この記事をまとめると
■日産、三菱から軽自動車のEVが発表となった
いまや20車種以上! 本格的な電気自動車時代を予感させる「いま日本で買える」EVラインアップ
■軽規格のモデルが登場したことは、EVを一気に身近なものに感じさせる
■しかし筆者は、EVの普及を進めるためには現状を変えるべきだと考える
軽モデルの登場はEVを一気に身近なものに感じさせるが……
2022年5月20日、日産からサクラ、三菱からeKクロスEVが発表となった。テレビコマーシャルなどでは、“軽自動車規格のBEV(バッテリー電気自動車)”ということがアピールされている。電力供給インフラの現状とともに“BEV=高額”というイメージもあり、興味があっても消費者の多くはなかなかBEVに触手がのびない(日系メーカーのラインアップが少なすぎることもあるが……)。
“軽規格BEV”というフレーズは、BEVを一気に身近なものに感じさせるのだが、とはいってもサクラを例にみるとXが239万9100円、Gで294万300円となり、補助金が交付されても、支払い総額は内燃機関の軽自動車のマキシマムレベルとなっており、“BEVがちょっと身近な存在になった”くらいが正直なところかもしれない。
ただし、このようにいままでの自動車の価値観を継承するようなやり方は、電動車普及にとっては“諸刃の剣”といえるだろう。現状のプロモーションを見ていると、「軽自動車規格のBEVを作りました」というイメージが強いが、「日本的でコンパクトなBEVを開発したら、たまたま軽自動車規格に収まった」というイメージで開発したほうがベストのように考える。
価格設定や日常生活に密着した“移動手段”と割り切った使用形態を見ても、内燃機関の軽自動車ユーザーをメインターゲットとするのは厳しいものがあるし、さすがにメーカーもそこの層をメインにはしていないようにも見える。世界的に見ても所得に余裕がないとなかなかBEVに手を出せる環境が整っていない現状では、そもそも“軽自動車”というキーワードが販売促進にどれだけ効果があるのかも微妙なところである。しかも軽自動車を強調すると新たな(狙っている)ユーザー層にすら十分なアピールはできないのではないかとも考える。
“いままでにないワクワクしたもの”を盛り込むべき
同じ“クルマ”の形をしていても、内燃機関車とBEVはまったくの別物であると、作り手が発想の転換を強く意識しないと、100年に一度の変革期で勝ち残るのは難しいものと考える。あくまで私見だが、欧州のBEVと日系メーカーのBEVを比べると、そこの意識の違いを強く感じてしまう。
現状では電動車は内燃機関車に比べ割高感が否めないのだから、興味があっても躊躇している消費者の背中を押すには、“いままでにないワクワクしたもの”を進んで盛り込むべきだと考える。“エンジンからモーターに動力を変えただけ”ではダメなのである。いくら購入補助金を積み増したり、価格訴求力を高めても、“面白そうだな”と思わせなければ、すでに日本では“BEV=面倒なもの”というイメージも浸透しているのだから、内燃機関車の全面販売終了などが起きない限りは、「やっぱりエンジンはあったほうがいい」として、せいぜいHEV(ハイブリッド車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)へシフトするだけで終わるかもしれない(ないよりあったほうがいいは、日本人の国民性のひとつ)。日本はHEVで足踏みしてしまったこともあり、HEV以外の電動車普及で世界市場から出遅れた状況をなかなか改善することはできないだろう。
作り手としては、車両開発とともに、消費者にBEVが内燃機関車の延長線上のものではないことをアピールしていくことも必要と考えるが、それにはまず作り手の発想の転換や創造力が開発の要になっていくのではないだろうか。
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みんなのコメント
例えば90キロワットのスタンドなら誰も使わなくても153000円の基本料金を取られる4基整備すれば4倍になる。
この固定費がバカにならず価格に転嫁せざる負えない。
しかもEVを買ったら家で夜間に充電する人も多くなるからEVスタンドを利用する人は少なくなる。
利用する人が少ないからEVスタンドは増えない、あるいは廃業していく。
結果、いつまでたってもEVスタンドは増えず家での低速充電だけで充電するようになる。
実際ブームで2万数千基の充電スタンドが出来たが既に1/3が廃業してる。