現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 今年累計販売台数まさかの9台 ホンダNSX「北米では評価されてる」は本当か?

ここから本文です

今年累計販売台数まさかの9台 ホンダNSX「北米では評価されてる」は本当か?

掲載 更新 32
今年累計販売台数まさかの9台 ホンダNSX「北米では評価されてる」は本当か?

 26年ぶりのフルモデルチェンジとなった「NSX」。

 2017年2月の登場以来、早くも3年半が過ぎた。

ひっそり消滅は惜しい!! “北米版レジェンド“アキュラRLXの絶版が決定

 ところが、日本での月販売台数が1台という場合があるなど、日本市場では成功しているのか、さほどでもないのか、商品の評価がなんとなくわかりにくい。

 そもそも、初回販売台数100台として、月販目標を示していないこともあるが……。

 ちなみに2020年1月から7月までの累計販売台数はわずか9台!! 驚くのは2020年8月の時点ではすでに2020年の日本割り当て分は完売していることで、いくら何でも少なすぎる。

 では、NSXの製造地であり、NSXの主力販売市場であるアメリカではNSXはどのような存在なのだろうか?

 NSXのライバルとは、具体的にどのようなクルマなのだろうか?

 アメリカにおける、これまでの2代目NSX経緯を振り返りながら、現地の実情をご紹介してみたい。

文:桃田健史/写真:HONDA、FORD、PORCHE、MCLAREN、CHEVROLET

【画像ギャラリー】2020年モデルはすでに完売!! NSXとライバルによるスーパースポーツカーの共演を堪能する!!

全米各地で見かける

初代NSXは1990~2005年まで発売。現行NSXは北米でアキュラNSXとして2016年2月から受注開始し、日本ではホンダNSXとして2017年から販売開始

 アメリカでのモデル名称は、ホンダ上級ブランドのアキュラNSX。

 ホンダの北米法人であるアメリカンホンダによると、直近の2020年7月のNSX販売台数は15台。アキュラの売れ筋である、コンパクトSUV「RDX」の5317台やミッドサイズSUV「MDX」の4494台と比べると極めて少ない。

 1~7月の累積では、NSXは前年同期比56.8%減の70台。新型コロナウイルス感染拡大の影響で製造工場や販売店が休止になるなど事態は厳しかった。

 だたし、2019年の年間販売台数は238台で前年比40.0%増と大きく伸びている。

 つまり、発売から2年、また3年経っても、アメリカではNSXに対する潜在的な需要がまだ十分あり、アフターコロナで経済活動が回復すれば、今後も販売は順調に維持できる可能性があるといえる。

2020年モデルとしてインディイエローパールIIが追加されたものの、2020年1~7月の販売台数はわずか9台。しかし2020年モデルは完売。車両価格は2420万円

 実際、全米各地でNSXと出会うことがしばしばある。

 地域別で見れば、筆頭は日系メーカーに対する認知度が高く富裕層が多いカリフォルニア州。シリコンバレーを中核とする北カリフォルニアよりも、南カリフォルニアのオレンジカウンティなどで見かけることが多い。

 その他では、スーパーカーの所有が多いフロリダ州や、自分のクルマを持ち込んで手軽に楽しめるサーキットが多いテキサス州などで、NSXオーナーが多い印象がある。

 こうした各地で見るNSXは、フリーウエイであれ、住宅地であれ、ウォルマートなど大型スーパーの駐車場であれ、社会の風景の中で浮き上がっているようには見えず、なんとも自然にアメリカンライフに溶け込んでいる。

 いうなれば、アメリカンなジャパニーズスーパーカーである。

 こうした商品になることは、2000年代後半から2010年代初頭、2代目NSXの商品企画が進む中で、明確化されていったのだと思う。

北米での新車価格は税抜きで15万7500ドル。1ドル=106円で換算すると1664万2000円となり、富裕層にとっては買い得感が高い価格設定だ

椅子から転がり落ちそうになった

 時計の針を少し戻そう。

 2007年1月、北米国際自動車ショー(通称デトロイトショー)のアキュラブース。世界に向けた記者会見で、筆者は日米欧ジャーナリストとともに最前列でワールドプレミアの瞬間を待っていた。

2007年のデトロイトショーで世界初公開された「アキュラ アドバンスド スポーツカー コンセプト」は次期NSXと言われていたがデザインが不評

 ベールに隠されたそのモデルは、次期NSXであると言われており世界から大きな注目を集めていた。初代NSXの生産中止から2年目のことだった。

 ところが、登場した「アキュラ アドバンスド スポーツカー コンセプト」の姿に、筆者を含めて多くのメディアが驚いた。はっきり言えば、大いに落胆した。

 なぜならば、アキュラ版コルベットと表現したくなるような、見るからにアメリカンなロングノーズスポーツカーだったからだ。

 パワートレインは、V型10気筒エンジンという触れ込み。となると、2005年に登場した、レクサス「LF-A」(コンセプトモデル表記)の対抗馬というイメージが強いのだが、例えコンセプトモデルとはいっても「アキュラ アドバンスド スポーツカー コンセプト」の雰囲気は、なんともアメリカンな大味だった。

