3008GTハイブリッド4と405T16、プジョーの古今4WDモデルを考察してみる【プジョー今昔ストーリー/その11】
2021/09/05 18:00 Webモーターマガジン
2021/09/05 18:00 Webモーターマガジン
「温故知新」の逆というわけではないが、最新のプジョー車に乗りながら、古(いにしえ)のプジョー車に思いを馳せてみたい。今回は、最新のプジョー 3008GTハイブリッド4に乗りながら、プジョーの4WDモデルの歴史を振りかえってみたい。(タイトル写真は、上が3008GTハイブリッド4、下が405T16)
最新プジョーの技術を凝縮した3008GTハイブリッド4
3008GTハイブリッド4はSUVであるうえに4WDで電動(プラグインハイブリッド)という、近年のプジョーが力を入れる新基軸をすべて備えるモデルだ。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
通常のガソリンエンジン搭載モデルより350kg以上重く、車両重量は1850kgもあるため重しの効果で乗り心地はかなり上質だ。しかも重くても走りはけっして悪くなく、高速ツアラーとして終始安定した走りを見せるのはさすがプジョーだ。とはいえこの重量感は、過去のプジョーをよく知る人にとっては「らしくない」ように思えてしまうかもしれない。
モーターによる甚大なトルクで、この重さでも上り坂を平坦路に感じてしまうほどグイグイ加速する。高速道路では、さながら直線番長格の加速力を発揮する。大パワーのSUVは珍しくないとはいえ、こんな流儀で走れるのは、やはりプジョーばなれしている。出力はシステム全体で最高300ps、とくに最大トルクは520Nmもある。発進加速では、0rpmから最大トルクを発するリアモーターによってうしろから強烈に押される感じもあり、標準仕様のFFモデルと比較すると世界が大きく違う。
4WDシステムは前輪をエンジン+モーター、後輪をモーターで駆動するという構成で、その作動パターンはいくつもあり、それが四六時中切り替わっている。モーターのみによるEV走行は64kmまで可能だが、外部からの充電は「普通充電」しかできないので、遠出することを考えるとハイブリッド走行が基本になるだろう。走行モードは、ほかにエンジンを積極的に使う「スポーツ」と、4WD走行主体の「4WD」がある。
「4WD」は、十分な電池残量を残しているときに前後ともモーターで駆動し、充電残量が少なくなるとエンジンの回転を利用してフロントモーターで発電、その電力でリアモーターを駆動する。当然そのときはフロントはエンジン駆動になる。泥濘路からの脱出をはじめとする繊細なトルク制御を必要とする場面でモーター駆動にしたい気もするが、日本仕様には走行中の充電優先モードを搭載されていないので、遠出した先でのEV走行はあまり期待できないだろう。ただ、SUVらしくアドバンスドグリップコントロールでマッドやスノーモードなどを選択できるので、問題ないともいえそうだ。
先代3008のシステムは、ル・マン参戦マシンと似ていた
「ハイブリッド4」は、実は従来の3008にも設定されていた。現行モデルと異なるのは、モーターをリアだけに搭載されていたこと、しかもディーゼルエンジンだった。ディーゼル+モーターによるハイブリッドというと燃費面で最良の組み合わせともいえる。ただ、リアモーター1基というシステムはハイブリッドとしてはシンプルで、EV走行距離も限られていた。
従来モデルのハイブリッドシステムは、ル・マン参戦マシンと似た方式ともいえ、前後は逆になるが、エンジンとモーターで前後を分けるのは同じだった。実は3008 ハイブリッド4が発表された2011年頃、ル・マンでも「ハイブリッド4」を冠したマシンを開発していたのだった。
現行の3008GT ハイブリッド4はSUVを名乗っているが、高速ツアラーとしての素性を持ち、デビュー時点でプジョー市販車史上最高出力を誇ってた。ちなみに、現行3008GTハイブリッド4と同じようなシステム構成でさらに出力を高めたのが508PSE(508 プジョー スポール エンジニアード)で、こちらは完全に最新のル・マン用マシンの「9X8」とイメージのうえでリンクしている。
ちなみに、プジョーをはじめとするフランス車で4WDは珍しい。その理由は「舗装化の普及が早かった」とか「積雪がそれほどは多くない」とかさまざまあるが、早くからFFが普及していたことも関係ありそうだ。4WDに及ばないものの、滑りやすい路面におけるFFの走破性能は悪くない。
筆者は冬のフレンチアルプスを何度も訪れたことがあるが、FFのレンタカーで走れなかったことは記憶にない。プジョーのSUVがハイブリッド4以外すべてFFであるのも裏付けがあるわけだ。
やはり、3008GTハイブリッド4は特別なクルマなのだ
もう少し過去に遡ってプジョー初の4WD車を振り返ると、1984年登場の205ターボ16がある。WRC(世界ラリー選手権)のホモロゲーション取得用のモデルで、特殊な設計ではあった。それでも初作でもしっかり開発されていたのは、基本的な技術力の高さを思わせる。その技術とイメージを活かした量販モデルが、1989年に405に設定された4WDモデルだ。
405の4WDモデルは2種類あった。ベーシックグレードは110psのいわゆる生活四駆的モデルであるのだが、フルタイム4WDを採用していた。さらに目玉というべき高性能モデルが、160psの「MI16 X4」である。MI16はFFモデルも存在したが、X4でフルタイム4WDにビスカスカップリングLSDを装備しており、アウディ クワトロが先鞭をつけた4WD高速ツアラーに対するプジョーの回答だった。ラリーにもプジョー ワークスのカラーで出場し、後期型で220psまで60psもパワーアップし、405T16を名乗っていた。
この405T16は、最新の508PSEに近い存在だ。プジョーの4WDは、この高性能モデルの系譜が主流だといえる。3008GTハイブリッド4は、もちろんSUVの車体をもち、SUVとしての走破性を追求している。しかし実際のところは、グランドツーリング的な舞台こそメインステージといえそうだ。
つまり、高性能装備として4WDを与えられた、オールマイティなモデルなのだ。合理主義のフランスではFFで十分だから、高価で複雑な4WDなど必要なしでやってきた。そんな中でハイブリッド4WDというのは、まさに特別な存在といえそうである。(文:武田 隆)
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