2021年9月19日、トヨタのフルサイズピックアップ「タンドラ」の新型モデルが北米で発表された。7月から公式にティザー画像が公開されていたが、今回、ついにその詳細が明らかとなった。
およそ15年ぶりのフルモデルチェンジを経て登場した、新型タンドラ。その進化ぶりは、トヨタの本気度が伝わってくるものだった…。
新型は来年登場? 名門ランクルの約8割!? プラドの価値とモデル末期でも売れる訳
文/立花義人(エムスリープロダクション)
写真/TOYOTA
[gallink]
「ビッグスリー」に負けないスタイリングに!!
3代目となる新型タンドラ。写真はスタンダードモデルの「Limited」
昨今のピックアップトラックには、力強い存在感と威厳だけでなく、リッチでラグジュアリーな雰囲気がなければならない。これまでのタンドラもそれがなかったわけではなかったが、ビッグスリー(1位がFシリーズ、2位/3位がシボレー・シルバラードまたはラム・ピックアップ)の威圧感に比べたら、ややインパクトに欠けていた。
しかし新型タンドラは、立体感のある造形のバンパーとグリル、ボリューム感たっぷりのボンネットフード、がっちりとした力強さを感じさせるフェンダーアーチ、それらの要素をさらに際立たせるヘッドランプと、タフでアグレッシブな要素とラグジュアリーな要素を見事に融合させている。ビッグスリーと見比べてもまったく引けを取らない、威厳に満ちた存在感だ。
グレード構成は、ベーシックなSR、SR5、スタンダードのリミテッド、上質な雰囲気のプラチナ、最上級グレードの1794エディション、そしてオフロード性能を高めタフなイメージのTRDプロ、というラインアップ。TRDプロのフロントグリルはトヨタのマークではなく、「TOYOTA」の大きな文字と、そこに下線を引くようにLEDバーが配置されたユニークなデザイン。ランドクルーザー300のGRスポーツのようであり、トヨタのオフロード性能をアピールするかのような演出だ。
先進的で新世代のラグジュアリーを感じさせるインテリア
先進的な装備とラグジュアリーの融合が感じられるインテリア。助手席側のTOYOTAロゴに遊び心も感じられる
先代タンドラのインテリアは直線基調のダッシュボードパネルに機能的なスイッチ、丸型の空調ルーバーと、比較的シンプルなデザインであった。木目調や金属調の加飾、レザーシートなどリッチな雰囲気が味わえる空間に仕上げられているのだが、15年前に登場したモデルということで、さすがに一世代前の雰囲気は拭えなかった。
そんなインテリアも、新型では、タフなイメージにマッチさせながらも、先進性とプレステージ性を高めたデザインに一新された。直線基調のダッシュボードに、助手席側正面には「TOYOTA」のロゴが配置され、タフな印象と遊び心が与えられている。
シートやトリム類はレザーやソフトタッチの素材が使用され、フロントシートはヒーターの他にベンチレーション機能も備わる。また、パノラマムーンルーフ、パワーバーティカルリアウィンドウなど、ピックアップの魅力を高める装備も用意されている。
メーターパネルはアナログ+4.1インチマルチインフォーメションディスプレイ付き、もしくは12.3インチのフル液晶と、最新モデルにふさわしいデザインとなっており、インパネ中央には標準仕様で8インチ、オプションで14インチのタッチスクリーンが据えられる。
フルサイズピックアップ初となるハイブリッドを搭載
トヨタの新V6エンジンとモーターを組み合わせた新しいパワーユニット「i-FORCE MAX」。タンドラ史上最強のパフォーマンスを発揮する
新型タンドラには2種類のパワートレインが用意されている。ひとつは3.5L V6ツインターボ「i-FORCE」で、最高出力は290kW(394.4ps)、最大トルクは649.44Nm(66.22kgf・m/479lb.-ft)というスペックだ。型式名はアナウンスされていないが、これはランドクルーザー300にも搭載されているトヨタの最新V6エンジン「V35A-FTS」であろう。
もうひとつは、このV6ツインターボエンジンとトランスミッションの間にあるベルハウジングに、クラッチ付きのモータージェネレーターを備えたハイブリッドユニット「i-FORCE MAX」と呼ばれるものだ。システム最高出力は325kW(443.1ps)、最大トルクは 790.44Nm (80.6kgf・m/583lb.-ft)というスペック。プリウスなどのTHS-IIとは違うメカニズムで、トヨタで初めて採用されるユニットとなる。ガソリン、ハイブリッドともに、新開発の電子制御式10速ATが組み合わせられる。
