まずは本稿の前に、読者諸兄およびトヨタ自動車関係者の皆さまに謝罪させていただきたい。当サイトでは何度か「Tjクルーザー発売間近!」という趣旨の記事をお送りしてきましたが、すみません、2017年の東京モーターショーにコンセプトカーとして出品された「Tjクルーザー」の市販仕様は、2020年2月時点で、発売予定はありません。
当サイトの記事により発売を期待していた皆さま、本当に申し訳ありませんでした。言い訳になってしまいますが、当編集部の発売への期待値が大きすぎて、入ってきた情報の精査に不備がありました。
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・東京モーターショー出品時の完成度が高かったこと
・入場者からの評判が非常によく、販売店への問い合わせも多かったこと
・2017年末時に「数年後に市販化の可能性あり」という情報が入ったこと
・同時期に「トヨタが新型SUVの開発を進めている」という情報があったこと(いま考えると、RAV4とライズのことだったのでは、と推測)
これらが組み合わさって、Tjクルーザーの市販化に向けた開発が進んでいる、と誤解してしまいました。
このたびあらためて情報を精査し、トヨタ関係者へ取材を進めたところ、「Tjクルーザーの市販予定は(現時点では当面)ない」ということが判明しました。
以下、もう少し詳しく、Tjクルーザーの(モーターショー出品から現在までの)情報の流れと、トヨタ販売店からの声を、流通ジャーナリストの遠藤徹氏に頼んで調査していただきました。
文/遠藤徹
写真/編集部、TOYOTA
【画像ギャラリー】残念ながら市販されないことが判明した「Tjクルーザー」 その姿をもう一度チェック!!
■期待する声の多かったTjクルーザー ここまでの流れを詳しく
2017年の第45回東京モーターショーに参考出品した「Tjクルーザー」の市販モデルは存在しないことが明らかになった。トヨタの販売店筋では「メーカーから発売するとの正式な通達はあったわけではないが、東京モーターショーでの出展車は市販してもおかしくはない状態だったので、期待の気持ちが先行して発売するという噂になったのではないか」と指摘する。
2017年の東京モーターショーで初公開されたTjクルーザー。SUVとバンのクロスオーバーカーという新たなコンセプトを提案するモデルだった
現存する近い市販車は三菱自動車「デリカD:5」だ。両側スライドドアのミニバンでSUVテイストの仕立てをしている。個性的なフロントマスクを中心としたデザインで、2.3Lクリーンディーゼルを搭載し、4WD車を中心に好調に売れている。このようなモデルをトヨタが発売すれば売れ行きが好調になる可能性が十分にあった。
開発が進まなかったのはどのような背景があるのか。東京モーターショーに参考出品する狙いというのは、多くの場合「来場者の反応を見ながら、好評であれば量産する」である。
開発しないと決定した理由はいろいろと想像できる。来場者の反応が好評ではなかったから発売を見送った、という結論を導き出すには意思表明が遅すぎた嫌いがある。「一度発売を決定したのを先延ばししたか、見送ったか」だ。先延ばししたのは「現状のマーケット環境では成功の確率が低い」というのが正解であろう。
なぜだろうか? コンセプトのSUVテイストのミニバンのニーズは高い。それは、三菱のデリカD:5の好評ぶりを見ればわかりだろう。にもかかわらず見送るというのは、何か問題があるのかも知れない。
コンセプトモデルはスライドドアの採用していた。フルフラットになり、長尺物もしっかりと載せることができると高評価を受けていた
搭載するパワーユニットが2.5Lのハイブリッドであれば成功する可能性はあるが、クリーンディーゼルで計画していたのなら見送りも理解できる。クリーンディーゼルはSUVにはマッチングがよいが、現在のニーズは頭打ち傾向にある。マツダが力を入れているが最近は低下しており、ヨーロッパでは環境問題もあり廃止の方向にある。となると、将来日本でもやめる可能性があり、こうした背景では投入をもう少し待つべきとの考え方になるのは当然ともいえる。
■タイミングが悪かった? トヨタブランド再編の転換期
2020年を中心としたこの時期は、トヨタにとってはタイミングも悪い。SUVジャンルでは「新型ハリアー」「新型ランドクルーザー」が6月、8月に相次いでフルモデルチェンジする予定となっている。しかも、Tjクルーザーと同じアッパーミディアム&ラグジュアリークラスだから、クロスオーバー、ラフロードSUVともカバーして競合、投入効果が低下するおそれがある。
2019年5月に登場予定の「新型ハリアー」。基本プラットフォームはRAV4と共通。パワートレーンも基本的にはRAV4と同じラインナップとなるも見込みだ(画像はベストカーによる予想CG)
しかも、トヨタはトヨタブランドの車種数を2025年までに、2017年の約60車種から半分の30車種に削減する方向で調整作業を進めている。2020年5月にはトヨタブランドの扱い4系列店を全国規模で統合1本化し、全店がほぼ全車種併売態勢に切り替える。そうなると各販売店のお扱い車種数が大幅に増えて、各店舗の営業担当者はこの時期新しく扱うモデルの商品内容を覚えるのにてんやわんやの状況にある。
2019年はマークX、エスティマが生産中止になったものの、RAV4の復活や新たにダイハツからOEM供給しているライズ、ラグジュアリイワゴンのグランエースなどが加わり、むしろ扱い車は増えている。こうした状況下で、これ以上車種を拡大できないという事情もあるのではないだろうか。
■現場の営業マンはどう見たのか?
●証言:首都圏トヨタ店営業担当者
Tjクルーザーの発売についてはメーカーから正式に通達があったわけではない。しかし東京モーターショーに参考出品され、注目されるとほとんどの場合、1~2年後に市販モデルが発売されるので、Tjクルーザーも発売されると期待していたので残念だ。
ただ、これまで発売しないと表明し、しばらくして発売する、生産中止したのを復活させる、あるいは一度生産中止するのを決めてまた新型を投入したりするケースはたびたびあったので、このTjクルーザーの方針も近い将来変わる可能性があるかも知れない。
【画像ギャラリー】残念ながら市販されないことが判明した「Tjクルーザー」 その姿をもう一度チェック!!
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