この記事をまとめると
■マイナーチェンジしたレクサスUXに自動車ライターの島田智之さんが試乗した
ボディ剛性・静粛性・使い勝手が大幅向上! 先進安全運転支援機能とコネクテッドサービスを充実させた改良型レクサスUX世界初公開
■UX250hバージョンLは車体がガッチリしつつも上質な乗り心地を感じさせてくれた
■UX200 Fスポーツはスポーティな味付けながらも乗り心地がまったく犠牲になっていない
ボディ剛性の向上で乗ったらすぐに違いを感じられる
いまどき、僕たちのようなフツーの人にとっていろんな意味で使い勝手のいい乗用車を考えると、やっぱり適度にコンパクトなSUVというとことに落ち着くのだろう。売れ筋になってることからも察せられるし、メーカー各社がBセグメントやCセグメントのSUVに力を注いでることからも推測できる。事実、大柄で押しの効くクルマが好まれそうな高級車ブランドのレクサスでも、昨年の国内販売台数およそ5.1万台のうち8000台近くが、SUVのボトムラインにしてもっともコンパクトなUXだったという。
そのUXにマイナーチェンジが行われて試乗する機会があったのだが、見た目ではどこが変わったのかさっぱり判らないのに、乗ってみたら「おっ?」と感じられるようなはっきりとした進化を果たしていた。
今回のマイナーチェンジでは、エクステリアに変更はない。よほどのマニアであればタイヤの違いを見てとることができるかも知れないが、まぁそれくらいのものだ。
一方で、インテリアはちょっと様変わりしてる。ダッシュボードに12.3インチの大型タッチスクリーンがレイアウトされたほか、対話型の音声認識機能が備わるなどインフォテインメントシステムも最新世代となり、シフトセレクターの横にあったタッチコンローラーを廃止、スイッチ類のレイアウトも若干の変更を受けたほか、スマートフォンのワイヤレス充電のスペースが拡大されてUSBコネクターも増設されている。さらにADASも最新のものへとアップデートされた。時代に沿った改良がおこなわれてる、というわけだ。
ADASについては残念ながら走行環境の関係でほとんど試すことができなかったのだが、12.3インチのタッチスクリーンの使い勝手が良好なことは確認できた。ドライバーに寄った側にレイアウトされているうえ、使用頻度の高いメニューのアイコンが常時スクリーンの右側に表示されている。タッチの誤操作を防ぐために親指を置けるスペースも確保されている。そのうえ何より、タッチに対する反応が早い。この種のプレミアムブランドのクルマにとって、こうしたところは地味だけど大切な部分だと思うのだ。
けれど、それはそれ。今回のマイナーチェンジの最大のキモは、車体にある。サイドのドア周辺、そしてリヤハッチ周辺の車体開口部にあたる場所にスポット溶接の打点を20箇所追加して、ボディ剛性を高めてるのだ。そして、ガッチリした車体に会わせてサスペンションまわりやステアリングまわりの基本セッティングをやりなおしてる。
Fスポーツについては、従来はオプションだったパフォーマンスダンパーと可変制御のアダプティブバリアブルサスペンションが標準で備わることになり、一方でバージョンLに関しては標準の18インチタイヤがランフラットではなくなった。
かたやスポーツ性重視、かたや乗り心地重視、と明確に乗り味を分ける方向へと進んだのだな、と思った。
「コンフォート」と「スポーツ」で違いが明確な2台
最初に走らせたのはUX250hバージョンLだったのだが、予想どおり。車体がガッチリした分だけサスペンションがよく動き、タイヤもゴツゴツした手触りを伝えてくることなく、ブランドからイメージされるような上質な乗り心地を感じさせてくれたのだ。
先代(MC前)に最初に試乗したときにもベースとなったプラットフォームがC-HRとは思えない乗り心地のよさに感心させられたものだったが、それでも予想していたよりは硬めで、快適さに二重丸をつける気にはならなかった。が、新しいバージョンLは、はっきりと快適といえるレベル。大きな凹凸はうねりはもちろん、小さな目地段差のような箇所も巧みにいなして、滑らかに心地好くクルーズさせてくれるのだ。
そしてこの乗り味には、2リッター4気筒にモーターを組み合わせたハイブリッドシステムが似つかわしい。スペックそのものは先代(MC前)からまったく変わっていないのだが、ぶんまわさなくてもスムースに前へと進んでくれるからエンジン音は気にならず、その静けさとコンフォート性を増したライドフィールとの相乗効果で、上質なクルマに乗ってるという感覚が際立つからだ。ここまで来ると立派に“高級車”である。そんなふうに感じられたものだった。
もう一方の試乗車だった、UX200 Fスポーツ。じつのところ、こちらはもっと明確にスポーティな方向へと進んでることを予想していた。が、そういうわけでもなかった。確かに走り出した直後からステアリング操作に対する車体の反応の良さが感じられたし、コーナーを抜けていくときも腰を粘らせつつスイッと気持ちよく曲がってくれて、間違いなくバージョンLより爽快、と思いはした。そういう意味ではスポーティに走れるUXだ。
けれど驚いたことに、乗り心地がまったく犠牲になってなかったのだ。というか、むしろ望外に乗り心地がよかった、といっていいほど。先代(MC前)のFスポーツはもう少し“いかにも”なところがあって、レクサスというブランドにはそぐわない子どもっぽさというか無理に若ぶった印象を受けたものだったけど、そこがだいぶしっとり大人っぽくなった感じ、といえばいいだろうか。もちろん快適さでは明確にバージョンFが優勢なのだけど、こちらもレクサスに相応しい領域に入ってるかな、とは思ったものだ。
ただし、UX200のエンジンは自然吸気の2リッター直4。街中を転がすような場面ではともかく、力強く走ろうと思うとまわしてあげる必要がある。エンジンをまわせば活発に走ってくれるしスピードもついてくるのだけど、そのときのサウンドがやや耳障りに感じられる瞬間がある。何だかちょっとレクサスのイメージとは違うな、なんて思えてしまったのだ。車体が堅牢になってシャシーのセットアップが変わったおかげで全体的に高級感を増したからか、先代(MC前)以上にその点が気になってしまった。
そんなわけでも新しいUXにはおおむね好印象ではあるのだけど、僕が選ぶならUX250hのバージョンL。基本的な走りのパフォーマンスに不満はないし、何ひとつ気掛かりなことなく快適なのだから。
だって、これはレクサスのSUV。高級車ブランドのSUV。いかにエントリーモデルであっても、仮に“スポーツ”と“コンフォート”のどちらかを重視するかとしたら、やっぱりコンフォートだろ、と思うのだ。
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ボルトナットで剛性高くなりました!
って、セールストークにするトヨタ。
さすがです。前期モデルは0.5世代、後期モデルが1.0ってことね?