自社開発、ジャパン・メイドを徹底する開発思想や組み立てについて大公開
「ボルドワールド」がエアサスメーカーとしてスタートしたのは平成7年。当時、スイッチ操作で車高が上下するエアサスはデモカー向けであり、一般ユーザーが気軽に装着できるパーツではなかった。目的は、過激なローダウンを描き出すためだ。しかし「ボルドワールド」が目指したのは快適にストリートを走れるエアサス。第一弾として軽自動車用をリリースした後、各パーツの完成度を高めると共に車種設定を広げていくことになる。そんな「ボルドワールド」が最もこだわったのが、走行性能に大きく影響するショックアブソーバ。例えば、アルティマ・シリーズでは、減衰力32段調整と全長調整機能を持つ車高調モデル『アブソリュートDS NEXT』のショックを採用。エアサス特有のフワフワ感を払拭し、車高調に負けないフットワークぶりを実現させている。 ローダウン時でも十分なストローク量を確保し、走るステージや好みに見合った乗り味を得ることが可能だ。
【知ってまっか?】車高調とエアサスでローダウン幅や使い勝手を比較してみた
さて、このエアサスは構成パーツが多く、配線/配管の取り回しが複雑。そのため、機械系や電気系のトラブルが発生することもある。開発や製作を海外委託すればコストを削減できるが、「ボルドワールド」では構成部品の大半を国内工場で製作。理由は部品の精度を高めながら開発スピードを早めるため。というのも部品点数が多く、車種によって仕様やセッティングが異なるエアサスの場合、海外工場では開発レスポンスや万が一の時の対応などにタイムラグが発生しやすいのだ。
30アルファードでは、ラゲッジスペース下にエアタンクやコンプレッサーを配置。室内スペースを犠牲にすることもなく、エアサスを楽しめるのもボルドワールドの魅力といえる。シフトゲート下にセットされているのは、車高を調整するプレストレージシステムのコントローラーだ。
このように、国内工場でのこだわりを持ち続ける「ボルドワールド」のエアサス。次ページでは、重要構成部品となるショックアブソーバとエアバッグの組み立て現場に迫る。
【↓次ページへ続く↓】
乗り味の質も見逃さないエアサスは職人の手によって組み立てられる
32段階というワイドな減衰力調整機能は、ピストン部のシム調整やオイルの配合によってセッティング。組み上げたショックの特性をテスターで計測すると、減衰力が各製品均一に仕上がるのも熟練したスタッフが揃う国内工場ならではの技術力の高さと言えるだろう。また、ボルドワールドが国内工場にこだわる理由は、製品クオリティを進化させやすいこと。製品名に “NEXT”がつくモデルがあるように、常に次世代を意識したモノ作りを進めている。例えば車高調の『アブソリュートDS NEXT』は、ダンパー内部の構造が倒立式から正立式に変更。各パーツの精度を高めることで狙いどおり のストロークを実現するショックアブソーバに仕上がっている。この”NEXT”のショックアソーバをベースに、高性能エアサスが開発された。
ショックやエアバックなどは、車種に応じてセッティングが異なる。エアサス開発の際には、完成度を高めるために代表の小林氏が自ら試乗や取り付けに携わるという。
【ショックアブソーバの組み立て】
01)ロッド、ケース、フリーピストン、トップカバー(上蓋)、ボトムカバー(底蓋)がショックアブソーバの主な構成パーツ。ボトムカバーには手作業でシリアルナンバーが刻まれ、製造年月日や減衰力特性などを管理している。ちなみに、ロッド先端のピストンバルブに厚さや径の異なるシムプレートを組み合わせることで、減衰力の特性を調整するのだ。
02)ケースにカラーを装着しフリーピストンを挿入。決められた位置まで押し込んでいく。
03)ケース内にオイルを注入。このオイルは何種類か用意されており、車種や用途に応じてベースオイルに混ぜる添加剤の量を調整しているという。
04)ケース内に溜まったオイルの泡を取り除くために、真空引きという作業を行なう。
05)ボトムカバーを取り付け、減衰力を左右するガスを充填していく。
06)ロッド上部にダイヤルを装着し、32段階の減衰力切り替えが可能か確認。その後、ショックアブソーバのテスターによって上死点、下死点などの動作や減衰力特性といったチェックが行なわれる。
【エアバッグの組み立て】
01)これが”スリーブタイプ”と呼ばれるエアサス部分。各車種に合わせて長さをカットし、スチール製リングによって上下をカシメる。
02)スリーブをカットし、上下カバーを装着。規定位置になるよう調整しながらリングを取り付け。
03)そして、”八方締め機”と呼ばれるプレス機に入れてリングを締め上げていく。仕上がりの直径は決まっており、スリーブを傷つけないよう何度かに分けて慎重に締め付けていく。
04)カシメ作業を終えた後、エア漏れをチェック。10kg/平方センチメートルという高圧エアを充填したまま24時間放置。問題がなければ出荷される。
コントローラーボックスも手作業で
エアサスの動きを制御するコントロ ーラーボックスも自社で製作。収納性を考慮すべく厚さ40mmという薄型構造を採用し、配線や配管などすべて熟練スタッフによる手作業で組み立てられる。
20年以上前、小林代表が海外製エアサスを見て「これはオモシロイ」と思ったのが、エアサス開発のキッカケ。走行距離無制限・3年間保証を謳うほどの耐久性を持たせたエアサスは、構造変更申請を行なうための書類も発行しており、車検OKの公認アイテムとして多くのドレスアップユーザーから支持されている。
ボルドワールド代表取締役 小林春基氏
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