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いまなぜあえてディーゼルなのか?──メルセデスがコンパクトにもディーゼルを入れ始めた理由

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いまなぜあえてディーゼルなのか?──メルセデスがコンパクトにもディーゼルを入れ始めた理由

昨春のAクラスに続き、年末に欧州デビューしたプレミアム実用ハッチのメルセデス・ベンツ Bクラス。Aと同じ新世代プラットフォームを採用し、エレガントな新デザインや新インフォテインメントシステムのMUBXの導入も話題だが、それよりジミだが重要なのはメルセデスコンパクトとして日本に初導入される新世代の2リッターディーゼルエンジンだ。グレード名は「B200d」で新たに4種の排ガス後処理システムを備えるが、コストは? それほどまでにしてディーゼルを入れる意味はあるのか?

まずはスペインで行われた試乗会でプロダクトマネージャーのオリバー・ゾルケ氏を直撃した。

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小沢 今回新クリーンディーゼルを投入していますが従来の酸化触媒、DPFに加え、新たに2つのSCR(選択式還元触媒)を搭載。どう考えても高く付きそうですが、そこまでする必要はあるんでしょうか?

ゾルケ ディーゼルは市場によって好む、好まない市場があり、まずは一番需要のあるEUの厳しい市場に合ったディーゼルを作る必要がありました。

小沢 とはいえ価格が一番心配で、日本では販売価格がラクに400万円を超えてくるんじゃないかと。

ゾルケ 確かに技術を増やせば増やすほどコストもかかりますがAクラス同様、前世代とあまり変わらない価格で提供するつもりです。

小沢 4つの後処理システムも付けても、ですか? 日本円で少なくとも10万円ぐらい高くなるのでは?

ゾルゲ 細かい部分は日本に聞いてみないと(笑)。

小沢 欧州ではディーゼル車が入れない街も出てきていて、一部使えなくなる可能性も出てきたと言います。将来の資産価値が読めず、特にカンパニーカーとしてディーゼルは買い控えが起きているとも。今回のBクラスに関してそれはないと言いきれますか?

ゾルゲ 今回のディーゼルはすでにユーロ6規制ではなく、2020年に適用されるユーロ6dNORMに適合していて、そのあたりには自信があります。

小沢 ディーゼルの価値は落ちないと。

ゾルゲ 現在ヨーロッパの世論は、事実ではないウワサなどに流されやすくなっていますが、弊社としては技術と事実をつかんでいますし、それを満たしていればディーゼルは売れ続けると考えています。

要するに将来ディーゼルの価値がなくなるというウワサに根拠はなく、時代にあった進化を続けていれば問題なく使えるということのよう。なにより日本では最大のライバル、BMW 2シリーズアクティブ&グランツアラーのディーゼル人気が相変わらず高く、これ以上導入をためらっていられないということかもしれない。

肝心のB200dだが、エンジンは新開発の2リッター直4ディーゼルターボでパワー&トルクは150ps & 320Nmとなかなか。燃費も8速ATと組み合わされて欧州モードで最良4.2リッター/100km=23.8km/リッターと良好。なにより乗り味がいままでにないものだった。

燃焼が全域でコントロールされているからか、かつてのディーゼルのようなパンチや爆発力は感じない。だが、その分回転フィールは非常にきめ細やかかつ滑らか。どこの回転域でふんでもネットリと見事に加速してくれる。より手なずけられたディーゼルユニットという印象なのだ。

さらにスタイリングだ。全長×全幅×全高は4419×1796×1562mmで、現行モデルより26mm長く、10mm幅広く、4mm低い。高さは旧型とほぼ変わらずで実用ハッチバックの域を出ないが、明らかに以前より伸びやかで美しい。ノーズとボディの一体感も増し、フロントはAクラス同様のシャークマスク。釣り上がったLEDライトがシャープで、リアの造形も丸みを帯びてプレミアム感は高まっている。

インテリアもまたAクラスはもちろん、C&Eクラス同様の質感の高いシルバー素材で埋め尽くされ、なによりオプションで最大10.25インチ×2サイズの超ワイドディスプレイを持つMBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)が圧巻。

その超見やすい画面サイズはもちろんのこと、ナビ機能から車両設定、コネクティビティなどなどステアリングのタッチスイッチで自由自在にコントロールできるだけでなく、Apple SiriやAmazon Alexa顔負けのボイスコントロールが凄い。

機械式ボタンを押さずとも「ハイ、メルセデス」という音声だけで起動し、音声だけでエアコンやナビ、ネット検索をすることが可能。

具体的には声で「暑い」「寒い」と言うだけ、「ニューヨーク」「ミュンヘン」「銀座」と叫ぶだけで目的地設定をしてくれるのだ。もちろん64色から選べる艶めかしい室内アンビエントライトも設定を変えられる。

さらに室内の広さだが、全長が伸びた分、リアシートには大人3人がゆったり座れる、ラゲッジ容量は455リットル。VWゴルフの360リットルを超えるだけでなく、Cクラスセダンに匹敵する使い勝手を持っているとも言える。

新作ディーゼルユニット、スタイリング、ユーザーエクスペリエンスの出来の良さだけじゃない。クルマとしての基本的なポテンシャルアップも新型Bクラスの大きなセールスポイントだ。

兄貴分のAクラスで初採用した新世代プラットフォームのMFA-IIをこちらでも採用。乗り心地はいままでどこか芯が硬かった従来のコンパクトシリーズとは一線を画す出来で、上質な乗り心地はもちろん、静粛性も上がり、完全にひとクラス上のミディアムクラスキラー。

さらにいいのはハンドリングで今までもコンパクトなのに懐が深いメルセデステイストだったが、ここに来てより外乱に強く、ゆったり感が増している。

見た目は小さいが、走っているとCクラス、いやEクラスレベルの車両を動かしているような錯覚を感じる。ある意味、かつての190Eに初めて乗ったときのような感覚にも近い。よって小沢的にはハッチとセダンの違いはあれど、上級車種のCクラスの代わりに買ってもいいんじゃないかと思えたほど。

こうなるとやはり最大の懸案事項は価格で、貴金属を使い、コストが抑えられないはずの排ガス後処理システムを多く使い、車体を骨格から一新しているだけにベース価格でも400万円を越えてきてしまいそうだが、そうなるとまさにCセグメントというより、Dセグメントレベル。

ゾルケ氏の言う通り、現行モデル+αで収まれば非常に有り難いと思えた魅力的な新型Bクラスなのであった。

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