2017年国際モーターショー(IAA)に先立ち、テクノロジーカンパニー、コンチネンタルは、将来のモビリティの課題と可能性について言及した。来るIAAに先立つテクノロジープレビュー記者会見の席上で、コンチネンタル・コーポレーション取締役会会長のエルマー・デゲンハート(Dr. Elmar Degenhart)氏は確信を込め、次のように語っている。
「自動車業界および市場は今、大きな転換期にあり、すでに確立されたテクノロジーや実績のあるビジネスモデルが、新しいものに代わっています。それらは、電動化、自動化、そしてデジタル化です。これから10年、また15年後の自動車空間での過ごし方は、私たちが今考えているものとはまったく異なっていることでしょう。私たちは、全身全霊を傾けてこの課題に取り組みます。146年を超える経験から、新しい技術が、信頼性があるだけではなく、価格が適切で、市場と社会から受け容れられ、政界からも望まれ、法的に認められなければ成功しないことを知っています。産業界と政府・自治体が協力し、相互に同意しなければ、電動化、自動化、そしてネットワーク化されたモビリティを実現すること、そして、クリーンで、安全、快適な運転を実現することはできません」
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産官連携の前向きな例として、デゲンハート氏は、2017年5月初旬にドイツ連邦議会および連邦参議院によって決議された、自動運転のための改正道路交通法を挙げた。「早い段階で定められた現実的な政治的枠組みが、世界市場において最新技術を有するリーディングカンパニーとしての地位を確保してくれます」と、デゲンハート氏は述べ、同時期に公開された自動走行のためのガイドラインについても、前向きに評価する姿勢を見せ、次のようにコメントした。
「この自動運転分野に取り組んでいる当社のエンジニアのために、方向性を示し得る規則を求めていました。公開された委員会のレポートは、まさしくその需要に合致するものです。既存の国内、そして国際的な法的枠組みの中に、適切なガイドラインを導入することが、現時点での最重要課題です」
一方で、デゲンハート氏は、個々のテクノロジーに対する助成が一方的であることに対して批判的な見解も述べた。
「規定の排ガス規制はきわめてハードルの高いものです。自動車メーカーは一貫してeモビリティ分野の拡大に注力していますが、それでも電気自動車の価格はまだ高価なものになっています」
コンチネンタルは、電気自動車への購入助成だけではまだ不十分であると考えている。「完全な電気自動車が市場に普及するためには、走行距離の拡大と、低価格化が必要であると考えています。市場の進展が、2023年よりも前に成し遂げられる見込みはありません」とデゲンハート氏は述べる。2025年の時点で完全な電気自動車の市場シェアはわずか10%程度で、いわゆるハイブリッド車である電動化と内燃エンジンのコンビネーションのシェアが30%近くになると見込んでいる。
「誰もが手にできる価格帯でテクノロジーを実現できなければ、クリーンエアも環境保護も実現できません。新たなテクノロジーが市場に広く浸透しない限り、排ガス規制が気候保護へより良い影響を及ぼすことはないでしょう」
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コンチネンタルは、車両のグレードにかかわらず手頃な価格設定が可能な駆動システムおよびテクノロジーを開発することに注力している。「モビリティへの需要が伸びていることから、内燃駆動技術にはまだ伸びしろがあるといえます。排ガス規制をクリアするためには、これらの技術をさらに効率的に利用し、排ガス後処理や、特に『人々のハイブリッド』が例として挙げられます。この48Vシステムによるテクノロジーは過渡的なソリューションであり、内燃機関への負担を軽減するものであり、ガソリン車にもディーゼル車にも組み込むことが可能です」と、デゲンハートは説明した。実際の道路交通において、20%の燃費改善が実証されている。
「IAAに先立ち、コンチネンタルのエキスパートが調整したユーロ6規制対応のディーゼル量産車両をご紹介します。実際の走行テストにおいて、窒素酸化物の排出を60%以上削減しており、規制で定められた数値を大きく下回る数値です」
IAA2017スローガン:「Making Mobility A Great Place To Live」(モビリティを素晴らしい居住空間に)
テクノロジーカンパニーは、IAA2017の出展スローガンに「Making Mobility a Great Place to Live」(モビリティを素晴らしい居住空間に)を設定した。コンチネンタルはモビリティにおける電動化、自動運転、接続性分野でのソリューションを紹介する。モビリティは、将来的に、人々の居住空間をより豊かにすることができるというアイデア。2017年のIAAに先だち、モビリティの将来に向けたいくつかの魅力的なアイデアを、数台のコンセプトカーによって具体的に紹介している。
「20世紀、自動車交通に対する需要が、都市と人間の生活空間のあり方を大きく左右しました。21世紀、人々の需要が再びモビリティの焦点となり、その需要は自動車の車内に見られ、将来的に車内を仕事場やリビングルームのように使い、今までにない新しい、完全なる個人空間が車輪の上に作り出されるのです。コンチネンタルのソリューションで、インテリジェントでつながるモビリティが、どのようにして新たなデザインの機会を切り開くかお見せしたいと考えています」
9月にフランクフルトで開催される国際モーターショーに出展するアイデアや製品には、クリーンディーゼル駆動システム「Super Clean Electrified Diesel」、汎用充電システム「AllCharge」、リアルタイム天候情報サービス「e-horizon weather」、都市部での自律走行型ロボタクシー「CUbE」、スピーカーレス音響システム「Ac2ated Sound」、電気自動車向け新軽量ホイールコンセプト「New Wheel Concept」、数々の受賞実績を持つタイヤ「PremiumContact 6」のようなものが含まれる。
自動運転、車両コネクティビティに重点
コンチネンタルの32,000名を超えるエンジニアおよびソフトウェア開発者が、世界レベルで協力するイノベーションのひとつに自動運転がある。コンチネンタルが提供するクルージングショーファーは、ドライバーをサポートし、毎日の決まったルートをリラックスして走行できるようにするもの。駐車操作においても、より高度な自動化が見られる。これらの技術をロボタクシーに応用し、将来の都市部におけるモビリティの新しい形を提唱する。
コンチネンタルは自動運転の実現に向け、中心的な役割を果たしている。「モビリティがシームレスにつながることができれば、人間のコミュニケーションが途絶えることはなくなるでしょう。新しいモビリティサービスが何10億単位の市場を形成するとき、モビリティが新たな居住空間となるのです」と、デゲンハート氏は説明した。
コンチネンタルが初めて自動車をインターネットに接続したのが1996年、それ以来、ネットと接続された自動車は3000万台を超えた。2020年までに、世界の道路を走行するネットワーク化された車の数は約2億5000万台になるだろう。
「これまで、車両コネクティビティは単なる追加機能でしたが、現在それは、インテリジェントな将来のモビリティのキーテクノロジーとなりました。コンチネンタルが包括的コネクティビティに照準を合わせ、シームレスなオンライン接続を確立し、オープンなシステムを持つ車両をトータルに開発する理由はそのためです」とデゲンハート氏は説明した。カーネギー・テクノロジーと協力し、各種ワイヤレスネットワーク(モバイル無線、WLAN、衛星通信)間で、切れ目も障害もない移行が可能となるソリューションを発表する。このソリューションは、同乗者のモバイル端末のデータ通信ラインを統合し、データ通信容量を追加することも可能になる。
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