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【10年経っても変わらぬ魅力】押し出しは控えめで走りは穏やか!新型ボルボXC90は同クラスSUVで貴重な存在

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【10年経っても変わらぬ魅力】押し出しは控えめで走りは穏やか!新型ボルボXC90は同クラスSUVで貴重な存在

XC90から始まった攻めの戦略

この10年間でデザインも走りも一気に洗練されたボルボ。その先導役を務めたのが2014年にワールドプレミアされ、2年後に我が国で発売された2代目『ボルボXC90』だ。

【画像】10年過ぎても魅力は褪せない!マイナーチェンジを果たした新型ボルボXC90 全144枚

ボルボはジーリー(吉利)グループ入りした2010年代になって、すべてのラインナップのプラットフォームを一新するという大改革を実施。中~大型車向けのSPA(スケーラブル・スペース・アーキテクチャー)と、小型車向けのCMA(コンパクト・モジュラー・アーキテクチャー)を相次いで開発した。

これに合わせてエンジンはすべて2L直列4気筒ターボに統一し、電動化への対応も開始。デザインは『コンセプト・クーペ』、『コンセプト・エックス』、『コンセプト・エステート』という3台のコンセプトカーをお披露目しながら煮詰めていった。

この流れの中からいち早く世に送り出された市販車がXC90であり、その後登場したXC60やXC40などは、すべてXC90に始まる攻めの戦略の中で生まれてきた車種なのである。

そのXC90が昨年9月にマイナーチェンジを発表し、2月に日本にも上陸した。EVについてはひと足先にEX90がデビューしているので、こちらはプラグインとマイルドのハイブリッド(PHEV/MHEV)となる。

本国での発表時には、2030年までにすべてのモデルをEVにするというロードマップを、2025年までに50~60%、2030年までに90~100%をEVあるいはPHEVにするという、目標時期の変更もアナウンスされていた。XC90のアップデートは、この方針に基づくものとも言える。

クルマのグリルではあまり見たことがない処理

その新型に、東京都内で試乗することができた。グレードは『プラス』と『ウルトラ』があり、MHEVのB5 AWDは両方を用意。PHEVはウルトラのみで、試乗車は『XC90ウルトラT8 AWDプラグインハイブリッド』が正式名称となる後者だった。

現行XC90は、六角形のフロントグリルと『トールハンマー』と呼ばれる横T字型ヘッドランプからなるフロントマスク、『VOLVO』のロゴを離して置き、縦長リアコンビランプで挟むリアスタイルを確立したモデルでもある。

新型はまず、グリル内のバーが縦から斜めになったことが目立つ。『アイアンマーク』と呼ばれるエンブレムの矢印、そこから伸びるバーに角度を合わせたものだが、クルマのグリルではあまり見たことがない処理で、柔軟な発想に感心した。

それ以外もヘッドランプがグリルとつながり、フロントバンパーの造形がすっきりしたことにも気づく。サイドではアルミホイールのデザインが一新され、リアはコンビランプが、点灯部分だけ赤く浮き上がる見た目に変わった。

インテリアはセンターディスプレイの大型化が目立つ。レイアウトも変更されており、たとえばドライブモードのボタンは階層の奥ではなくメイン画面に出された。さらにインパネやドアトリムの造形や素材も変わっている。

エアコンルーバーのフィンが、他のボルボと同じ縦長に変わったこともニュース。フルデジタルのメーター、Googleのマップや音声認識システムなどは2022年に導入されていて、ディスプレイともども最新モードになったと実感する。

北欧生まれならではのデザインへのこだわりを実感するのは、ドアトリムの上端が前後ともゆるくカーブしていたり、ヘッドレストの裏やサードシートのレバーまできちんと造形が行き届いていたりすること。こういう部分を適当にあしらうクルマが多い中、細部に至るまで手を抜いていないことに感心した。

加速はかなり力強く、最上級グレードであることを実感

予想より小振りでタイトな運転席に座り、センターコンソールのダイヤルを回してパワーユニットをスタートする。といってもPHEVなので発進はモーターだ。

新型ではMHEVのエンジンがミラーサイクルとなるなどの改良を実施し5.3%の燃費改善を図ったが、PHEVは変更なし。センタートンネルにバッテリーを積み、フロントはエンジンとアシストや回生も行うスタータージェネレーター、リアはモーターで駆動する。モーターのみでの走行可能距離は73kmだ。

加速はかなり力強く、最上級グレードであることを実感する。たまに始動するエンジンは、昔に比べると洗練された回り方になり、PHEVなのであまり高回転まで回さないこともあって、存在はほとんど気にならない。

クリープ機能をオフにしたうえで、DレンジからBレンジに切り替えると、いわゆるワンペダルドライブができるが、先日乗る機会のあったEX30同様、挙動はさほど唐突ではないので、気がつくと多用していた。

PHEVはエアサスが標準装備とのことで、乗り心地はボルボらしくしっとりしていた。ハンドリングもシャープではないものの、狙ったとおりに進んでいく。AWDではあるが、リアモーターの働きは控えめで、前輪主導で安定志向のハンドリングだった。

今回のマイナーチェンジで、XC90の価格はすべて1000万円以上になった。試乗したグレードは1294万円だ。でも押し出しは控えめで、走りは穏やか。このクラスのSUVでは貴重な存在だ。日本でも年間1000台以上をコンスタントに売っている理由は、この佇まいによるところが大きいのかもしれない。

ボルボXC90のスペック

ボルボXC90ウルトラT8AWDプラグインハイブリッド
全長×全幅×全高:4955×1960×1775mm
ホイールベース:2985mm
車両重量:2300kg
エンジン形式:直列4気筒DOHC16バルブターボ
排気量:1968cc
最高出力:233kW(317ps)/6000rpm
最大トルク:400Nm(40.8kg-m)/3000-5000rpm
モーター定格出力:F32.5kW R99.0kW
モーター定格電圧:F450V R470V
最高出力:
フロント52kW/3000-4500rpm
リア107kW/3280-15900rpm
モーター最大トルク:
フロント165Nm/0-3000rpm
リア309Nm/0-3280rpm
バッテリー電圧/容量:369V/51Ah
バッテリー総電圧:18.8kW
駆動方式:AWD
燃料タンク容量:50L
ギアボックス:8速AT
タイヤ:F&R275/35R22
サスペンション:Fダブルウィッシュボーン Rマルチリンク
ブレーキ:F&Rパワーアシスト付きディスク
燃料消費率(WLTCモード):13.3km/L
価格:1294万円
取材車価格:1358万3600円

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