1380mmというサイズ感は、現行「ヴィッツ(全長3885×全幅1695×全高1500mm)」と比較すると、よりお分かりいただけるかもしれません。
新開発(当時)の4気筒SOHC 12バルブ1.3リッターエンジンを搭載し、FFながら俊敏な動きを楽しめる走行性と、大衆車トップクラスの低燃費をうたった経済性があいまって、若者のための元気な「ハイコンパクト&スポーティ」モデルとして、人気を博しました。さらに、Si、Riなどのスポーツモデルには、ボディサイドに「12 VALVE EFI(電子制御式燃料噴射装置)」の文字がバーンと入っており、それがまたかっこよく見えたものです。
価格は、一番リーズナブルなSTDグレードが69万3000円からと、手の届きやすい設定でした。
いじり倒せる「兄貴のおさがり」
1986(昭和61)年には、インタークーラー付ターボチャージャーを備えた「GPターボ」が登場。CMで使われた「かっとび」のフレーズそのままに、あの山この道と走り回った若者多数でした。
また、運転しやすさと共に、「自分でいじってみたい」という欲求にも答えてくれるモデルで、足回りやエアロパーツが多種販売されていました。「ブローオフバルブを付けて、ターボをプシュプシュいわせながら峠を走った後、エンジンフードを開けてクルマ談義をする」、そんなクルマの楽しみ方ができるのも、「スターレット」の良さでした。
当時、免許を取ったら、「とりあえず、兄貴の『スターレット』で練習」するというのが、ある意味、王道でした。それがうまくいくと、「兄貴のおさがり」となって、そのまま所有できる場合もありました。嬉しい反面、「え、お兄さん、クルマ買い換えたの?」「うん、『MR2』買った」みたいな会話の後には、「『スターレット』もいいけど、クリスマスには『MR2』借りてくれたりしないかな」なんて欲望が頭をよぎったりするのが、その頃の女子だったりしたのです(編集部注:個人の感想です)。
新型が発売されてもなお
1989年にはフルモデルチェンジし、4代目「スターレット」が登場。丸みを帯びたラインになり、スポーツタイプとノーマルタイプの2種類のスタイルが用意されました。
CMも印象的でした。レ・ピッシュという人気バンドの歌う、その名も『パヤパヤ』というスカっぽい曲に合わせて、みんなでスターレットをおみこしのように担ぎあげるもので、「青春のスターレット」のキャッチフレーズと共に、記憶に残っています。
新型が発売された後も、3代目「スターレット」は、末永く中古市場を賑わせていました。いまも、多くの人にとって、「クルマ人生のスタートの1台」として記憶に刻まれていることでしょう。
【写真】3代目「スターレット」のインパネまわり
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