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【試乗】5代目フォード エクスプローラー、初代エスケープには悪条件下でも安心して走れる余裕があった【10年ひと昔の新車】

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【試乗】5代目フォード エクスプローラー、初代エスケープには悪条件下でも安心して走れる余裕があった【10年ひと昔の新車】

2007年12月のエクスプローラーのマイナーチェンジ、2008年2月のエスケープのマイナーチェンジを受けて、フォードジャパンは2008年3月に伊豆のオフロードコースで特別な試乗会を開催した。Motor Magazine誌ではここで、エクスプローラー スポーツトラックXLT、エクスプローラー V8エディバウアー、エスケープ リミテッドの3台に試乗。通常ではとても克服できないようなコースで、フォードのSUVはどんな走りを見せたのか。ここではその時の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年10月号より)

不安定な気象状況で真価を発揮するSUV
現在、SUVは逆境にさらされている。ガソリン価格がかつてないほどに高騰しているなか、ガスガズラーというイメージが払拭しきれていないアメリカ車の、それもSUVがエココンシャスだとは到底思われないだろう。

●【くるま問答】ガソリンの給油口、はて? 右か左か、車内からでも一発で見分ける方法教えます(2020.01.21)

しかし、SUVは災害に強いという一面も持っている。

地球環境が破壊されたことが原因とも言われているが、すでに日本でも亜熱帯のような天候が多い。ここ数年の不安定な気象状況や局地的に降るスコールのような集中豪雨をみると、未開の地だけではなく、開発し尽くされた都会でも自然の脅威を感じることがある。

こうした状況下では、SUVを持つことに大きなメリットがあるのではないだろうか。集中豪雨により冠水した道路を悠然と走るSUVの姿を見るとそう感じることがある。普通なら走ることができない場所でこそSUVの真価が発揮されるのだろう。

ピックアップトラックで長い歴史を持つフォード
スポーツトラックという言葉は聞き慣れないかもしれない。ピックアップトラックという表現の方が、耳に親しんでいるだろう。実は、この分野でフォードは高い人気と販売台数を誇っている。

その主流はFシリーズと言っていい。Fシリーズの歴史は古く1940年代から始まっている。そして、アメリカでのピックアップトラックの人気は凄まじく、このFシリーズは、全米で年間約70万台(2007年1-12月)の販売台数を誇っている。その理由として、州によっては自動車税が無税か割安になるため所得の少ない若者たちがピックアップトラックに乗っていることもあるようだが、決してそれだけではないだろう。クルマそのものに魅力がなければこれほどまで人気を得ることは難しい。

フォードは、そんなピックアップトラックやSUVを主力モデルとしてラインアップに持っているが、そのなかの日本に導入されている3モデルの試乗会が、そのオフロード性能を存分にテストできるコースで開催された。このイベントは、フォードのテーマでもある「Make Every Day Exciting」を具現化し、市販車でオフロードコースを楽しむといった主旨である。

試乗車として用意されていたのは、「エクスプローラー」「エクスプローラースポーツトラック」「エスケープ」の3モデル。エクスプローラーには横浜ゴムのオフロード専用タイヤ「GEOLANDAR(ジオランダー)A/T-S」が装着されていた。

3モデルで共通して感じたことは、通常では遭遇しないようなオフロードを楽々とクリアしていく4WD性能の優秀さだ。クルマが、現在の状態を常にモニタリングし路面状況を瞬時に判断して、4つのタイヤを制御しているため、ドライバーはアクセルとハンドルワークに集中するだけなのだ。

「エクスプローラーだったらこんな状況でも安心なんだけどなぁ」
違いが現れたのは、傾斜が30度近くある急斜面を登るような場面だった。V8エンジンを搭載したエクスプローラーは、パワーがあるためそれを調整する微妙なアクセルワークを必要としたのだが、直4エンジンを搭載したエスケープは、斜面に対して車体を真っ直ぐに向け、登り切る勢いをつけるためアクセルペダルを床まで踏み込むだけ。あとは最適なトルク配分を考え、そして制御しながらクルマが勝手に登っていく。つまり、ドライバーはハンドル操作のみに集中するだけでよかった。それで難コースをクリアするという征服感が味わえたのだ。

装着タイヤの違いも感じることができた。エクスプローラーとエクスプローラースポーツトラックで同じコースを試乗したとき、スポーツトラックでグリップ感が足りないという印象を持った。しかし、オフロード専用のタイヤ「ジオランダー」を装着していたエクスプローラーは、同じ斜面でもグイグイと登っていく。極限状態では、タイヤのチョイスも重要になってくるようだ。

4WDシステムはフォードが「コントロールトラックAWD」と呼ぶもの。エクスプローラーとエクスプローラースポーツトラックは通常時は後輪駆動だが、必要に応じて最適なトルクを前輪に伝え、常に最高のトラクションを提供する。インパネに用意されたボタン操作ひとつで4WDモードの細かな設定が可能となっているのも特徴だ。

通常走行時は4×4AUTO、凍結路面や雪道では4×4HIGH、さらなる駆動力が必要な厳しいオフロードでは4×4LOWと簡単に切り替えることができる。今回のコースではAUTOモードでほとんどがクリアできたのだが、プロオフロードドライバーの横で体験した上級者用林間コースではLOWスイッチを押す場面もあった。

「でも、現実にゲリラ豪雨に遭ったり、岩がボコボコと飛び出ているようなオフロードを走る機会って日本ではそんなにないよなぁ」などと思いつつの帰路、「そんな」状況に遭遇してしまった。目の前が黒い雲で覆われたと思ったら突然の集中豪雨。クルマの行く手を阻むような豪雨に遭遇したそのとき、「エクスプローラーだったら、こんな状況でも安心なんだけどなぁ」と思ったことを最後に報告しておく。(文:Motor Magazine編集部 千葉知充/写真:村西一海)

フォード エクスプローラー スポーツトラックXLT 主要諸元
●全長×全幅×全高:5370×1870×1840mm
●ホイールベース:3315mm
●車両重量:2230kg
●エンジン:V6DOHC
●排気量:4009cc
●最高出力:157kW(213ps)/5100rpm
●最大トルク:344Nm/3700rpm
●トランスミッション:5速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:レギュラー・85L
●タイヤサイズ:245/65R17
●車両価格(税込):398万円(2008年当時)

フォード エクスプローラー V8エディバウアー 主要諸元
●全長×全幅×全高:4930×1870×1835mm
●ホイールベース:2890mm
●車両重量:2230kg
●エンジン:V8DOHC
●排気量:4600cc
●最高出力:218kW(296ps)/5750rpm
●最大トルク:407Nm/4000rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:レギュラー・85L
●10・15モード燃費:7.3km/L
●タイヤサイズ:235/65R18
●車両価格(税込):525万円(2008年当時)

フォード エスケープ リミテッド 主要諸元
●全長×全幅×全高:4480×1845×1755mm
●ホイールベース:2620mm
●車両重量:1600kg
●エンジン:V6DOHC
●排気量:2967cc
●最高出力:149kW(203ps)/6000rpm
●最大トルク:265Nm/4700rpm
●トランスミッション:4速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:レギュラー・61L
●10・15モード燃費:7.9km/L
●タイヤサイズ:235/70R16
●車両価格(税込):325万円(2008年)

[ アルバム : フォード エクスプローラー スポーツトラックXLT、エクスプローラー V8エディバウアー、エスケープ リミテッド はオリジナルサイトでご覧ください ]

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