■ 新型「フィット」5つの魅力を発揮するも…伸び悩む理由
2020年2月にフルモデルチェンジしたホンダ「フィット」ですが、同時期に登場したライバルとされるトヨタ「ヤリス」と比べ、売れ行きは苦戦しているようです。なぜなのでしょうか。
まるでイタ車! トヨタ新型「ヤリス」おすすめはガソリン車! HV車よりイチ押しのワケ
初代フィットは、2001年に初代モデルが登場し、その後同メーカーの主力コンパクトカーとして長らく販売されているクルマです。
現行フィットでは、ガソリン車に加え、2モーター方式「e:HEV」搭載車をラインナップ。また、安全装備である「Honda SENSING」は、ホンダ車で初搭載となる「近距離衝突軽減ブレーキ」を含む11の機能が備わっています。
普通車の新車販売台数ランキングをみると、登場後の3月から5月はトップ3にランクインしていますが、その後は4位から5位に。そして9月は6位となり、トップ5さえ逃しています。
一方で、同時期に登場し、ライバルとされるヤリスは、3月から9月までで1位を5回獲得しているほか、トップ3から落ちたことはありません。
新型フィット発売後、10位以内をキープしていることは充分ヒット車種といえますが、大ヒットを記録するライバルと比較すれば、もうひとつ伸びて欲しいところでしょう。
なぜ、フィットは今ひとつ「突き抜ける」ことができないのでしょうか。
両車は、新型モデルが登場するまではそこまで大きな差がありませんでした。2019年の新車販売台数をみると、フィットは7万4410台、ヤリスの前身「ヴィッツ」は8万1554台となっており、その差は7144台。月平均で考えれば、およそ600台です。
しかし、2020年3月から9月では、フィットが6万5366台、ヤリスが9万2564台と、その差は2万7198台。月平均では、2000台以上の差が開いています。
フィットとヤリスの大きな違いについて、トヨタの販売店スタッフは以下のように話します。
「ホンダのフィットと比べると、ヤリス最大の武器である燃費性能での違いが大きいと思います。
実際に、フィットと迷っていたお客さまはこれまでたくさんいらっしゃいましたが、燃費が決め手となりヤリスを購入された人は多いです」
※ ※ ※
フィットのWLTCモード燃費は、ガソリン車で17.0km/Lから20.4km/L、ハイブリッド車で23.2km/Lから29.4km/Lです。
一方のヤリスは、ガソリン車で19.6km/Lから21.6km/L、ハイブリッド車で35.4km/Lから36.0km/Lとなっています。
ガソリン車で約2km/L、ハイブリッド車では最大12km/Lほどの差があるため、燃費重視のコンパクトカーではこの差は大きなポイントです。
実際に新型ヤリスを購入した20代男性は「以前はフィットに乗っていたので迷いましたが、今回は燃費が優れていてデザインも好みであったヤリスを選びました」と話しています。
街乗りで使い勝手重視のコンパクトカーでは、燃費性能は購入の決め手となる大きな要素のようでした。
■トヨタが包囲網で他を圧倒!? 一方で「トヨタの敵はトヨタ」状態にも
フィットが大ヒット車種になることができないこの状況は、今後も続くかもしれません。
2019年から2020年にかけて多くの新規モデルやフルモデルチェンジを投入しています。
2019年には、発売順に「RAV4(2020年6月にPHV追加)」「スープラ」「カローラ/カローラツーリング」「コペン GRSPORT」「ライズ」「グランエース」。
2020年は現時点までに、ヤリスに続いて「ハリアー」「ヤリスクロス」「GRヤリス」と、約1年10か月の間に10車種を新たに展開しています。
一方のホンダは、2019年に「N-WGN」、2020年に前述のフィット、そして「アコード」となり、新型モデルの投入においては大差がある状況です。
そして、直近の2020年9月の新車販売台数では、ヤリス(ヤリスクロスやGRヤリス含む)、ライズ、カローラ/カローラツーリング、ハリアーがTOP5にランクインするなど、新型モデル効果を存分に発揮しています。
実際に、現在クルマの購入を検討している30代男性は、以下のように話します。
「当初は新型モデルが登場したこともあってフィットが候補でしたが、トヨタのほうがヤリスやヤリスクロス、ライズやカローラなど選択肢が広いので、今はトヨタ車の中でどれにするかで悩んでいます」
※ ※ ※
今回は、フィットの販売動向を中心に解説していますが、ホンダ以外のメーカーにおいても前述の期間でトヨタほど多くの新型モデルを投入していません。
今後、2020年内に発売予定の注目モデルでは、スバル「レヴォーグ」、そして近日登場が噂される日産「ノート」などが、トヨタ包囲網にどこまで健闘出来るのか気になるところです。
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