現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「セルシオは10と20、どっちがいいのか?」トヨタの新旧フラッグシップセダン対決!【ManiaxCars】

ここから本文です

「セルシオは10と20、どっちがいいのか?」トヨタの新旧フラッグシップセダン対決!【ManiaxCars】

掲載 更新 108
「セルシオは10と20、どっちがいいのか?」トヨタの新旧フラッグシップセダン対決!【ManiaxCars】

圧巻の静粛性を持つ初代、総合性能主義の2代目

乗り比べると見えてくるそれぞれの個性

「セルシオは10と20、どっちがいいのか?」トヨタの新旧フラッグシップセダン対決!【ManiaxCars】

人気爆発、セールス順調なクルマほどフルモデルチェンジは難しい。下手に変えればユーザーからはそっぽを向かれ、それまでの好調ぶりが嘘のように、新型モデルがまるで売れなくなることも十分に考えられるからだ。日本の高級車観に新しい風を吹き込み、あのメルセデスベンツをも本気にさせたセルシオの、初代から2代目への変身は果たしてどうだったのか? そこを真面目(?)に検証してみたい。

細部に至る高いクオリティとズバ抜けた静粛性をもって、日本の…いや、世界の高級セダン観を変えたと言っても良い初代10系セルシオ。デビューした1989年に日本カー・オブ・ザ・イヤーを獲得し、国内&北米市場ともにセールスも好調だったが、バブル景気の崩壊と共に販売が低迷。トヨタとしては10系でもう数年は引っぱりたかったはずだが、状況的にフルモデルチェンジを迫られることになった。

そこで94年10月に登場したのが2代目20系セルシオで、デザイン的には成功作となった初代のイメージを踏襲。4995mmという全長は据え置いたまま、後席の居住性アップを目的に全幅が10mm、全高が35mm、ホイールベースも35mm拡大された。

ちなみに、今回用意したセルシオは10系がエアサス標準装備のC仕様(UCF11)、20系がベーシックなA仕様でユーロチューンドサスペンションや本革内装、電動サンルーフを装備したeRバージョン(UCF20)で、フェンダーミラーというのがヤバイ(笑)。

いずれもエンジンは1UZ-FE型4LV8を搭載。スペックは260ps/36.0kgm。UCF11は樹脂製カバーの使用が少なくカムカバーがよく見えて、そこに刻まれた“V8 FOURCAM 32”の文字がカッコ良い。また、ストラットタワーにはエアサスペンションのユニットも確認できる。

一方のUCF20は後期型だから圧縮比を高めた(10.0→10.5:1)VVT-i仕様を搭載。前期型に比べて最高出力で15ps、最大トルクで4.0kgmアップとなる280ps/41.0kgmを発揮する。ただ、全体が樹脂製カバーで覆われたエンジンルームの眺めはなんとも味気ない。

ステアリングホイールやメーターナセルの形状、助手席エアバッグの標準装備化に伴うグローブボックス位置などに違いが見られるけど、基本デザインは踏襲されたダッシュボード。

エアコン操作パネルやオーディオなどセンターコンソールの配列も共通で、セルシオを乗り継ぐユーザーに対するトヨタの配慮が見て取れる。UCF11のタン内装は明るく落ち着いた雰囲気。UCF20の黒内装はスポーティさを感じさせるものとなっている。

イグニッションオンでブラックフェイスにまず針が、続いて文字盤が浮かび上がるオプティトロンメーター。視認性の向上を考えてUCF10系のために開発されたものだ。

UCF20も基本的に同じデザインを採用。水温計と燃料計の目盛りやATポジションインジケーターに違いが見られる他、最下段には車両の状況を文字で伝えるインフォメーションディスプレイが加わった。ちなみにUCF10系前期型はオプティトロンメーターを採用しながら、オドメーターだけはアナログ式となる。

4速ATでストレート式のUCF11と、5速ATでゲート式のUCF20。UCF11はATレバー脇にTEMSのモード切り替えスイッチやエアサスの車高調整スイッチなどが設けられる。

1速からのギヤ比は、UCF11が2.531、1.531、1.000、0.705(ファイナル比3.916)、UCF20が3.357、2.180、1.424、1.000、0.753(ファイナル比3.266)となる。

運転席、助手席ともに10ウェイパワーシートを備えるUCF11。シートには新開発のパッドが採用され、コイルスプリング特性やクッション部の座面形状、振動吸収性なども徹底的に解析された。シート表皮はウールファブリックが標準だけど、オプションの本革仕様とされている。

一方のUCF20は欧州仕様のユーロチューンドサスペンションを持つeRバージョンだから本革シートが標準装備。

トランクリッド右側に装着された車名エンブレム。UCF10系前期型は車名の左側に小さく“TOYOTA”のエンブレムも付くのが特徴。これが後期型で車名エンブレムだけとなり、UCF20以降もそれを踏襲することになる。

新旧セルシオを並べてみると、ボディ色と全高の違いから20系の方がひと回り大きく見える。ダッシュボード周りは細部のデザインこそ違うけど、各操作パネルの配置などは10系と共通。20系に乗り替えても、オーナーが自然に扱えるような設計とされている。裏を返せば、それだけ10系の完成度が高かったと言える。

試乗は20系から。トルクアップしたエンジンと5速ATの組み合わは滑らかのひとこと。深くアクセルペダルを踏み込めば、「速っ!」と口を突いて出るほどの加速をするけど、流すだけなら2000rpm以下でコト足りる。エンジン音や排気音、ロードノイズが遮断された車内は平穏そのものだ。

