電子パーキングブレーキ&オートブレーキホールド機能が付いていれば◎
高齢者の親を持つ人が、もし、親からクルマ選びの相談を受けたとする。「もう大きいクルマは身に余るから、小さい軽自動車に乗りたい」と。これまでの常識からすれば、大きいクルマ、安全性で定評ある高級車が安全であると言われてきたのだが……。そうとも言い切れないのが、最新の軽自動車である。
高齢者こそ「MT」か「EV」がいい! 「悲惨な事故」を減らせる理由とは
小さく軽いクルマだからこそ、安全であるべき
以前、ホンダの屋内型全方位衝突実験施設の衝突安全テストを視察させてもらったことがあるのだが、実験の主役であるホンダN-BOXと、車重比1.5倍のホンダ・インサイトが実験施設の中心に向かって一目散に走ってくる。どちらも時速は50km/h。ラップ率50%(車体前方の半分同士が衝突する感じだ)、そして重要なことは、50km/hで走行するクルマ同士が正面から衝突した場合、相対速度は50km/h×2の100km/hに達するということだ。
やがてホンダN-BOXとホンダ・インサイトが、施設内の空気を震わせ、大きな音をたてて衝突。ホンダ・インサイトのほうは、衝突した場所からほとんど動かず、前を向いたまま停止していたが、軽く小さいN-BOXは一瞬、宙に浮き、回転した後、停止。
その後、近くで衝突後のN-BOXを見ると、さすがにフロント部分の損傷度合いはインサイトを上回っていたが、なんと、衝突した側の運転席フロントドアですら無理なく開けることができ、さらにリアスライドドアはアウトサイドオープナーを引くだけで何事もなくスルスルとスムーズに開いたのである。ホンダのコンパティビリティ対応ボディの衝突安全性に驚かされた瞬間だった。
小さく、軽いクルマだからこそ、安全であるべき。今の軽自動車の多くは、そうした基準で作られているということだろう。
さて、クルマの安全性をはかる指標のひとつが、自動車アセスメントという、国土交通省と自動車事故対策機構(NASVA)が一体となって行なっている事業だ。新車販売されている自動車に対して様々な安全性能に関する試験を行い、その結果を公表している。試験結果は衝突安全性能が五つ星で評価され、予防安全性能は12項目に渡って点数で評価されている。
SOSコールが付いている日産デイズ
その中で、高い評価を得ている1台が、日産デイズ ハイウェイスター/デイズだ。衝突安全性能は★★★★★、予防安全性能も高得点。事故緊急通報装置=SOSコールが付いていることも有利と言っていい。
実はその日産デイズ、うちの近所の高齢者にオススメし、購入に至った経緯がある。その高齢者はわが家の目の前で衝突事故を起こし(うっかり運転での追突)、前部が大きく損傷し、結果、自動ブレーキさえ付いていない古いクルマだったこともあって、廃車。
自身のクルマがキャリアカーで引き取られていくのを悲しそうに見ていた高齢者に、ボクは声をかけた。「もし、クルマを買うなら、小さく運転のしやすいクルマ、安全性能がしっかり備わっているクルマがいいですよ」と。ちょうど、日産デイズが登場した頃で、SOSコールや日産コネクトのオペレーターサービスの説明をしたら、「それにします」とふたつ返事(ボクがモータージャーナリストという職業についていたことが分かっていたこともある)。以来、安心、安全に、カーライフを満喫しているようなのである。
ボクが高齢者に薦めるクルマ、ここでは軽自動車の条件をいくつか述べると、意外かも知れないが、ハイト系ワゴン、スーパーハイト系がまずは挙げられる。
その理由は、視界が高く、運転のしやすさはもちろん、安全運転に直結する視認性が高まり、さらにはスーパーマーケットなどの料金所でチケットが取りやすいというメリットがあるからだ。デイズもハイト系ワゴンであり、着座位置、視界が高く、小回りも効き、運転のしやすさは抜群と言っていい。
それに、万一の際の事故緊急通報装置=SOSコールや、オペレーターサービスが利用できるのだから、鬼に金棒である。夕方以降にも被視認性の高いボディカラーを選べば、さらに安心だろう。
衝突安全性能は三菱ekクロス/ワゴンやN-WGNも星5つ
話を戻そう。最新の自動車アセスメントで高評価を得ている軽自動車はまだまだあって、デイズの兄弟車の三菱ekクロス/ワゴンも当然、衝突安全性能は★★★★★、予防安全性能も高得点(SOSコールはなし)。
先に全方位衝突実験施設の衝突安全テストの例でも触れたホンダN-BOX、それよりも新しいN-WGNも衝突安全性能★★★★★。予防安全性能も高得点である。