NSX後継V10スポーツカーは市販に向けて開発が進められていたが、2008年12月に福井威夫社長(当時)が開発中止を正式に発表

 デザインを担当したのは、ロサンゼルスにほど近い、トーランスにあるアキュラデザインセンターだが、担当者らと意見交換しても、話題はアメリカンテイストといった傾向が強い印象があり、「このまま出したら失敗する」と筆者を含めた多くのジャーナリストが口を揃えた。

 それから5年が経過した……。

日本国内市場で感じたアメリカンテイスト

2012年のデトロイトショーでNSXコンセプトが世界初公開された。同時にNSXはアメリカのオハイオ州の専用施設で生産することを発表

 2012年1月の北米国際自動車ショー。当時の伊東孝紳社長が壇上で「NSXコンセプト」をアンベールすると、場内にどよめきが起こるほど、世界のメディアから絶賛を受けた。

 5年前とはまったく別物、次世代スーパーカーライクなミッドシップ。しかも、パワートレインはリアに1モーターハイブリッド、フロントそれぞれ1モーターの3モーター式だ。

 さらに、場内が盛り上がったのは、伊東社長が製造をアメリカで行うと発言した瞬間だった。

 その後、オハイオ州メリアズビル四輪工場の敷地内にNSX専用となるパフォーマンス・マニュファクチャリング・センターを建設。約100人のアメリカ人が業務にあたっている。

NSX専用のパフォーマンス・マニュファクチャリング・センターで働く人は厳選され、選ばれた人はNSXを作っているという誇りを持っている人が多いという

 それから4年8カ月後の2016年9月、兵庫県神戸市を起点とした日本国内メディア向けNSX試乗会に参加したが、その際の印象として「アメリカン人ウケしそうな走り味」を強く感じた。

 その旨を、アメリカの製造拠点から参加したアメリカ人技術者と、本田技術研究所の開発陣にはっきりと伝えた。

 その時点で、筆者の頭に浮かんがライバルは、フェラーリやランボルギーニではなく、「フォードGT」だった。

筆者の桃田氏は日本仕様のホンダNSXを初めてドライブした時に、フォードGTがライバルだと直感したという

NSXのライバルは何だ?

 では、実際にアメリカでの2代目NSXのライバルは何か?

 2017年から2019年半ばまでは、ポルシェ「GT3」だ。理由は、日常生活での使い勝手である。アメリカの富裕層は、例えスーパーカーでも複数モデルを気軽に乗り換えて楽しんでいるその観点では、「GT3」ユーザーとの接点が大きいと思う。

高性能でストリートからサーキットまでこなし、加えて実用性の高いポルシェ911GT3は富裕層にとってNSXのライバルとなる

 また、F1というキーワードで見れば、フェラーリよりもマクラーレンがライバルになる。

 そもそもは、ホンダはエンジン中心、マクラーレンはシャシー中心というヘリテイジとしての違いはあれど、両者の記号性に共通点がある。

 価格帯では「570S」などのスポーツシリーズ、加えて新規導入された「GT」がNSXのライバルとなる。

マクラーレンはMP4/12Cを登場させて以来、積極的にスーパースポーツカーをリリースしていて、GTはNSXにとっても手ごわい存在。日本での価格は2645万円

マクラーレン570SもNSXのライバルで、日本での価格はクーペが2725万円

 そのほか、北米での価格はほぼ半値である、新型シボレー「コルベット」へもNSXからユーザーが流れる可能性もあるが、こうしたユーザーはごく一部だろう。

 アメリカ人にとってNSXとは、F1やインディでのホンダレーシングのイメージと、一般的なホンダやアキュラ車に対する安全と安心がバランスよくマッチしたモデルだ。

 ホンダがアメリカで培った信頼という基盤の上で、これからもNSXに対する支持は変わらないように思える。

アメリカンスポーツカーの雄、コルベットは歴代で初めてミドシップとなりNSXのライバルとなる。日本での価格はNSXの半額以下の1180万円から購入できる

※コルベットのスペックは北米仕様(価格は日本仕様)

【画像ギャラリー】2020年モデルはすでに完売!! NSXとライバルによるスーパースポーツカーの共演を堪能する!!

