マツダは2019年10月23日、東京モーターショーで同社としては初となる量産電気自動車「MX-30」の世界初公開を行なった。MX30は10月23日からヨーロッパ市場での先行予約受注を開始している。ヨーロッパでの価格は3万3990ユーロ(410万円)で、2020年秋頃にはデリバリーが開始される予定だ。なお日本での発売計画は未定。
MX30概要
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MX-30は新世代商品群の第3弾にあたるという。確かにプラットフォームはマツダ3、CX-30と共通で、特にホイールベースはCX-30と全く同じ2655mmとなっている。言い換えれば新世代スモール商品用のFFプラットフォームは電動化を想定したプラットフォームということができる。ただしMX-30はCX-30のようにセンタートンネルはなく、その代わりに床面に配置するバッテリー・パックのフレームが強度部材となっている点が特長だ。
なお東京モーターショーの会場でマツダの丸本明社長は、2030年時点で生産するすべての車両に電動化技術「e-SKYACTIV」を搭載することを明らかにし、SKYACTIV技術の電動化バージョンを生産車のすべてに投入すると語った。
デザイン
MX-30は、デザイン言語「魂動」のもとでデザインされたとしているが、従来とはまったく方向性の異なる「Car as Art」というテーマでまとめられている。これは、デザイン表現の拡がりを求めた結果だという。将来に向けた価値観の変化や、新しいライフスタイルに寄り添うことを目指し、「ヒューマンモダン」をコンセプトにしたデザイン表現だとしている。
エクステリア、パッケージングはCセグメントのクロスオーバーSUVだが、前後のドア配置はかつての「RX-8」やBMW i3と同様の観音開き式のドア(フィリースタイル・ドアと呼称)で、フロントドアを開けてからリヤドアを開くという方式だとしている。各ドアの開角は通常のドアより大きくして乗降性を高めている。
インテリアは、センターコンソール周りの空間を強調した、開放感のあるデザインとし、コルクや再生材からできた生地など、環境に配慮した素材を活かすことで、心地のよい室内空間を表現しており、シンプルなモダン・リビング的なテイストを強調している。
電気駆動システム
MX-30は角型リチウムイオン・バッテリーを採用し、バッテリーパックの容量は35.5kWhと控えめだ。したがって航続距離は200km(NEDCモード)とされている。バッテリー容量を抑えているのはライフサイクルアセスメント(生産から廃棄までのCO2を考慮する考え方)を重視しているからだという。モーター出力の正式データは未発表だが、総電力355Vで、105kW(143ps)、最大トルクは265Nmと想定され、出力も控えめだ。
このことから、MX-30は都市部などでの買い物や通勤など、短距離走行を想定した電気自動車だといえる。また、加速特性なども電気自動車らしい強力な加速力を抑制し、日常での使いやすさを追求していると考えられる。回生ブレーキは、ブレーキ協調制御を採用しているが、他のEVほど強い回生ブレーキは採用していないと見られる。
モーター、インバーター、DCDCコンバーターなどの電気駆動コンポーネンツは一体化ユニットとされ、フロントに横置きに搭載される。その周囲にはまだスペースがあり、マツダは電動化の本命版として、シングル・ロータリーエンジンを電気駆動ユニットと並列に配置したPHEV/レンジエクステンダーを構想している。なお充電システムは現状ではヨーロッパ向けのコンボ規格のみとなっている。
MX-30は、ヨーロッパの2030年CO2期制や今後の企業平均燃費の低減のために必須の商品であり、従来のマツダの商品戦略を前倒して開発した電気自動車だ。そのため、トヨタを始め関連各社が結集したEV基盤技術開発会社「EV.C.Aスピリッツ」で生まれつつある技術ではなく、マツダ単独で開発したクルマなのである。
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