ユーロチューンドサスは、快適かつ楽に乗れるクルマとしてセルシオを選ぶ人にはダンピングが効きすぎに思えるかもしれない。けれど、路面からの入力を一発でいなしてくれるし、ロールがよく抑えられててコーナリング中の姿勢も安定してるなど、1.8トンに迫る車重を感じさせないのが素晴らしい。ただ、容量アップが図られたとはいえ、ブレーキだけはもう少し制動性能が欲しいとも思った。

その後、すぐ10系に乗り換えて走り出す。これはもう取材車両の程度に依るんだけど、30年前のクルマなのにまず古さが全く感じられない。というか、むしろ20系と走行距離がほとんど変わらないのに10系の方がボディがシャンとしてることに驚く。

20系同様、街中は2000rpmまで使えば十分。その領域だと20系の方がわずかにトルク感が大きい気もするけど、走りに影響を及ぼすほどではない。エアサス仕様の足回りは常にフラットな乗り心地を提供してくれる。

なにより10系の方が優れてたのは静粛性だ。絶対的に静かなのは言うまでもなく、耳に届くのは、一度ふるいにかけて雑味が落とされたような音…と言えば良いのだろうか。もちろん、20系も静粛性は高いが、10系に比べるとわずかにノイズが混じると思う。

総合すれば、世代的に新しい20系の方が完成度は高い。しかし、年式が古くても性能的に負けないモノを持っている10系は、本当に画期的なクルマだったのだなと改めて思った次第だ。

■SPECIFICATIONS

車両型式:UCF11

全長×全幅×全高:4995×1820×1400mm

ホイールベース:2815mm

トレッド:FR1565mm

車両重量:1750kg

エンジン型式:1UZ-FE

エンジン形式:V8DOHC

ボア×ストローク:φ87.5×82.5mm

排気量:3968cc 圧縮比:10.0:1

最高出力:260ps/5400rpm

最大トルク:36.0kgm/4600rpm

トランスミッション:4速AT

サスペンション形式:FRダブルウィッシュボーン

ブレーキ:FRベンチレーテッドディスク

タイヤサイズ:FR215/65R15

■SPECIFICATIONS

車両型式:UCF20

全長×全幅×全高:4995×1830×1435mm

ホイールベース:2850mm

トレッド:FR1570mm

車両重量:1760kg

エンジン型式:1UZ-FE(VVT-i)

エンジン形式:V8DOHC

ボア×ストローク:φ87.5×82.5mm

排気量:3968cc 圧縮比:10.5:1

最高出力:280ps/6000rpm

最大トルク:41.0kgm/4000rpm

トランスミッション:5速AT

サスペンション形式:FRダブルウィッシュボーン

ブレーキ:FRベンチレーテッドディスク

タイヤサイズ:FR225/60R16

TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)

●取材協力:SKT 東京都あきる野市横沢欠ノ上43-1 TEL:042-519-9826

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
AUTOCAR JAPAN
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
AUTOSPORT web
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
乗りものニュース
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
AUTOSPORT web
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
AUTOSPORT web
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
くるまのニュース
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
AUTOCAR JAPAN
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
AUTOCAR JAPAN
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
AUTOSPORT web
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
Auto Messe Web
「ラリーのコースなのでトンネル工事を休止します」 名古屋‐飯田の大動脈 旧道がレース仕様に!
「ラリーのコースなのでトンネル工事を休止します」 名古屋‐飯田の大動脈 旧道がレース仕様に!
乗りものニュース
紫ボディはオーロラがモチーフ、中国ユーザーが求めた特別なインフィニティ…広州モーターショー2024
紫ボディはオーロラがモチーフ、中国ユーザーが求めた特別なインフィニティ…広州モーターショー2024
レスポンス
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
AUTOSPORT web
トヨタ勝田貴元、WRCラリージャパンDAY2は不運な後退も総合3番手に0.1秒差まで肉薄「起こったことを考えれば悪くない順位」
トヨタ勝田貴元、WRCラリージャパンDAY2は不運な後退も総合3番手に0.1秒差まで肉薄「起こったことを考えれば悪くない順位」
motorsport.com 日本版
日産「新型ラグジュアリーSUV」世界初公開! 斬新「紫」内装&オラオラ「ゴールド」アクセントで超カッコイイ! ド迫力エアロもスゴイ「QX60C」中国に登場
日産「新型ラグジュアリーSUV」世界初公開! 斬新「紫」内装&オラオラ「ゴールド」アクセントで超カッコイイ! ド迫力エアロもスゴイ「QX60C」中国に登場
くるまのニュース
エコの時代に逆行!? 「やっぱ気持ちいいのは大排気量のトルクだよね」……800馬力超のエンジンが吠える「アメ車」マッスルカーの“クセになる世界”とは
エコの時代に逆行!? 「やっぱ気持ちいいのは大排気量のトルクだよね」……800馬力超のエンジンが吠える「アメ車」マッスルカーの“クセになる世界”とは
VAGUE
変化と進化──新型ロールス・ロイス ゴースト シリーズII試乗記
変化と進化──新型ロールス・ロイス ゴースト シリーズII試乗記
GQ JAPAN
加熱する中国高級SUV市場、キャデラック『XT6』2025年型は「エグゼクティブシート」アピール
加熱する中国高級SUV市場、キャデラック『XT6』2025年型は「エグゼクティブシート」アピール
レスポンス

みんなのコメント

108件
  • 個人的には10が好き。古いだのダサいだの言われるけどセルシオの名を轟かせた名車なので。
  • 新車で軽四に乗るより中古のセルシオのほうが満足度は高いと思う。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

593.3787.5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

49.0298.0万円

中古車を検索
セルシオの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

593.3787.5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

49.0298.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村