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アウディゆえの魅力とは? 新型Q7試乗記

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アウディゆえの魅力とは? 新型Q7試乗記

アウディの3列シートSUVの「Q7」に小川フミオが試乗した。印象はいかに?

好感がもてる乗り味

消えゆくV型12気筒の“魅力”と“未来”とは?

アウディ「Q7」が、マイナーチェンジを受け、2020年8月に日本でも発売された。ここで試乗したのは「Q7 TFSI quattro 55 S line」というトップモデルだ。全長が5065mmあり、余裕ある室内空間がセリングポイントであるいっぽう、操縦性も、じゅうぶん魅力あるモデルに仕上がっていた。

アウディQラインは、先刻ご承知のように、SUVのシリーズだ。「Q7」は、メルセデスなら「GLS」(全長5220mm)、BMWでは「X7」(同5165mm)と競合するモデルだ。はたして、ライバルにまったくひけを取らない出来映えである。

Hiromitsu YasuiHiromitsu Yasui試乗車は、昨今のアウディの、“2桁”の数字を使うノーメンクレイチュア(体系的なグレードのネーミング)にしたがい、「55」と、けっこう大きな数字を持つ。250kW(340ps)を発揮する2994ccV型6気筒ガソリンターボユニットを搭載しているのだ。

このエンジンは、期待を上まわるパワーを感じさせてくれた。トルクも、1370rpmとかなり低回転域から最大の500Nmが発生する。数値だけでなく、体感的に、まことに好感がもてる。

Hiromitsu Yasuiというのは、Q7のドライブモード設定と、じつによいマッチングを見せてくれるからだ。具体的にいうと、「コンフォート」モードでは静かに力強く、いっぽう「ダイナミック」ではスポーティで活発、というぐあいである。

ドライブモード切り替え機構は、いま、たいていのクルマがそなえている。エンジンのトルクカーブや操舵力と関係する電動パワーステアリングの設定変更がよくあるもので、もうすこし凝ったシステムになると、サスペンションの電子制御ダンパーも切り替わっていく。

Hiromitsu YasuiHiromitsu Yasuiただ、よく遭遇するのは、快適設定時、足まわりがややソフトすぎて、高速ではボディのピッチングを伴う……というケース。そこで結局、スポーツモードにいれっぱなしで運転することになってしまう。

Q7もそのくち? と、乗るまえは案じていたものの、上記のように、杞憂で終わった。ていねいにクルマのキャラクターの作りわけがなされていて、モードによって、ドライブフィールが明確に変わる。そして、どのモードも破綻しているところがない。

Hiromitsu YasuiHiromitsu Yasui私は高速ではダイナミックモードを楽しみ(今回は行けなかったが、おそらくワインディングロードもよさそう)、アクセルペダルの踏みこみに対してのすばやい加速を味わえた。同時に、足まわりはすこし硬くなるものの、そのぶん、ステアリングは鋭くなり、ピープルムーバー的な雰囲気もある外観からは、あまり期待できなかったファントゥドライブをたっぷり感じとれたのだった。

いっぽう、市街地では、(ダイナミックも悪くないけれど)コンフォートモードがよく合う。ステアリングレスポンスはややソフトになり、同時に、足まわりはしなやかに。低回転域の太いエンジントルクとよく合い、快適なのだ。

もちろん、いちいち設定するのがめんどう(ドライブモードセレクターは運転席から少し離れた位置にある)、というひとには、「オート」モードが設定されている。車速や操舵のスピード、路面の状況など、さまざまなパラメーターを使って最適な設定を選んでくれるシステムだ。

Hiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu Yasuiアンダー1000万円の魅力

太めのグリップのしっとりした感触のレザー巻きステアリングホイールを握って走ると、最初こそ「長いし、全高も1735mmで大きなクルマだなぁ」と、思っていたけれど、すぐにクルマとの一体感をおぼえだ。

Q7のクワトロシステムは、フロント40%、リア60%の駆動力配分で、走りが楽しい後輪駆動車に近いドライブフィールを作りだそうとしている。路面や走行状態など、状況が変わってもベスト(安全かつ速い)な状態で走れるように、この可変4WDシステムは、70対30から15対85まで、トルク配分を変えていくという。

Hiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu Yasuiアウディは、2019年の現行「SQ5」も3.0リッターV6との相性がよくて、走らせて楽しい、とてもいい仕上がりだったのを思い出した。2020年9月に乗った新型「Q3&Q3スポーツバック)」のガソリンエンジン車もいい出来だった。強力なラインナップだ。

クオリティはアウディ的。つまり、出来がよい。感触も素材の手触りも、各部の仕上げも、みごとだ。ブラック一色がやや重く感じないでもないけれど、飽きないのは商品力につながっているはずだ。さらに、上10.1インチ(インフォテイメント用)、下8.6インチ(空調用)と、ふたつのモニター画面がダッシュボード中央に備わるのも、気分的に新しい。

Hiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu Yasuiオプションで選べる3列目シートは、身長170cmぐらいの男性ならふたり並んで座っていられる。3列めシートは、北米で販売される大型SUVの必須条件だ。日本でも、重宝するというユーザーには朗報だろう。

競合2車(GLSとX7)は、3列シートのパッケージが共通。いずれも、エンジンとドライブフィールが魅力的だ。 X7の白眉はウルトラとつけたくなるほどスムーズに吹け上がる直列6気筒エンジン(現時点ではガソリンもディーゼルもある)。

Hiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu Yasuiいっぽう、GLSは700Nmと強大なトルクを持つ4.0リッターV型8気筒ガソリン、あるいは10.9km/Lと燃費のよい3.0リッター直列6気筒ディーゼルが搭載されるのが魅力だ。

アウディも”ジャーマンスリー”の一角を占めるだけあって、ここで書いてきたように、内容は濃い。2160kmのボディを軽々と動かす操縦性とともに、キャラクターが変化する高度なドライブモードシステムがQ7の強みであると私は思う。

Hiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu YasuiQ7の価格は、「55 TFSI quattro」が957万円、今回の「55 TFSI quattro S line」が1020万円。メルセデスGLSが1263万円から、BMW X7が1099万円からなので、競争力もある。

さらに、Q7には、小さなエンジン搭載モデルも、限定で設定されている。「45 S line limited」だ。185kW(252ps)の2.0リッター4気筒ターボにクワトロシステムを搭載し、7シーターパッケージや21インチリム径ホイールと組み合わされたタイヤを履いた仕様。価格は975万円だ。

文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)

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