■大幅に向上した「質感」に驚く
三菱は2024年10月31日、マイナーチェンジ版の新型「アウトランダーPHEV」を発売しました。12月16日時点で、月販目標1000台を大きく上回る4600台以上を受注するなど、好調な立ち上がりだといいます。
同社のフラッグシップに位置付けられるプラグインハイブリッド(PHEV)のSUVは、どのように生まれ変わったのでしょうか。
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10年ほど前、初代アウトランダーのCMに登場していたという俳優の江口洋介さんが、この新しいアウトランダーPHEVのCMに再び登場したことでいま、話題を呼んでいます。
その進化を取材し続けてきた筆者(カーライフ・ジャーナリスト まるも 亜希子)からしても、丹念に磨かれた内外装や刷新されたPHEVシステムなど、「ついにここまできたか」と感慨深いモデルとなっています。
エクステリアデザインだけを見ると、最初はあまり変わっていないような印象を受けますが、それこそが三菱の狙い。
現行モデル登場時から「威風堂々」を掲げ、力強く頼もしいデザインが好評だということで、今回のマイナーチェンジでは大きく意匠を変えずに、感覚的質感をアップする開発にシフトしたのです。
フロントグリルやバンパーは、並べて見比べないとわからないくらい細かな違いにもかかわらず、質感がアップした印象を伝えてきます。
ターンランプやバックランプをLED化し、大きなところではアルミホイールのデザインを変更。
タイヤの銘柄がエコタイヤブランドのオールシーズンタイヤから、ラグジュアリーSUV向けのブリヂストン「アレンザ」に変更されたことも、洗練された印象に響くのではないでしょうか。
ボディサイズは全長と全高が5mmずつアップしていますが、そのほかはキープされています。
インテリアを見てみると、これまでのスポーティな空間から一変、ビジネスシーンにもマッチするようなモダンで上質な空間となった印象を受けます。
センターにドンと置かれたディスプレイは9インチから12.3インチに拡大され、前席がたっぷりとしたクッションに高級レザーのセミアニリンを使用した表皮で、座るとホッと包まれるような上質感。
細かなところでは、デジタルルームミラーがフレームレスとなったり、室内ランプがLED化されたり、ペダルがアルミペダルとなっているところも上質感を強めているはずです。
■圧倒的な安定感と静粛性に驚く
そんなラグジュアリーな空間にはもうひとつ、従来とはまったくちがう魅力が加わりました。
それがヤマハと共同開発された、新型アウトランダーPHEVだけのオーディオシステムです。
楽器づくりにも多大な経験とノウハウを持つヤマハだからこそ知る、本物の音を走行中の車内で実現するため、モーターやエンジンの音、ロードノイズなどを低減したり加味することで、まるでライブ会場にいるような音を実現しています。
前回は停車したアウトランダーPHEVの車内で、従来モデルとマイナーチェンジ後の新モデルのオーディオを同じ音源で聴き比べましたが、今回は初めての公道試乗ということで走行中に試すことができました。
さっそく、歴代最高の電動性能を手にしたとされる、新しいアウトランダーPHEVの最上級グレード「P Executive Package」で試乗をスタート。
新型には、PHEVシステムとして独自に新開発された専用の駆動用バッテリーを採用しました。
容量が10%アップの22.7kWhとなり、EV後続距離は100kmを達成したことが大きなトピックです。
走り出してみると、力強さとともにスルスルとしたなめらかな心地良さがあり、余力たっぷりの加速フィール。
駆動バッテリーの出力が約60%アップしたことでエンジンの始動頻度が大幅に少なくなり、従来と比べると車速が120km/hでアクセル開度が半分程度でもまだEV走行が続くところや、低速から中速での加速性能も大きく向上しているといいます。
また、有料道路に入ると合流での俊敏なレスポンスとともに、本線へ合流してからの伸びやかさが爽快です。
これは駆動バッテリーだけでなくシステムトータルでの出力も約20%アップしたことで、厚みのある加速がどこまでも伸びていくような、溢れる加速性能を手にしているから。
巡航に入るとしっかりとした安定感と静かな室内に包まれ、全幅の信頼で身を預けて走っていけるクルマであることを実感しました。
■贅沢で唯一無二な「高級SUV」へ進化したことに驚く!
そして山道に入ると、三菱独自の四輪制御技術であるS-AWCが気持ちのいい操作性を実現しています。
システム出力やバッテリー出力がアップしたことを受け、7つある走行モードの駆動力配分やブレーキ制御、パワーマップなどをあらためてセットアップし直しました。
その結果、ライントレース性の高さ、つながりのある安定したコーナリングなど、運転が上手くなったような走りを披露します。
スプリングレートやバルブ変更、電子制御ステアリングなどのチューニングも併せて行なっており、とくにステアリングはしっかりとした応答性がありながら、誰かに制御されている違和感が少ない素直なフィーリングにこだわったという通り、安心して握っていられる感覚です。
タイヤが変わったことも恩恵として大きいと思いますが、従来から十分に快適だった後席の乗り心地もさらに良くなっていて驚きました。
路面からの入力を抑えて揺れを穏やかにおさめ、リラックスして乗っていられる快適性は、SUVの中で最高峰といって良いほどだと思います。
そこに、ヤマハと共同開発した「Dynamic Sound Yamaha Ultimate」のライブ感あふれる音が加わり、車内は走るオーディオルーム状態。
このオーディオシステムは、ディスプレイ内の表示で好みの音質や配分が個別に設定できるようになっていますが、あらかじめ好みや気分に応じてオススメの設定となるサウンドタイプが4つあります。
また車速連動音量を選べるようになっており、今回の試乗ではレベル3が適切だということで、そのまま走ってみます。
確かに加速したりブレーキングしたりといった操作や、エネルギーマネジメントの変化によって音が聴きにくくなったりすることなく、終始同じレベルで「いい音」が続いていました。
そしてこれこそが、ドアパネル剛性を約1.5倍にアップしたり、空調やワイパーの作動音などに対しての補正を実施するといった、徹底したこだわりの賜物だと感じたのでした。
使い勝手に関しても、約80%までの急速充電時間が約6分短縮されて約32分となっており、良いことずくめです。
※ ※ ※
マイナーチェンジしたアウトランダーPHEVは、PHEVでもあり高性能4WDでもあり、いい音が聴けるオーディオルームでもあり、ラグジュアリーで快適な室内空間の持ち主でもある、とても贅沢で唯一無二のSUVとなっていました。
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