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長く待った甲斐があった 日産アリア 63kWh へ英国試乗 クラス・ベストのインテリア

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長く待った甲斐があった 日産アリア 63kWh へ英国試乗 クラス・ベストのインテリア

ID.4やモデルYに対する日産の回答

今回試乗したのは、ひと足先にバッテリーEV(BEV)へ取り組んだブランドによる、最新のミドルサイズ・クロスオーバー。ようやく、量産版の準備が整ったようだ。

【画像】待った甲斐があった! 日産アリア 欧州で競合するBEVのクロスオーバーと写真で比較 全123枚

少しおさらいしておこう。このアリアは、フォルクスワーゲンID.4やフォード・マスタング・マッハE、テスラ・モデルYといった、各メーカーが新モデルをリリースするカテゴリーへの、日産からの回頭といえる。

英国編集部では数ヶ月前にプロトタイプへの試乗を済ませているが、今回は2022年後半から納車が始まる、欧州仕様の完成版。既にオーダー済みの読者もいらっしゃると思うが、あと数ヶ月待つだけの価値はあると、先に触れておこう。

日産は、2007年に発売したデュアリスがクロスオーバー市場を開拓し、2010年のリーフがファミリーカーとしてBEV市場の先陣を切ったと主張する。その2つが融合したモデルが、アリアということなのだろう。

確かに、ユーザーのニーズを巧みに捉えていたとはいえる。だが、今回の投入が遅れ気味だったことは間違いない。

英国の販売価格が決定する前に、他のメーカーはBEVのクロスオーバーをラインナップに加えてしまった。あまり積極的とはいえなかったトヨタでさえ、欧州市場での動きは早かった。その結果、日産は従来以上に多くの注目を集める必要性に迫られていると思う。

セグメント・ベストといえるインテリア

しかしながら、アリアは充分な強みを身に着けてきた。保守的なファミリー層向けのモデルとしては、しっかりした個性もある。特に、スタイリッシュなボディ以上に、インテリアへ感心する人も多いだろう。

ジュークやリーフなどの、既存モデルへ与えられていたデザインとの関係性は、大胆に断ち切られている。車内は唸るほど上級な仕上がりといえ、鮮明な12.3インチ・モニターやヘッドアップディスプレイなど、デジタル技術もふんだんに盛り込まれている。

ダッシュボードに埋め込まれたエアコンの操作パネルは、優しく光る。センターコンソールは前後にスライドでき、車内移動を容易にしてくれている。小物入れも随所に用意され、利便性にも配慮されている。このクラスでは、ベストかもしれない。

なだらかに傾斜するルーフは、後方の視認性を若干犠牲にしているとはいえ、車内空間は大きめのサイドガラスのおかげで明るく風通しが良い。前後のシートまわりにも余裕がある。ただし、フロントシートの下には、リアシートの人の足を潜らせる隙間がない。

標準装備や内装に用いられる素材、仕立てなどを観察するほど、4万5000ポンド(約750万円)前後のBEVとしては飛び抜けて豪華に感じる。5万ポンド(約835万円)を超えるトップグレードとなると、そこまでのアドバンテージはないとはいえ。

100km/h近くまで衰えない加速力

カタログスペックもライバルに見劣りしない。試乗車は、前輪駆動のシングルモーターに63kWhの駆動用バッテリーが組み合された、エントリーグレード。最高出力218ps、最大トルク30.5kg-mを発揮する。

トップグレードとなるのが、日産がe-4ORCE(イーフォース)と呼ぶ、ツインモーターの四輪駆動。こちらは393psに61.1kg-mと、かなりの上昇となる。

航続距離は前輪駆動で402km。四輪駆動では駆動用バッテリーも大きくなり、529kmへ長くなる。ただし、ファミリー・クロスオーバーのターゲット層は、さほど動力性能を重視しない。支持割合でいえば、穏やかな前輪駆動モデルの方が高いはず。

すべてのアリアには、最大130kWの急速充電機能が付いてくる。悪くない容量だが、近年では必要最低限といっていいだろう。韓国のヒョンデとキアは、350kWまで対応させているからだ。アリアで充電を待っている間に、アイオニックは出発している。

前輪駆動に218psでも瞬発力は鋭く、フロントタイヤのトラクションを危うくするほど。0-100km/h加速は7.5秒と良好で、100km/h近くまで加速力は殆ど衰えない。遅いクルマの追い越しも、郊外の一般道だけでなく、高速道路でも余裕でこなせる。

勢いよくスピードが増すとはいえ、アリアの運転が楽しいとまでは感じない。それでも前後の重量配分は、前輪駆動が48:52、四輪駆動が50:50と優れており、操作に対する反応は自然。安定感も高い。

期待を抱かせる魅力的なクロスオーバー

ステアリングホイールの操舵感は軽く、サスペンションは程よく角が取れている。コーナリングもそつなくこなせる。挙動は予想しやすく、ドライバーの運転する自信を高めてくれる。

低速域での洗練性は、フォルクスワーゲンID.4に引けを取らない。粗雑な舗装の修復か所を越えない限り、車内へ明確な振動が伝わってくることはない。

高速域でも、ロードノイズや風切り音は見事に抑えられている。車内で気になることは殆ど無いと思う。

管理状況の良くない英国の舗装路を走ってみるまでは、最終的な判断はしにくい。少なくとも、3代目デュアリスは英国の道路環境を踏まえて開発されている。その経験が、アリアにも落とし込まれていることに期待したい。

日産として2番目のBEV登場まで、12年も待つことになった。しかし、先駆者といえたリーフの作り込みの良さや合理的な訴求力を巧みに取り入れながら、魅力的なクロスオーバーを仕上げることに成功したといえそうだ。価格価値にも優れている。

日産というブランドの、変革の1ページといえるかもしれない。アリアに乗ったことで、筆者は今後の展開に大きな期待を抱くことができた。

日産アリア 63kWh イヴォルブ(欧州仕様)のスペック

英国価格:4万7480 ポンド(約792万円)
全長:4595mm
全幅:1850mm
全高:1660mm
最高速度:160km/h
0-100km/h加速:7.5秒
航続距離:402km
電費:−
CO2排出量:−
車両重量:1960kg
パワートレイン:AC誘導同期モーター
バッテリー:63kWhリチウムイオン(実容量)
最高出力:218ps
最大トルク:30.5kg-m
ギアボックス:シングルスピード

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みんなのコメント

4件
  • デュアリスは車よりロボットの方が欲しかった。 アリア結構販売していると思うがまだ燃えたという話は聞かない。 
  • 色合いも同じだから、今記事を出されるとクラウンクロスオーバーに見える。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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