ポルシェ×東京大学が共同で発想した新たな地域貢献プログラム
2024年の晩夏、熊本県天草市の離島・御所浦島に2台のポルシェが上陸しました。クルマではカーフェリーでしかアクセスできないその島に姿を現したのは、「911GT3 RS」と「タイカン クロスツーリスモ」という最新のポルシェ。島の人々は、普段なかなか目にすることのできないドイツ生まれのスポーツカーの勇姿に目を輝かせていました。
【画像】「えっ!…」2024年は天草の子どもたちを笑顔に! これがポルシェジャパン×東京大学が開催する「LEARN with Porsche」です(30枚以上)
島のあちこちから多彩な化石が豊富に発掘され、「恐竜の島」、「化石の島」としても名高い御所浦島に、なぜ2台のポルシェが上陸したのか? それはポルシェジャパンが東京大学とのパートナーシップによって展開している「LEARN with Porsche」の派生プログラムを開催するためでした。
世界的なスポーツカーブランド・ポルシェのインポーター(総輸入元)であるポルシェジャパンは、東大先端研「個別最適な学び」寄付研究部門とのパートナーシップにより、2021年から中高生の夢の実現をサポートするための共同プログラム「LEARN with Porsche」を展開しています。
過去4シーズンに渡り、「LEARN with Porsche」は子どもたちが旅の行程や人との出会いを通じて未来の壁に立ち向かい、今後の学びに必要な心構えや夢を育む「サマープログラム」を開催。
また、3年目となる2023年からは、ポルシェ製トラクターをレストアすることによってものづくりの面白さを体験できる「ものづくりプログラム」も実施するなど、その活動は年々広がりを見せています。
そんななか、2023年と2024年の「サマープログラム」では、メインテーマから派生した新たな試みもおこなわれています。
2023年は、開催地となった北海道・利尻島で地元の小学生を対象に、小型風力発電や電気自動車の体験会と勉強会を開催。
また2024年は、熊本県・天草諸島の御所浦小学校や天草市の複合施設「ここらす」において、ポルシェや「LEARN」に関するミニ授業や体験試乗会が開催されたのです。
こうした派生プログラムは、どのような経緯から実施されるようになったのでしょう? 「LEARN」を展開する東大先端研『個別最適な学び』寄付研究部門の中邑賢龍シニアリサーチフェローは、その理由について次のように解説します。
「私が乗って楽しいと感じるポルシェを、各地の子どもたちにも味わわせてあげたい……そんな思いが、派生プログラムがスタートした一番の要因です。
都市部とは異なり、離島や地方に住む子どもたちはポルシェに触れる機会などなかなかありません。また、滅多に遭遇しないクルマだからこそ、ポルシェに対する憧れもあるでしょう。
『LEARN with Porsche』では、初回からポルシェの各モデルを開催地へ運び、参加した中高生たちに体験試乗をしてもらってきました。
でも、開催地に住む子どもたちにとっては、目の前をポルシェがただとおり過ぎるだけ。『アレはなんだったのだろう?』で終わってしまっていたのも事実です。
『LEARN with Porsche』は地域の方々にもご協力いただいているプログラムですから、何か各地の皆さんと交流の機会を設けられないかと考え、派生プログラムの実施に関する相談をポルシェジャパンにもちかけたのです」
実施に向けて「実際にポルシェに“触れる”という体験は、親子の会話のきっかけにもなるだろう」という考えもあったと付け加える中邑先生。研究者であり教育者でもある中邑先生ですが、その話しぶりからは自動車愛好家としての一面も垣間見えます。
●最新のポルシェを開催地に持参する理由
では、「LEARN with Porsche」を共同で展開しているポルシェジャパン側は、中邑先生からの提案をどう受け止めたのでしょう?
