■登場直後に激売れ! トヨタ新型「ライズ」の実力は?
2019年11月に登場したトヨタ「ライズ」は、発売から1か月で月販目標台数の約8倍となる3万2000台もの受注を受け、一躍人気車種の仲間入りを果たしました。
トヨタ 新型「ライズ」販売好調! 購入時のグレード・オプションは何が人気?
ボディサイズは5ナンバーサイズに収めながらもSUVらしいエクステリアを持ち、「ミニRAV4」ともいえるルックスで、人気になるのもうなずけます。
その一方、搭載されるエンジンが1リッター3気筒ターボのみということで、動力性能や燃費性能がどうなのか気になっている人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、人気のライズの実燃費テストを実施しました。
車両は中間グレードとなる「G」で、前輪駆動モデルをチョイス。カタログ上の燃費は、WLTCモード燃費が18.6km/L、JC08モード燃費が23.4km/Lとなっています。
なお、上級グレードとなる「Z」との装備の差は、17インチアルミホイールが16インチに、本革巻きステアリング&シフトノブがウレタンに、前後フォグランプとLEDイルミネーションランプがレスとなる点などですが、一番大きな違いは追従型クルーズコントロールが備わらないところです。
中間グレードと上級グレードではこれだけの装備差がありながら、価格差は16万5000円(消費税込、以下同様)ということで、初期受注の7割が上級のZグレードだったことも納得です。
なお、ライズと兄弟車関係となるダイハツ「ロッキー」との違いは、フロントマスクのデザインの違いだけではなく、グレード体系も異なっています。
ロッキーにはレザー調のシートなどが備わる最上級グレード「Premium」が存在する一方、トヨタにはスマートアシストを省いた最廉価グレード「X」が存在しています。
ただし、安さに惹かれてライズのXグレードを買うと、先進安全装備が何もついていないということになるので、グレード選択は慎重にしたいところです。
走行ルートは、高速道(東名 東京インター⇒小田原厚木道路 小田原西インター)、ワインディング路(ターンパイク箱根⇒箱根新道⇒西湘バイパス 西湘PA)、一般道(国道129号⇒国道246号)の3セクションでテストしました。
その結果、184.5kmの走行で、燃費は21.56km/Lという数値になりました(車両の燃費計を使用。トータルのみ計算して算出)。
WLTCモードの18.6km/L以上、JC08モードの23.4km/L未満という数値となりましたが、小排気エンジンを搭載したクロスオーバーSUVだと考えれば十分満足できる数値ではないでしょうか。
なお、今回は「PWRモード」は未使用、エアコンは25度設定のフルオートで全行程を走行しています。
それではここからセクション別の燃費を振り返ってみます。
●高速道
走行距離:74.6km
実燃費:25.0km/L
高速道では東京インターから東名高速に入り、小田原厚木道路を通る今回のルート。テストは平日の午前中スタートだったため、東名高速道路などは大型車が中心で淡々とした流れとなっており、テスト車両も法定速度前後の安定した速度で走行しています。
ライズのWLTC高速道路モード燃費は20.1km/Lで、郊外モードの20.2km/Lよりも若干悪い数値となっていますが、100km/以下の比較的ゆっくりしたペースでは25.0km/Lとカタログ燃費を大きく上回る数値となりました。
1リッターターボということで非力さが目立つかと思いきや、法定速度内で走る限り不満を覚えることはなく、騒音面もうるさいと思うようなことはありませんでした。
■一般道で停止したときのアイドリングストップにクセがある?
●ワインディング路
走行距離:43.1km
実燃費:19.0km/L
ワインディング路は、小田原西インターを降りてターンパイクを駆け上り、箱根新道を経由して一気に下るというコースです。季節的に雪が気になるルートですが、テスト当日は箱根でも8℃程度と比較的暖かな陽気となりました。
比較的急な上り坂も走ることになるルートでしたが、ここでもパワー不足を感じることはほとんどなく、よほどの急加速を求めない限りはエンジンが唸りを上げることもありませんでした。
また、新開発のDNGAプラットフォームの恩恵か、クロスオーバーSUVながらハンドリングも気持ちよく、これが200万円前後で買えるのなら非常にいい買い物をしたと満足感を味わうことができそうです。
燃費は19.0km/Lと、ターンパイクを延々と上ったにしては好成績。ライズはモーターアシストなどがない分、シーンによっての燃費のばらつきも小さいのかもしれません。
●一般道
走行距離:66.8km
実燃費:20.2km/L
一般道は、国道134号から国道246号を経由して都内にまで戻ります。平日ながら交通量の多いルートで、アイドリングストップ機能が大活躍するシーンなのですが、ここで少し問題が発生しました。
ライズのアイドリングストップは、信号待ちなどで車両が完全にストップする前にエンジンを先行して停止するタイプなのですが、エンジンが停止するとブレーキの踏力を一定にしているにもかかわらず減速力が強まってしまうのです。
おそらくエンジンが停止して駆動力がなくなるため、相対的に減速力が強まるのでしょうが、これに合わせてブレーキの踏力を弱めてしまうとエンジンが再始動し、停車後にアイドリングストップをしないということがたびたび見られました。
ライズ/ロッキーより前の2019年7月にフルモデルチェンジしたダイハツ「タント」では気にならなかったので、ライズ/ロッキー固有のものかもしれませんが、このために満足なアイドリングストップができず、燃費は20.2km/Lに留まっています。
※ ※ ※
登場後すぐに大ヒットモデルとなったライズは、この価格でこの内容のクルマであれば、売れないわけがないというのが正直な感想でした。
1リッターターボエンジンも、大人フル乗車でもしない限りは過不足のないパワーを持ち合わせていますし、新プラットフォームのDNGAのおかげで乗り味も非常に秀逸なものです。
アイドリングストップの制御に気になる点はありましたが、逆にいえば気になるのはその程度で、あとは上級グレードを選ばないと追従型クルーズコントロールが装着されないことや、タイヤサイズが特殊でスタッドレスタイヤの選択肢が少なそうといった些細なものくらい。
ライズの価格は167万9000円から228万2200円で、スライドドアを持つ軽ハイトワゴンと同じくらいです。子どもがある程度大きくなったファミリー層の買い替え需要にもピタリとハマるだろうという点でも、この人気はまだまだ続きそうです。
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