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いまだからこそ知りたいし知るべき!! クルマに罪はない!!!知られざるロシア車の真実は…走るシーラカンスだった…

掲載 更新 16
いまだからこそ知りたいし知るべき!! クルマに罪はない!!!知られざるロシア車の真実は…走るシーラカンスだった…

 ご存じ、ロシアによるウクライナ侵攻という蛮行の真っただ中という状況が続いています。先進国が「まさかそこまでやらないだろう」と予測するなか、そこに踏み切った体質に驚くが、ロシアとはいったい全体どういう国でどういうカルチャーなのか? そこであえて今、貴重な日本在住のロシア車に乗ってみることにした。協力を願ったのは激レア欧州車の直輸入販売で有名な東京・千駄ヶ谷のショップ、『ルパルナス』さんだ。

 ロシア産のクルマはどんな具合なのか? え、最近売れてるって本当ですか? そして何より知りたい、今ルーブルで決済ってできるんでしょうか……???

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文/小沢コージ、写真/ベストカーWeb編集部、平野 学、フィアット、取材協力/ルパルナス

■今あえてシーラカンスなロシア車に乗る!

LADAニーヴァレジェンドルクス5ドアモデル。すでにロシアでも生産が終了した貴重なモデルで、ルパルナスではこのモデルが諸費用消費税込みで約330万円とのこと

「今はワズやラーダ4x4、初代フィアットパンダや新車のシトロエン2CVなどプリミティブなクルマにフォーカスしています。世界的にクルマの電動化が進むなか、今乗らなければいつ乗るの、今でしょって話ですね」(輸入元ルパルナス談)

 今のロシア自動車市場は乗用&商用&トラック含めて年間約160万台前後で世界10位というそこそこな規模。驚かされるのは他マーケット同様、日本、韓国、ドイツなど海外グローバル勢が参入するなか、地場ブランドが頑張り続けていること。

 筆頭は創業1966年で2014年には日産ルノーアライアンス傘下に入ったロシア最大の自動車メーカー、アフトワズの「ラーダ」ブランドだ。 

 モスクワから東に約1000km行ったヴォルガ川沿いトリヤッチを本拠地とし、創業当初はVAZ(ヴォルガ自動車工場)という、BMW(バイエルンモーター工場)みたいな社名だった。

■匂いは新車でもデザインは1970年代!

 その代表作が今回乗った本格クロカン4WDのニーヴァだが、実に今から45年前の1977年に生まれた現代版「走るシーラカンス」でもある。この手の四駆は一般車以上にプロ向けや軍用で愛用されるため、ロングセラーは当たり前。3代目スズキジムニーは20年間、有名な初代メルセデスベンツGクラス(ゲレンデバーゲン)などは1979年から39年後の2018年まで作られていた。

 しかし、ロシア車は「シーラカンス度」で西洋的常識を上回っており、今回乗った最新型ニーヴァレジェンドの基本設計は45年前! 塗装や車両の匂いは新車なクセして、デザインや装備品は1970年代後半という不思議な時代錯誤感に萌える。

 同時にコイツが今も年30万~40万台レベルで作られ、現地周辺で消費されているのも驚きで、このタイムスケール感と規模はロシアならではだ。

 一方、ニーヴァレジェンドには着実にルノー日産の技術が移植されており、インパネデザインは小沢が5年ほど前に乗ったニーヴァとビミョーに異なっている。パワーウィンドウスイッチはルノー車と同じだし、マニュアルエアコンのダイヤルもルノーっぽい。ルパルナス担当者によれば「操作系なんかもいろいろ滑らかになってます(笑)」とか。

 とはいえ乗りこんだニーヴァレジェンドからは記憶を呼び覚ます1970年代の香りであり、古きよきフィアットの香りが漂ってくる。

■あり得ない古今折衷車! ラーダニーヴァレジェンド

 まず、サイズ感が今じゃあり得ない。今回チェックしたのは3ドアと5ドアでほかにピックアップトラックがあるが、前者の全長×全幅×全高とホイールベースは3640×1680×1640mmと2200mmで、後者が4240×1680×1640mmと2700mm。これと張り合えるのは軽ベースのスズキジムニーシエラくらいという昭和なコンパクトさだ。