加えて、最新の自動車アセスメントの評価にはまだ上がっていないが、最新の日産ルークス(SOSコールあり)、兄弟車の三菱ekスペース、ekスペースクロス(SOSコールなし)の衝突安全性能、予防安全性能も、デイズ、ekクロス/ワゴン同様に高評価のはずである。なお、SOSコール、日産コネクトナビによるオペレーターサービスは車載通信機器を使うため、スマホの所有有無は関係なく利用できる。
ダイハツコネクトを備えるダイハツ・タフト
高齢者でも、ちょっと尖ったクルマに乗りたい……というなら、ダイハツ・タフトを薦めてもいい。クロスオーバーモデルだから着座位置、視界ともに高く、見た目のゴツさから想像するよりずっと運転はしやすい。
さらに、タフトにはロッキーで初採用されたダイハツコネクトが、対応ディスプレーオーディオとのセットで利用できる点にも注目だ。ダイハツコネクトとはクルマとスマホをつないで「つながる安心」と「快適・便利」を提供してくれるもので、その機能の中に、SOSコールに代わる事故対応サポート、故障対応サポート。
さらには、家族がメールで見守る機能まで利用できるのだ。たとえば、高齢の親がタフトで出掛けたとして、出発、帰宅、事故・故障の発生、設定エリアからの出入りの4つの項目を、家族=見守り者にメールで知らせてくれるのである。高齢の親と離れて暮らしている、同居しているにかかわらず、高齢者本人はもちろん、家族まで安心というわけだ(高齢の親がスマホを持っているのが前提)。
ところで、高齢者の親が腰痛持ちだったりして、シートのかけ心地にもこだわるというなら、ダイハツコネクトが利用できると説明済みのダイハツ・タフトもいい。運転席のかけ心地は分厚いクッション感があり、座面後端はお尻をふんわり沈み込ませて体重でホールドさせるタイプで、背もたれは背中をやさしく包み込むようにホールドしてくれるから体にやさしい。なんでも、あのロッキーのシートフレームを奢っているのだとか。
もちろん、デイズやルークス、ekワゴン/クロス、ekスペースの運転席のかけ心地もなかなかだ。シートがフロアに対して高めにセットされているため、乗り降りが楽なのも、高齢者にお薦めできるポイントとなる。
長距離の運転も疲労が少ないスズキ・ハスラー
高齢者でもアウトドア、悪路や雪道を含むロングドライブを楽しむタイプなら、スズキ・ハスラーだ。クロスオーバーモデルとしてはけっこう本格的な走破性を備え、運転席のかけ心地、乗り心地、静かさなど、軽自動車最上級、いや、下手なコンパクトカーをしのぐ実力の持ち主なのである。実際、スタッドレスタイヤ装着で真冬の東京~軽井沢間、往復約350キロを走破したことがあるが、運転にかかわる疲労は驚くほどなかった経験がある。
そのように、最新の軽自動車は、ちょっと前のモデルとは別物の商品力、安全性、快適性、安心機能が備わっているというわけだ。運転のしやすさ、止めやすさ、維持費の少なさとも合わせて、高齢者の親に、最善の1台を選んでいただきたい。
一押しのクルマは日産デイズ
ちなみに、もし今、ボクに高齢の親がいたとして、ぜひ薦めたいのは、デイズだ。理由はすでに述べたSOSコール、日産コネクトナビによるオペレーターサービスに加え、電子パーキングブレーキの付随機能としてあるオートブレーキホールド機能が付いているから。
高齢者は足の筋力が落ちていることもあり、信号待ち、スーパーマーケットなどの料金所での一時停止中に、ブレーキを踏み続けなくていいことは、さらなる安心・安全・快適につながると考えるからである。
なお、上記の軽自動車の中で、電子パーキングブレーキとともにオートブレーキホールド機能が付いているのは、日産デイズ、ルークスのほか、三菱ekクロス/ワゴン、ekスペース、ホンダN WGN、ダイハツ・タフトである。それらが、運転する高齢者だけでなく、見守る家族も安心な、お薦めの軽自動車の代表格、6選となるだろう。
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みんなのコメント
後席の人の頭の後ろは20センチくらいしかないほど
室内空間優先だし
自分がどんなに注意していても突っ込まれれば
まず無事ではない
軽自動車がどんなに高張力鋼板を使っても安全性は
値段との兼ね合いで限度がある
死にたく無ければ少なくともコンパクトカーにするべきだ
小さくて強度がある強い軽自動車はコンパクトカーより安く作れる訳が無い