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5速MTのみ!“全長4m未満”の「2列6人乗り」ミニバンって最高! 斬新すぎる「前3人乗りシート」採用って、実際どう!? 意外と「開放感バツグン」のムルティプラとは!

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5速MTのみ!“全長4m未満”の「2列6人乗り」ミニバンって最高! 斬新すぎる「前3人乗りシート」採用って、実際どう!? 意外と「開放感バツグン」のムルティプラとは!

■斬新すぎる「前3人乗りシート」採用ミニバン!

 世界には様々なユニークなクルマが存在しますが、中には内外装のデザインのみならずシートの配置までも奇抜という衝撃的なモデルもありました。

【画像】「えっ…!」これが「3人×2列」の斬新ミニバンです!(37枚)

 そのクルマこそが、フィアットが1998年に発売した、5ドアワゴンとミニバンの中間に存在する「ムルティプラ」。

 ボディサイズは全長3995mm×全幅1870mm×全高1670mm(本国仕様)と、非常に短い全長に幅広いボディを持つ、他に類を見ないサイズ感のクルマです。

 先代に当たるのは、1956年に登場し1969年まで製造された「600 ムルティプラ」という3列シートミニバンで、それから約30年後にようやく後継モデルが誕生しました。

 しかし、30年の時を超えて復活したムルティプラを、市場は驚きを持って迎え入れます。

 その理由は「斬新すぎるシートレイアウト」と「奇抜すぎるデザイン」でした。

 ムルティプラのシート配列は、「前席に横3人+後席に横3人」となっており、しかも全席が独立タイプ。

 さらに、前席中央の座席を運転席・助手席よりも10mm後ろにずらす形に設置している点も斬新で、これによってコンソールパネルとの間に広い空間を確保していました。

 くわえて、助手席や前列中央座席、後部座席の5席はすべてが個別に取り外し可能。

 その気になれば、運転席以外をガレージに置き、車内をとてつもなく広いラゲッジスペースとして使用することもできる、ユニークな構造となっていました。

 そのほか、当時としては珍しい大きな「ダブルサンルーフ」が装備できるのもムルティプラの特徴。

 2枚のサンルーフはルーフ中央部分でセパレートされ、別々のスイッチで作動する仕組みを採用しており、全開にすることで開放感あふれるドライブが楽しめました。

 このように振り返ると、新しい発想でありながら、どれも非常に機能性の高い構造となっているムルティプラでしたが、あまりにも奇抜な内外装のデザインがユーザーの前に立ちふさがります。

 同車のフロント部分は、一般的な乗用車と同様に前方へと長く伸びていますが、ボンネットとフロントガラスの間に段差を設けた3段重ねのデザインとなっており、まるでクルマの上にもう一台クルマの載せたような、なんとも不思議な雰囲気をまとっていました。

 これは日本でいうところの「鏡餅」のような見た目であり、さらに中段にはハイビーム用ランプも装備されていたので、これもムルティプラが奇妙なオーラを放つ要因でしょう。

 またインテリアも、機能を追求したというこだわりのデザインでしたが、あまりにも奇抜かつ有機的なデザインには批判の声が上がります。

 このようにあらゆる面において個性的で、世界のどのクルマにも似ていないムルティプラを、イギリスの自動車メティアや評論家は「世界一醜いクルマ」と酷評。

 2008年の「史上最も醜い車ランキング」では2位にランクインしてしまい、あまりにも前衛的すぎたデザインは市場に受け入れられることはありませんでした。

 そんなムルティプラでしたが、実は日本でも正規販売されており、フィアットディーラーでは1.6リッターエンジンを積んだモデルを購入することが可能でした。

 ただし、日本向けモデルは全グレードともトランスミッションが「5速MT」のみという設定で、これが使い勝手の悪さを招き、個性的なデザインを許容した人からも敬遠されてしまいます。

 このような市場からのデザイン不評を挽回すべく、ついにフィアットは外装を大きく変えるマイナーチェンジを実施。2004年から後期モデルに切り替わりました。

 個性的だった3段重ねのスタイルから、通常のクルマのようなデザインに刷新されましたが、今度はあまりに特徴のないデザインになった一方、ボディの縦横比は独特なままだったため、それはそれで奇妙な仕上がりに。

 しかも前期型のデザインが好きだという人からが失望されるなど、踏んだり蹴ったりの結果になります。

 こうして、せっかく30年ぶりに復活したムルティプラでしたが、直接的な後継モデルも登場しまいまま、2010年に生産を終了してしまいました。

※ ※ ※

 個性たっぷりのムルティプラの前期モデルは、日本では2003年から2004年までのわずかな期間しか販売されなかったため、中古市場でも出回ることは稀な珍しいクルマです。

 しかし車両価格はそこまで高くないので、唯一無二なクルマに乗りたいという人は、良質な個体を探して購入を検討してみるのも良いでしょう。

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