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コイツは完璧に動くショーカーだ!──日産GT-R50 by イタルデザインに乗った

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コイツは完璧に動くショーカーだ!──日産GT-R50 by イタルデザインに乗った

幸運は、どこでいつなんどき降ってくるか分からない。

毎年“見学”に行く、モントレー・カー・ウィーク。その日、朝からコンクール・レモンとコンコルソ・イタリアーノをさっさと見学し、駐車場が混みだす前にと急いでラグナセカへと向かったときから、“ラッキーの歯車”が回りはじめていたのかもしれない。

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昼前に、「モータースポーツ・リユニオン」の舞台となるラグナセカ・サーキットへ到着。午後のレース(この日はF1やIMSA GT、トランザムといった人気カテゴリーが予定されていた)が始まる前に、と、いつもならそのまま毎年恒例のスタンド席へと向かうはずが、その日に限って何かに導かれたかのように分かれ道をパドックの方向へと辿っていた。

日産&ダットサンのブースが見えた。そう、今年のラグナセカのテーマだ。510ブルーバードやフェアレディSR、ダッツンZなどがズラリと並んでいるその向こうに、ひと際人だかりのあるクルマがあった。

それが、日産GT-R50 by イタルデザインだった。

7月に英国で開催されたグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード(FoS)にて初公開された、R35 GT-Rのスペシャルバージョン。日産のアメリカとヨーロッパのデザインチームが中心となってコンセプトを練り上げ、車体の開発と設計、製造をイタリアのイタルデザインが負うという異色のプロジェクトで、90万ユーロ~の価格設定と限定50台以下という生産台数も話題になった。

FoSで耳目を集めたクルマそのものが、ラグナセカにも展示されている。思わず駆け寄ってみれば、そこによく知る人物がいた。

フィリッポ・ペッリーニ。元アルファロメオ、元ランボルギーニのイタリア人デザイナーで、現在はイタルデザインのチーフデザイナーを務める。そして、日産の現デザイントップであるアルフォンソ・アルペイザと、前任者である中村史郎氏もいた。GT-R50にまつわるデザイナーがみんな揃っていたというわけだ。

全員に挨拶をしおえた筆者は、日産のふたりがGT-R50に乗り込むのを見送って、フィリッポに軽くインタビューを試みた。

「このクルマの最大のポイントは、第1号の試作車でありながらフツウのショーカーとは違って、いつでもフル性能を引き出せる点にあるんだよ。ちゃんと試してもらえるよう、動くショーカーを造ったんだ。たった5カ月でね。チャレンジングなプロジェクトだったよ」。

FoSやラグナセカといった大舞台で、誰が乗ってもいいように造り込んであるのだという。「たとえば君のようなジャーナリストにだって乗ってもらえるように造った」などとフィリッポが言うものだから、筆者も思わず軽い調子でこう尋ねてみる。

「だったら、ボクにも運転させてよ」。

言ってみるものである。フィリッポは現場の責任者に試乗のチャンスがあるのかどうか、すぐさま聞いてくれた。そして幸運にも、翌日の午前中にチャンスがあるということが分かった。

しかも日曜日のレースを見学にきた大勢の観衆の面前でラグナセカ・サーキットを走るという、それはもう願ってもないチャンス。現場を預かるもうひとつのチーム、アメリカ日産の面々も、いろいろと調整してくれた。

翌日。厳守で、とメールで言われた時間のちょうど30分前にブースへ到着してみれば、イタルデザインのスタッフがGT-R50を展示しようとしていた。走り出す前に、いろいろと気になっていたことを聞いてみる。

2018年がイタルデザインの、そして2019年がGT-Rの50周年ということで初めてのコラボレーションになったと聞いているけれど、過去に日産との関係はなかったの?

「公式的にはなかったけれど、過去の案件をいろいろ調べてみるとコンパクトカーの提案をけっこう日産には出していたんだよ。あながち無関係とは言えないよね」

イタルデザインはGT-R50のデザインにまったく関与していないの?

「基本的には日産のデザインだ。けれどもボクたちが開発を担ったわけだから、いくつか提案もしたよ。具体的にはインテリアの一部やライト類まわり、ホイールデザインといったところかな」

いつから生産はスタートするの?

「年末からだね。来年9月には最初の1台をカスタマーに納車できると思うよ。そこからは2、3カ月に1台くらいの割合でデリバリーできるはずだ」

注文はどこですればいいの?

「イタルデザインで完全ビスポークになるね。発売もイタルデザインだ。内外装すべてをカスタマーの好みに仕上げることができる。もっともそのためにはイタルデザインに来てもらわないといけないけれど」

もうオーダーは入っているの?

「手応えはいいよ。問合せも多い。日本人からのオーダーも入っているしね」

そうこうしているうちに、走る時間になった。イタルデザインの広報担当が駆るGT-Rニスモの後について、サーキットを周回するという。ゆっくり走るから絶対に無理をしないように、コレ1台しかないし壊すと大変なことになる、などと脅されながら久々のラグナセカへとノーズを向けた。

サーキットに入った途端、前をいくニスモが全開モードになった。話が違うじゃないか! と、こちらも負けずアクセルペダルを踏み込んむ。

720ps&780Nmというスペックはニスモ+120ps&128Nmで、その差は歴然、と言いたいところだけれど、正直なところ1億円のGT-Rをいきなり全開にしなきゃという場面に追い込まれてしまったからか、パワーをじっくり体験するどころじゃなかった。

あっという間に前を行くニスモには追いついたし、なるほど速いといえば速かったわけだけれども、GT-Rそのものが既に十二分に速いわけで、その加速フィール自体は最早驚かない。ビルシュタインのアシも高出力に見合うよう変わっているというが、慣れないサーキットを少し走ったくらいでは明確な違いなど分からない。

なんだ、せっかく乗れたというのに何も分からなかったんじゃないか、と読者の皆さんから叱られそうだが、とはいえ、これほどユニークなカタチをしたほとんどコンセプトカーのようなクルマが、ノーマルのGT-Rさながらに走ってくれるということ自体、驚きではないか!

事実、乗っていてまるで違和感がなく、この手のワンオフモデルにありがちな、どこか線の細いきゃしゃで壊れそうな感じはまるでなかった。まったく気を遣うことなく走らせることができたのだ。すでに完成されたクルマだと言っていい(いくつか試作車らしいところもあったけれど)。

そして、走る姿の注目度の高さと言ったら! コースを走っていても、観客席からの視線を痛いほど感じた(ような気がした)。

たった2周の、ほとんど幻のようなGT-R50 byイタルデザインの初体験ではあったけれど、完璧に動くショーカーの感触はクルマ好きには堪えられないものだったと言っていい。

幸運は、いつだって目の前にあるものらしい。

そうそう、自分の幸運に興奮して思わず書き忘れそうになったけれど、このGT-R50 by イタルデザイン、近々に日本へもやってくるらしい。

貴方も幸運を見逃すな。

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