新旧多様なカスタム手法をミックス!
全パートスキ無しのレストモッドスタイル
「このB210サニーは美しすぎる!」世界のカスタムトレンドを取り入れた超大作
インターネット文化の熟成化にともない、チューニングフリーク達の思考は大きく変化した。よりディープな情報を、世界中からリアルタイムで手に入れることが可能だからだ。今回紹介するB210サニーのオーナーもまた、海外から最先端のカスタム情報を独自に集めながらモディファイを楽しんでいる一人だ。
「90年代前半の頃に免許を取ったんですが、その時はチューニングカー全盛期で、私もFC3Sを購入しました。13B改TD05ツインターボ仕様で、RE雨宮レーシングカラーにペイントし、毎週末湾岸や各地のゼロヨンにも通っていましたね」とオーナー。ある意味、当時も今と同様に最先端のチューニングカー乗りだったというわけだ。
その後、アメ車ブームの到来とともにオーナーもクルマを乗り替えるわけだが、アメ車のカスタムを調べているうちに、興味は次第にジャパニーズ旧車のレストモッド(レストア+モディファイ)へと移っていった。
そこからは、インターネットのみならずイベントなどでも情報収集を行いながら、ターゲットとなる車両を物色する日々。当初はRE乗りだったこともありRX-3やカペラを探していたそうだが、パーツ調達などの利便性から日産車に的を絞り、なおかつ大衆車のサニーに着目。そして出会ったのが、このB210サニー2ドアセダンだった。
「最初はサビや腐りも酷かったんですよ。でも、サニークーペではなく2ドアセダンっていうレアさは、自分が考えるプロジェクトにぴったり。フルレストアが第一段階でしたが、予想以上に時間と労力を使いましたね」とオーナー。
続けて「ボディだけでなく各パートはレーシングカーとホットロッド、ローライダーといった様々なテイストを盛り込みながら仕上げているのは、これまで自分が経験したチューニング&カスタムの総決算といったところ。もちろんエンジンから足回りまでキッチリ手を加えているので、走りもそれなりに楽しめちゃいますよ」。
細部を見ていく。エンジンはフォーミュラDの車両製作も行うモテギモータースが担当。A14をベースに亀有のピストンで1508ccへと排気量アップ。キャブもFCR41を4連装着してA型らしいハイレスポンスを実現している。内部までしっかりと手が加えられるだけでなく、埼玉県のSNRが担当するシェイブドベイやディテーリングによって美しいエンジンルームに仕上げている。
また、ワンオフで削り出したロッカーカバーや、シボレーのスモールブロック用ベルドライブキットの流用など、日本の旧車作りとはひと味違ったポイントメイクも見どころ。
足元は旧車定番のレーシングハートを14インチでセット。ビンテージホイールながら、ディスクのペイントやリムのポリッシュ化によって新品級の輝きを放つ。サスペンションは前後ともにワンオフのフルタップ車高調を投入。リヤサスは純正のリーフからコイルオーバーへと変更済みだ。
ブレーキはフロントにFD3S用キャリパーとS130用のスリットローターを組み合わせる。
ボディ同様にインテリアも栃木県のABSMがフルレストア&カスタムを敢行。ダッシュボードは、グレード違いのものをアルカンターラで張り替えて装着。ダッシュ内にはデジタルメーターをインストールし、旧デザインの中にも現代的なアレンジが加えられる。
シートは時代考証に合わせたオートルック風のローバック、ステアリングはOMPのディープコーンをセットする。
リヤウインドウから覗くタンクは、ハイドロサスのユニット風に仕上げられた燃料タンク。ローライダー的な要素としてコレクター位置や配管レイアウトなどまで考えられている。
プロフェッショナルの手を借りながら、オーナー自らがコツコツと仕上げた珠玉のB210。「なんでB210にここまでするの?」なんて思わせることも狙いのひとつというだけあって、完成度は本物。まさにレトロな皮を被った新世代のチューンドなのである。
PHOTO:土屋勇人(Hayato TSUCHIYA)
●取材イベント:HARDCORE TRACK MEETING
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懐かしいよ