見た目ほど速くはないヤリス GRスポーツ
予め触れておこう。このハッチバックは多くのクルマ好きが愛する、GRヤリスの廉価版ではない。単語の順番が違っている。
【画像】スポーツサスで敏捷に トヨタ・ヤリス GRスポーツ 競合クラスのホットハッチと比較 全106枚
今回試乗したのは、ヤリス GRスポーツ。基本的にはトヨタが主力とするコンパクトカーの通常モデルで、GRヤリスを越えない範囲でスポーティに仕立ててある。
エンジンは1.5Lの自然吸気3気筒ガソリン。ハイブリッド・システムが搭載され、システム総合で115psと12.1kg-mを発揮する。四輪駆動ではなく前輪駆動で、トルセン式ディファレンシャルも装備されない。
スタイリングは、少々ホットに仕立てられている。メッシュ状のフロントグリルや、ブラック・アウトされたボディトリムにドアミラーカバーなどで、通常のヤリスとの違いを主張する。
そんな見た目と裏腹に、ヤリス GRスポーツはさほど速くない。0-100km/h加速に要する時間は9.7秒。最高速度は175km/hだ。
装備は充実している。アップル・カープレイとアンドロイド・オートに対応したインフォテインメント・システム、スポーツシート、LEDヘッドライト、バックカメラが標準で付いてくる。
トヨタがセーフティセンスと呼ぶ、運転支援システムも実装されている。衝突被害軽減ブレーキに車線維持支援、アダプティブ・クルーズコントロール、オートハイビームなどが、ドライバーをバックアップしてくれる。
少々硬いGTスポーツ・サスペンション
GRの2文字を冠するだけあって、スポーツフレーバーを効かせるべく、シャシーには改良が施されている。精悍な18インチのアルミホイールを履くほか、専用チューニングのダンパーが組まれる、GTスポーツ・サスペンションがその目玉だろう。
リアのコイルスプリングはレートが見直され、ボディロールを制限している。トヨタによれば、乗り心地とステアリング・レスポンスが向上したという。操縦性を高めるため、フロア部分には剛性を増すサイド・ブレースも追加される。
トヨタは、GRヤリスより以前の2018年に、先代のヤリス GRスポーツをリリースしていた。しかしサスペンションが硬すぎ、滑らかな路面でも乗り心地は振るわず、優れた安定性も得られていなかった。
新しいヤリスへモデルチェンジし、TNGA-Bプラットフォームを獲得したことで、特性が変わるのではないかと試乗前は期待していた。だが、硬い乗り心地は受け継いでしまったようだ。
路面を問わず、小さな凹凸の存在を車内へ伝えてしまう。ボディサイズの割には大きいホイールと肉薄なタイヤも、プラスには働いていない。
もっとも、ホットハッチとしては妥当な引き締まり具合ではある。インテリアには、ふんだんにGRのロゴが展開され、ドライバーの気持ちをソソってくれる。パワートレインの活発さが伴わないのが、なんとも惜しい。
コーナーで改善される走りの印象
走行中の車内には、小さくないノイズが不意に響く。CVTがエンジンの回転数を不必要に高める場合があるためだ。それでも、実際の加速力へ反映されるわけではない。
クセルペダルを蹴飛ばしても、見合った走りは得られない。レスポンスも今ひとつで、動力性能に関しては「GR」の名に応えられていないと感じた。
そんな印象はコーナーで改善される。コーナリング・マシンとはいえないまでも、敏捷に駆け回れる。GTスポーツ・サスペンションの効果だろう。
3気筒エンジンを唸らせて高速道路や市街地を走れば、トヨタの別の意図が見えてくる。積極的に運転しても、燃費は簡単に18.0km/Lを越えてくる。カタログ値の20.4-22.7km/Lという数字も、丁寧に運転すれば迫れるはず。
ハイブリッドだから、駆動用モーターだけでの走行も可能。渋滞時など、40km/h以下で活躍してくれる。
2万5070ポンド(約401万円)からの英国価格は少々強気。小さなホットハッチを探している、若いドライバーを遠ざけてしまいそうだ。
価格が近いフォード・フィエスタ STなどには、相応の動力性能が与えられている。穏やかなオペル・アストラ・ハイブリッドも同価格帯となるが、最高出力で並び、乗り心地は遥かに優しい。
今のご時世、燃費は重要な要素であることは間違いない。それと同時に、シャシーへ見合うパワートレインも大切だと思う。トヨタ・ヤリスは優れたハッチバックだが、GRスポーツがドライバーにとって最高のグレードというわけではないだろう。
トヨタ・ヤリス GRスポーツ(英国仕様)のスペック
英国価格:2万5070ポンド(約401万円)
全長:3940mm
全幅:1745mm
全高:1470mm
最高速度:175km/h
0-100km/h加速:9.7秒
燃費:20.4-22.7km/L
CO2排出量:−
車両重量:1160kg
パワートレイン:直列3気筒1482cc自然吸気+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:115ps(システム総合)
最大トルク:12.1kg-m(システム総合)
ギアボックス:CVT
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みんなのコメント
150馬力くらいならそこそこ楽しめるだろうに。
パワーもほぼ同じだし。