 デザイン観もぜんぜん違ってなぜか初代フィアットパンダに似ている。というのもアフトワズの前身であるヴォルガ自動車工場は、1966年のフィアット124のライセンス生産から始まっており、まさしくフィアットがお手本なのだ。

 丸目ヘッドライトの上にまゆ毛のごとく長方形ウィンカーが付くレイアウトもクラシカルだし、タイムスリップ感はハンパない。

 さらに時代錯誤感たっぷりなのは装備のハイテク度でライト類はイマドキLEDゼロ。すべて電球だ。唯一、後付け風のハイマウントストップランプがLEDっぽいがそれくらい。

 インパネにもデジタルディスプレイの類はいっさいなく、それどころかオーディオすらついてない。エアコン下にDINサイズの空きスペースがあるだけだ。

 代わりにフロアには長めのシャフトの5MTとふたつのレバーが備わり、そもそもATの設定自体がない。しかも本格四駆で複数フロアレバーといえば、ランクル70系のようにローレンジとハイレンジ、さらにFRと4WDを切り替える副変速機を思い浮かべるが、ラーダに効率的なFRモードはなく、常時4WDでローとハイを切り替えるだけ。もう1本はデフロック用レバーで、まさに悪路走破に特化した男のワイルドSUVなのだ。

ラーダニーヴァレジェンド5ドアに試乗する筆者。乗り心地は思いのほか良好だったことに驚かされた!!

 サスペンションはフロントが教科書に書いてあるような強固なコイル式ダブルウィッシュボーン式で、リアがリジット式5リンク。運転感覚は不思議で、ステアリングフィールはなぜかフィアットパンダに似ていて、乗り心地がことのほかヨイ。

 エンジンは84ps/129Nmを発生する1.7LのSOHCガソリンで、基本設計はボディ同様に1970年代と古い。しかし、そのわりにちゃんと回るし、パワー感もあって、これぞロシア七不思議。根本設計こそ古いが、2000年代に入って燃料系がインジェクション化され、排ガスはユーロ5に対応。

 また、極寒期の遭難事故も多いのだろう、SOSスイッチは法的に義務付けられ、ラーダにも後述するUAZにもついている。

 圧倒的古さと絶妙モダンさが共存しているのが今のロシア車なのだ。

■超ド級の時代錯誤感はこちらが上!! UAZ(ワズ)3909SGRコンビエクスペディション

UAZ3909SGRコンビエクスペディション。「冒険野郎」の意味があるエクスペディションの名がつくとおり、冒険旅行のための装備が満載。こちらはルパルナスでは諸費用消費税込み約415万円

 とはいえ驚くのはこれから。次の1台はさらに圧倒的だった。知る人ぞ知る、世界的にも希なワンボックス4WDのWAZ(ワズ)3909で、懐かしい三菱デリカスターワゴンのご先祖様。今、ルパルナスではミリタリーなカーキとオレンジというふたつのボディカラーが選べるが、サイズからしてラーダニーヴァ以上の時代錯誤感。

 全長4363×全幅1940×全高2064mmとホンダヴェゼル並みの全長にして幅と高さは2m近く、それでいてトレッドは妙に狭い。ロシア語の愛称「ブハンカ」=(食パン)からも想像できるキュートなデザインで、時々トヨタファンカーゴの延長線的にUAZを欲しがる日本人がいるそうだが、とんでもない。ある意味、風呂なし石油ストーブの四畳半アパートに住むような覚悟が必要な超原始的カーだ。

 そもそもUAZ=ウリヤノフスク自動車工場は第2次大戦中にラーダ同様、これまたヴォルガ川沿いに誕生した自動車メーカー。もとは軍需工場で、1958年(昭和33年)に初の自社開発モデルとして、ワンボックスカーの「UAZ450」が誕生した。

 以来、改良とバリエーションを増やしつつ生まれたのがUAZ3909。マジメな話でデザイン&質感はほぼ60年以上前から変わらないという、リアルな走るタイムマシーンなのだ。

■ロシア云々以上にプリミティブさに驚愕!