「LEARN with Porsche」の開催に尽力するポルシェジャパンの広報部長・黒岩真治さんは次のように話します。
「ポルシェジャパンが掲げるCSR活動には、『サステナビリティ』、『コミュニティ』、『ユースサポート』という3つの柱があります。『LEARN with Porsche』はこのうちユースサポート、つまり、若者の支援に相当する教育にフォーカスしたプログラムです。
また我々は、地域との連携も重視しており、スポーツカーの魅力を通じて自動車や環境についての教育をおこなえないか、また、実際にポルシェに触れていただく機会を設けることはできないか、と思案していました。
それらを単独でおこなうのはポルシェジャパンにとってとてもハードルが高いことなのですが、中邑先生にプログラム開催地の方々との接点を設けていただけるとのご提案をいただき、『ぜひ喜んで!』と快諾した次第です。
こうした派生プログラムの開催も踏まえて、ポルシェジャパンは最新の電気自動車と、ポルシェで最もシンボリックなモデルである「911」を、毎回『LEARN with Porsche』の開催地に持参しているのです」
ポルシェジャパンは現在、ブランド体験施設である「ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京」のある千葉県や木更津市と共同で、環境保全を始めとするさまざまな取り組みを進めています。
また、本社を置く東京都との間では、「東京マラソン」や「東京レガシーハーフマラソン」などへの車両提供を通じてさまざまなサポートをおこなっています。
ドイツを拠点とするブランドありながら、日本の各地域に溶け込むべく企業市民としての責務に積極的に取り組んでいる点は非常に興味深いところです。
黒岩さんによると、こうした思いは「LEARN with Porsche」で訪れる地域に対しても平等であり、「ポルシェだからできること、ポルシェでなければできないこと」を常に意識しているのだといいます。
年間の2/3ほどの時間を費やしてプログラムを決定
おふたりに話をうかがっていると、中邑先生と黒岩さんの「LEARN with Porsche」にかける想いはもはや以心伝心といったところ。
その一方、日本は北海道から九州・沖縄まで、南北約3000kmにも及ぶ国土を擁しているだけに、「LEARN with Porsche」の舞台となる地域がどのように選ばれるのかについても気になります。
また、「LEARN」や東大先端研、ポルシェといった、開催地の日常には異質である存在に対し、現地の人々からの拒否反応はないのでしょうか? 中邑先生は次のように振り返ります。
「開催地は、まずは『ここに行ったら面白そうだな』と感じた場所から選んでいます。具体的には、参加者たちが“ストーリーやシナリオを描きやすいところ”ですね。
そして開催地が決まると、研究所のスタッフとともに実際に現地を訪れ、街を歩いて面白いものを見つけたら必ず地元の方々と話をします。会話を交わす中で『面白い人はいますか?』と尋ねたら、地域の有名人やまとめ役などを皆さん喜んで教えてくれるのです。
そういうやり取りをしていると、かなりの確率で学校の先生や教育委員会とつながります。そこでの会話が派生プログラムの実施へとつながっていくのです。
電話やメールではなく、実際にその地を訪れることが重要です。そして、2回目に現地を訪れる際は、黒岩さんやポルシェ側のスタッフにも同行してもらい、プログラムの詳細を決定していきます」
自動車ブランドのインポーターや広報部といった肩書にとらわれることなく、事前に開催地へと足を運び「LEARN with Porsche」の成功をサポートする黒岩さんは続けます。
「『LEARN with Porsche』のプログラムは、表面的には6月に参加者を募集し、7月の選考を経て8月に開催、というスケジュールで進んでいます。
しかし、中邑先生のお話からもご想像いただけると思いますが、実は毎年1月にはプログラムをキックオフし、ラフ案をいただいています。そこから細かな論議や現地の確認などをおこなっていきますから、実際には年間のうちの2/3ほどの時間を各種調整に費やしているのです。
いざ始めてみると大変なことも多いプログラムなのですが、今では事前に現地を訪れるのが楽しみになってきました」
例えば「サマープログラム」の場合、“情報機器を使わずに経験や体験、人との関わりを通して答えを導き出すカリキュラム”というテーマを掲げており、旅を通じての出会いも大切な成果と位置づけています。
スマホやパソコンは今日の生活では欠かせないものですが、リアルな人との出会いを通じて得た知識や経験は、さまざまな可能性を秘めているのも事実でしょう。
また、黒岩さんが“想像以上の下準備を要すること”について楽しそうに話をされたことからも推測できるように、プログラム関係者はそうした準備を楽しんでいる様子。もしかしたらひと足先に、「サマープログラム」を体験している感覚なのかもしれません。
●ポルシェの魅力やスゴさを体験してもらいたい
そんな「LEARN with Porsche」から派生したのが、小学生を中心とした開催地の子どもたちにポルシェの魅力やスゴさを体験してもらおうというユニークなプログラムです。
実際に開催してみると、参加者はもちろんのこと、主催側である中邑先生や黒岩さんにも少なからぬ驚きや発見、感動があったといいます。
「いざ、私が運転するポルシェで体験試乗へ出かけると、不安もあるのでしょう。最初は例外なく、子どもたちはみんな無言なんです。なので、私はその“間”を埋めるように、子どもたちにいろいろと話しかけるようにしています。
しかし、走行中にちょっと強めにアクセルペダルを開けたりすると、子どもたちの表情は一変します。それがきっかけに会話が深まり、クルマから降りる頃にはみんなの表情が変わっているのです。
子どもの場合、言葉で思いを表現するには限界がありますが、表情には反応が素直に現れます。それを目の当たりにできるのがうれしいですね。
ポルシェは3万点の部品からできている最高の工業製品だということが、子どもたちにも伝わった証だと思っています」(黒岩さん)
「ポルシェに対する子どもたちの素直な反応がいいですよね。都市部は、受験勉強などに追われ、大人びてしまった子どもたちが多いんです。でも、何か刺激に触れて、必死に感じて、それを表現しようする地方の子どもたちのストレートさは、大人が子どもや教育を見直すきっかけになると思います」(中邑先生)
* * *
本筋である「LEARN with Porsche」は、スタッフによる入念な準備に基づき、参加者たちが夢を叶えるための原動力となる気づきや心構え、きっかけをつかんで欲しいというプログラムです。
中邑先生は、偶然が起こるかもしれない場を子どもに提供し、子どもが偶然に遭遇した事態を自らのものにしてゆく体験こそが、何が起こるか分からない今の時代では特に重要だといいます。
参加者たちの気づきや自主性を育み、夢を実現するための力を養う「LEARN with Porsche」の各プログラムは、開催地で暮らす地元小学生のための試乗体験においても、揺るぎないベンチマークとなっているようです。
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みんなのコメント
運転が楽しいし、
工業製品として素晴らしい。
色々乗ったけど、
最後はもう一度ポルシェに戻りたい。