ジュリアに乗って向かったさきは、ミラノ郊外にあるアルファロメオ歴史博物館(Museo Storico Alfa Romeo)であった。
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アルファロメオ歴史博物館(Museo Storico Alfa Romeo)は2015年にリニューアル・オープンした。ミラノ市内から約15km離れたアレーゼにある。Alberto Cervetti訪れたときは、「4C」にかんする企画展がおこなわれていた。Alberto Cervetti早速、展示されている名車を見学へ……と、思ったが、天候の都合で、いきなりヒストリック・カーに試乗することになった。
試乗車は「1900スポーツ スパイダー」。1954年につくられた、希少な2シーター・オープンである。1989年生まれのボクにとっては未知なる年式だ。はたして運転できるのか……不安そうな顔をしていると、ヘリテージの担当者から「心配ないよ! 運転しやすいから!」と、励まされる。
ベルトーネがエクステリア・デザインを手がけた「1900スポーツ スパイダー」は、2台のみしか生産されなかった。Alberto Cervettiインテリアはきわめてシンプル。Alberto Cervetti小ぶりなシートは固定式。Alberto Cervetti薄い金属のドアをあけ、小ぶりのシートに乗り込む。キーをひねると、2.0リッター直列4気筒DOHCエンジンの迫力あるサウンドがあたりに響く。“ドッドッド”という音が印象的だ。
それほど重くないクラッチを踏み、ギアを1速に送り込む。左足を上げていくと、意外なほどスムーズに発進出来た。ロウ・エンドのトルクがゆたかだし、ギア比も低いようだ。1周500mほどのコースなので、大してスピードを出せたわけではなかったが、すばらしく楽しかった。ウィンドシールドが天地の浅いレーシングスクリーンだったこともあり、まるで裸で走っているかのような開放感が最高だった。
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けたましいエンジン・サウンドを轟かせながら走る1900スポーツ スパイダー。Alberto Cervetti搭載するエンジンは、1997cc直列4気筒ガソリン・エンジン。最高出力は140ps/6500rpm。Alberto Cervetti同じツアーに参加した『ENGINE』の齋藤浩之副編集長によれば、「1960~1970年代の日本製スポーツカーより運転しやすいし、しかもスポーティだよ」とのこと。
1950年代につくられたクルマとは思えぬレベルの高さというから、アルファロメオの技術力は相当高かったというわけだ。
車両重量はわずか900kg。Alberto Cervettiマセラティ「3200GT」をもとに開発された「8C」とともに。Alberto Cervettiその後、館内に展示されていたヘリテージ・カーを見学した。初代「ジュリア」、「ジュリエッタ」、そして「75」「164」などの歴代モデルは、高い技術力によって作られたことをアピールする紹介文とともに展示されていたし、レーシング・マシンの展示エリアでは、戦前から獲得した数々のタイトルが、誇らしく掲げられていた。
知っていたつもりのスポーツカー・ブランドとしてのアルファロメオの輝かしいヘリテージを、肌身に感じることができたのはうれしかった。
1920年~1930年代に、アルファロメオが手がけた航空機用エンジンも展示されていた。Alberto Cervetti1910年につくられたアルファロメオ最初の生産モデル「24HP」。Alberto Cervetti1931年につくられた「6C 1750 Gran Sport」は、スーパーチャージャー付き直列6気筒エンジン搭載モデル。Alberto Cervetti第2次世界大戦後の初のモデル「6C 2500 Freccia d'Oro」。最高速度は155km/h!Alberto Cervetti1955年に登場したジュリエッタの4ドア・セダン。1.3リッター直列4気筒DOHCエンジンを搭載する。Alberto Cervettiジュリエッタの後継モデルとして、1962年に登場した「ジュリア」。搭載するエンジンは、すべてDOHCだった。Alberto Cervetti1977年に登場したコンパクトカー「アルファスッド」。前輪駆動だった。Alberto Cervettiアルファロメオ「75」は、1985年デビューの後輪駆動モデル。車名の「75」は、同社創業75周年に由来する。Alberto Cervetti1987年に登場したフラグシップ・セダン「164」。ランチア「テーマ」、フィアット「クロマ」、サーブ「9000」とプラットフォームを共有する。Alberto Cervetti1997年に登場した「156」。日本でも、ATモデルの設定などが功を奏しヒットした。セダンのほか、「スポーツ ワゴン」と呼ぶステーションワゴンも導入された。Alberto Cervetti1996年に発表された「Nuvola」をはじめ、歴代のコンセプト・カーを複数台展示するエリアもあった。Alberto Cervetti歴代のレーシング・マシンを展示するエリアには、1920年代の「RL」シリーズなども展示されていた。Alberto Cervetti写真手前の「33SC12」は、1970年代後半に「グループ6」で活躍した。Alberto Cervetti1980年代前半、F1参戦時につくられたテスト・カー「ティーポ179F」。Alberto Cervetti国際ツーリングカー選手権参戦マシン「156 V6 Ti」。Alberto Cervettiミュージアム内には1950年代に製造された四輪駆動のオフロードモデル「マッタ」もあった。Alberto Cervetti間近でF1を見る!ミュージアムを見学したあとは、F1第14戦のイタリアGPを観戦する機会にも恵まれた。舞台は、ミラノ中心部からクルマで約30分のモンツァ・サーキットである。