UAZのエンジン。運転席と助手席との間にドーンと2.7L直4DOHCエンジンが鎮座している様子は迫力モノだ!

 シビれるのはボディプレス精度で、右リアサイドドアを開けてビックリ。開口部のゴム類、内装樹脂などは極力省かれ、鉄板の端っこは荒れていてうっかり触ると手を切っちゃいそう。鉄板表面は波打っており、さっきまで職人が手で叩いていたかのよう。

 運転席に座るとさらに驚き。着座位置がやたら高いだけでなく、インパネは鉄板むき出し。ドアに少し付いてる内張りも精度が揃ってないし、エアコン操作はすべてスイッチ。ダイヤルや送風口すらなく、温風は剥き出しのダクトパイプから出てくるだけ。手打ちそば並みの精度で作られたワンボックス4WDであり、いやマジで久々の自動車カルチャーショック!

  小沢が生まれた1950年代は「クルマってこんな風に手作りされてたのね」と思うし、それが一部ロシアで今も行われていることに驚かされる。

 走り出すとまたまた驚き。エンジンはピークパワー&トルクが112ps&198Nmの2.7L直4DOHC16バルブで、まあそこまではいい。気になるのはサイズと搭載位置で、ハイエース同様、キャブオーバーレイアウトで運転席下に縦置き搭載されているのだが、助手席との間に熊のようなサイズで鎮座してるうえ、運転中にカバーを開けることが可能。エンジンファンで手を切ることができる位置関係にあるのだ。

 走り味も凄く、シフトブーツのない、グニャッとした5MTを操りつつ、重いクラッチをつなぐと、あっさり発進。車重2トン以上もあるわりに操作はしやすいが、さすがに前後板バネの原始的リジットアクスルだけある。ボディ剛性感、ステアリングフィールや操舵精度はリアル1960年代。小沢のなかでは今やクラシックカーとも言えるランクル40系以来の柔らかな味わいだった。

■ロシア通貨、ルーブル暴落でどうなった?

 今現在、ロシアにはトヨタや日産の工場があり、工作精度の高い最新SUVが作られ、現地で売られている。しかし、同時にUAZやラーダニーヴァも売られているのだ。おそらく都市部ではなく、人里離れた郊外や気温が平気でマイナス20度以上いくような荒野を中心に。そのほか、救急車、緊急車両としてもUAZはふつうに使われているという。おそらく他国にはない二面性を持つロシア車ワールド、実に興味深い。

 ちなみに、今のルーブル暴落でUAZ&ラーダの価格がどうなるかについてだが、ルパルナスの会長いわく、「ルーブルが安くなればそのぶん、額面の車両価格は上がります。何年か前にハイパーインフレが起こった某国からの輸入がそうでした。クルマ1台数千万ルーブルとか、ゼロがいくつあっても足りない状態になるかも!? ウチは現地駐在員を置いていて、常にベストな方法を選択しています。政情不安地域と貿易する必殺仕事人はドル建て決済です!!」

 いやはやひと筋縄にはいかない、いろんな意味で大変な状況のようだ。

「ルパルナス」http://www.le-parnass.com
〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷2-3-4ルソレイユ1F TEL 03-3416-8547

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みんなのコメント

16件
  • 今、わざわざロシアの車を紹介しなくてもよいだろ、
    ふざけているならやめろよ
    人がなくなってるんだよ
  • クルマには罪はないのは確かだけど、ロシア車を買うと言う事はお金が流れる訳です。
    各国が経済制裁をしている中で、このタイミングでわざわざロシアのクルマを取り上げるのは悪趣味でセンスがないと言わざるを得ません。
    今だからこそのタイトルに対しての納得のいく理由も見つけられません。
    それにシーラカンスと言えば私の中ではデボネア一択です。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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