モーターアシストによるトルクの瞬発力は、オフロード走行やトレーラーのけん引などで威力を発揮する。フルサイズピックアップへのハイブリッド搭載は、昨年フルモデルチェンジしたフォードF-150に先行されているが、ハイブリッドのパイオニア的存在であるトヨタがここで存在感を示していきたいところだ。
そうなると、新型ランドクルーザー300にもこのモアパワーのユニットが将来的に搭載されるのではないかという期待も膨らむが、筆者の個人的な意見では、どちらかというと新型レクサスLXに搭載される方が自然ではないかと考える。
新型LXは5.7LのV8エンジン(先代タンドラと同じ3UR-FE)を廃止し、ランクルと同じV6ツインターボを搭載するとのことだが、そのまま同じエンジンを載せても差別化が図りにくい。i-FORCE MAXはざっくり言えばマイルドハイブリッドではあるものの、ガソリンモデルよりパワフルで緻密なマネージメントが可能であり、オフロード走行でここぞというパフォーマンスの際に威力を発揮しやすい。レクサスSUVのフラッグシップモデルを名乗るからには、そういう説得力も必要になるだろう。
従来よりも丈夫で力持ちに進化した
けん引能力も先代の約4,500kg (10,000ポンド)から約5,400kg (12,000ポンド)に向上している
新型タンドラのシャシーは高張力鋼を使用し、先代モデルより大幅に剛性を高めると同時に、主要部分にアルミ素材を使用することで軽量化も図っている。荷台には新しいシート・モールデッド・コンパウンド構造(SMC)と強化アルミニウムクロスメンバーを使用し、従来よりも、衝撃によるへこみ、サビに対する保護を強化している。
サスペンションはフロントが新開発のダブルウィッシュボーン、リアは従来のリーフ式が廃止され、新たにマルチリンク式が採用された。これにより乗り心地と直進安定性、操縦安定性を向上させている。ロールステアは先代比で25%も低減されたそうだ。
ピックアップトラックで重要視される、トーイングキャパシティ(けん引能力)。新型タンドラは約5,400kg (12,000ポンド)と、先代の約4,500kg (10,000ポンド)から性能向上を果たしてきた。また、けん引する種類・大きさに応じて、2種類のモードを選択することが可能。もちろん、マルチテレインモニターやパノラマビューモニター、トレーラーバックガイダンスなどのアクセサリーも用意され、トレーラーの安全な接続や配置にも配慮されている。
最新の安全運転支援システムがプラスアルファの安心を
トレーラーけん引時に自動的にトレーラーを含めた長さを想定して、死角に入った車両を検知する「トレーラーマージ機能付きブラインドスポットモニター」も装備される
もちろん、先進安全運転支援装備にもぬかりはない。新型タンドラは、トヨタの先進安全運転支援システム「トヨタ・セーフティ・センス 2.5」が全車標準装備。これには歩行者検出機能/緊急ステアリングアシスト機能付き衝突被害軽減ブレーキ、ダイナミックレーダークルーズコントロール、車線逸脱警報、レーントレースアシスト、オートマチックハイビーム、ロードサインアシスト(道路標識認識機能)など先進的な安全装備が含まれる。
先代も2017年のマイナーチェンジ時に「トヨタ・セーフティ・センスP」が装備されるようになったが、新型は低照度時の歩行者検知や自転車検知、対向車の検知などの精度向上に伴って、より積極的にシステム介入がおこなれる次世代のセーフティシステムとなった。また、ピックアップトラックならではの機能として、トレーラーけん引時に自動的にトレーラーを含めた長さを想定し、隣の車線にいる車両が死角に入ると検知して警告を与える「トレーラーマージ機能付きブラインドスポットモニター」も装備されている。
◆ ◆ ◆
ダウンサイジングターボやハイブリッドの導入など、自動車業界を取り巻く環境の変化にあらゆるモデルが対応せざるを得ない状況の中で、新型タンドラはトヨタの持ち味を存分に生かした形でのデビューとなった。このモデルが果たしてビッグスリーの牙城を崩すことができるのか、今後の動向が楽しみだ。
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みんなのコメント
ただこの車、アメリカではトラック扱いだから税金が安いんだよね。日本の軽自動車は関税障壁とアメリカは主張するが、これも似たようなもん。ビッグ3も軽自動車作れば良いんだよ。まぁ、市場も狭いし、儲からないからね、文句つけること自体が疑問。
たまに日本でも見るが明らかに大きすぎ。アメリカだから許されるサイズ。
そしてタンドラのHEVはマイルドハイブリッドでは無い。ラム1500ピックアップは48VのマイルドHEVだけどタンドラは1.87 kWh/288Vパラレル式HEVです。