アルファロメオは2018年から、スイスに本拠地を置くレーシング・チームの「ザウバー」とパートナーシップを締結し、「アルファロメオ・レーシング」名でF1に参戦している。
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Evento Alfa Romeo Racing AreseF1第14戦イタリアGPでは、スクーデリア・フェラーリ設立90周年を祝う特別なカラーリングが施された。LaPresse/Mourad Balti TouatiイタリアGP開幕前日、特別カラーリングのマシンがメディア向けにお披露目された。フィンランド出身のキミ・ライコネン選手(右から3人目)とイタリア出身のアントニオ・ジョヴィナッツィ選手(右から2人目)もやってきた。F1 - ITALY GRAND PRIX 2019現在F1に参戦中のマシン名は「C38」。搭載するエンジンは1.6リッターV型6気筒ターボである。Florent GoodenF1 - ITALY GRAND PRIX 2019会場には、アルファロメオ・レーシングのファンが多数いた。Xavi BonillaF1 - ITALY GRAND PRIX 2019多くのファンに囲まれるイタリア出身のアントニオ・ジョヴィナッツィ選手。Florent GoodenF1 - ITALY GRAND PRIX 2019決勝のスタート前には、イタリア空軍による戦闘機のデモンストレーション・フライトもあった。Florent Gooden間近で見るF1は迫力が違う。ストレートを超高速で走る時の「ヒューン」という音を初めて聞いた。さすが地元のミラノに近いモンツァなので、アルファロメオ・ファンが多い。もちろん僕も、元オウナーとして、応援に熱がはいった。
スペシャル・カラーリングが施されたアルファロメオ・レーシングのマシンは、爆音を轟かせてサーキットを疾走した。ドライバーはフィンランド出身のキミ・ライコネン選手とイタリア出身のアントニオ・ジョヴィナッツィ選手である。
F1 - ITALY GRAND PRIX 2019キミ・ライコネン選手(1979年10月17日生まれ)はフィンランド出身。2001年よりF1に参戦。2007年にはワールドチャンピオンに輝く。Florent GoodenF1 - ITALY GRAND PRIX 2019アントニオ・ジョヴィナッツィ選手(1993年12月14日生まれ)はイタリア出身。2017年よりF1に参戦。2019年からフル参戦中である。Antonin Vincent予選(Q1~Q3)はキミ・ライコネン選手が10位、アントニオ・ジョヴィナッツィ選手が11位だった。キミ・ライコネン選手はQ3の途中、スピンによってコーナーのバリアに衝突し棄権。結果、10位におわった。
F1 - ITALY GRAND PRIX 201907 RAIKKONEN Kimi (fin), Alfa Romeo Racing C38, action during 2019 Formula 1 FIA world championship, Italy Grand Prix, at Monza from september 5 to 9 - Photo Xavi Bonilla / DPPIXavi Bonilla約306km(53周)走る決勝は、アントニオ・ジョビナッツィ選手が9位、キミ・ライコネン選手が15位だった。決勝では、スタート直後から多くのマシンがさまざまなアクシデント(スピンやコースアウト)に見舞われた。そうしたなか、アントニオ・ジョビナッツィ選手は、終始安定した走りを見せて9位に入賞した。キミ・ライコネン選手はタイヤ選択のミスなどもあり15位に終わった。
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アルファロメオ“らしさ”とは?これからのアルファロメオはどうなるのか、について「ジュリア」および「ステルヴィオ」の開発統括を務めたGuglielmo Caviasso氏に尋ねる機会もあった。
電気自動車の時代にアルファロメオらしさとはなんでしょう、と訊くと、「アルファロメオの電気自動車は、アルファロメオにふさわしい性能や“パッション”を必ずもちますよ」と述べた。
アルファロメオにふさわしい性能や“パッション”とはなにか? おそらくそれは、スポーティの極みであると思う。最新のジュリアやステルヴィオ、かつての1900スポーツ スパイダー、そしてF1にいたるまで、アルファロメオは常に究極のスポーティさを求めていることにあらためて気付かされた。
ジュリアを手放したのは後悔しているけれど、アルファロメオが持つ数多くの魅力を再認識した今、いずれまた、アルファロメオを自分のものにしようと思ったのだった。
アルファロメオ初のコンパクトSUV「トナーレ」は、2020年登場の予定。Hasselblad H6Dと、心に決めたところ、アルファロメオの輸入元であるFCAジャパンの広報担当者が「2020年、コンパクトSUVの『トナーレ』が登場する予定ですよ」という。アルファロメオ歴史博物館にトナーレの試作車が展示されていたが、思っていたよりもずっとスタイリッシュだったし、サイズも日本の都市部で乗るにはちょうどよさそうだ。セカンド・カーを探していたボクにとっては、大変魅力的である。
アルファロメオをふたたび所有する機会は早々にやってきそうだ。
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文・稲垣邦康(GQ)
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