こんな記事も読まれています

ハミルトンはもっとトップ争いに近づけた? 15秒差の3位にウルフ代表「実際はより差を縮められたかもしれない」
ハミルトンはもっとトップ争いに近づけた? 15秒差の3位にウルフ代表「実際はより差を縮められたかもしれない」
motorsport.com 日本版
ホンダ「新型軽バン」発表! 斬新「“黒すぎ”ボンネット」が「めちゃカッコイイ」! 新型N-VAN e:用「純正アクセ」10月発売に反響集まる
ホンダ「新型軽バン」発表! 斬新「“黒すぎ”ボンネット」が「めちゃカッコイイ」! 新型N-VAN e:用「純正アクセ」10月発売に反響集まる
くるまのニュース
このセンスの良さは最高クラス! 完璧な仕上がりのトヨタ ハイエースがベースのキャンパー
このセンスの良さは最高クラス! 完璧な仕上がりのトヨタ ハイエースがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
Sosa Metalworks初の電動バイクカスタム そこに込められた創り手の想いとは?
Sosa Metalworks初の電動バイクカスタム そこに込められた創り手の想いとは?
バイクのニュース
我らが[カウンタック]と同じガルウィングなのに160万の衝撃!! [トヨタセラ]の動くサウナ説ホントか!?
我らが[カウンタック]と同じガルウィングなのに160万の衝撃!! [トヨタセラ]の動くサウナ説ホントか!?
ベストカーWeb
ジムニーシエラ買うなら必見!人気の年式やおすすめグレードまで【人気のクルマ中古購入ガイド】
ジムニーシエラ買うなら必見!人気の年式やおすすめグレードまで【人気のクルマ中古購入ガイド】
グーネット
X氏の値引き大作戦 カローラクロスから31.4万円引き!
X氏の値引き大作戦 カローラクロスから31.4万円引き!
グーネット
【特集 メルセデス・ベンツが切り拓くハイブリッド新時代の今(2)CLE 200 クーペ スポーツ】MHEVが求めるのは、絶対性能ではなく毎日が楽しい「ハイスペック」なのかも
【特集 メルセデス・ベンツが切り拓くハイブリッド新時代の今(2)CLE 200 クーペ スポーツ】MHEVが求めるのは、絶対性能ではなく毎日が楽しい「ハイスペック」なのかも
Webモーターマガジン
レクサスが充電ステーションを開放! すべてのBEVユーザーが利用可能に
レクサスが充電ステーションを開放! すべてのBEVユーザーが利用可能に
THE EV TIMES
データシステムがハイマウントリアカメラとリアランプ用高輝度LEDバックランプ新発売
データシステムがハイマウントリアカメラとリアランプ用高輝度LEDバックランプ新発売
カー・アンド・ドライバー
東関東道の新ルート”鹿島支線”が整備決定! いよいよ概略ルート検討開始 約18kmの「鹿行南部道路」どんな道路?
東関東道の新ルート”鹿島支線”が整備決定! いよいよ概略ルート検討開始 約18kmの「鹿行南部道路」どんな道路?
くるまのニュース
2024年F1第10戦スペインGP決勝トップ10ドライバーコメント(2)
2024年F1第10戦スペインGP決勝トップ10ドライバーコメント(2)
AUTOSPORT web
ドイツの2大ブランドの最新情報を徹底リポート『BMWとメルセデス』ル・ボラン2024年8月号、本日発売!!
ドイツの2大ブランドの最新情報を徹底リポート『BMWとメルセデス』ル・ボラン2024年8月号、本日発売!!
LE VOLANT CARSMEET WEB
「山陰道」開通に黄信号? 県内最後の区間「予見できぬ事象発生」 影響を精査へ
「山陰道」開通に黄信号? 県内最後の区間「予見できぬ事象発生」 影響を精査へ
乗りものニュース
全長約4m! 日産新型「小さな高級車」初公開! 斬新顔の新型「オーラ」登場に「従来型が良かった…」の声!? “新旧モデル”どっちがいい?
全長約4m! 日産新型「小さな高級車」初公開! 斬新顔の新型「オーラ」登場に「従来型が良かった…」の声!? “新旧モデル”どっちがいい?
くるまのニュース
【宮田莉朋F2密着】前日の好走から一転。スピードを失った車両で苦戦した日曜日/第6戦レビュー後編
【宮田莉朋F2密着】前日の好走から一転。スピードを失った車両で苦戦した日曜日/第6戦レビュー後編
AUTOSPORT web
2024年F1第10戦スペインGP決勝トップ10ドライバーコメント(1)
2024年F1第10戦スペインGP決勝トップ10ドライバーコメント(1)
AUTOSPORT web
フルチューン済み、ノイエ・クラッセのBMWの相場感は?「1800TI」のFIA公認済みの個体なら800万円程度が妥当!?
フルチューン済み、ノイエ・クラッセのBMWの相場感は?「1800TI」のFIA公認済みの個体なら800万円程度が妥当!?
Auto Messe Web

みんなのコメント

32件
  • いろいろ書かれているけど単に失敗作。売れてない。値段の割にデザインも性能も中途半端でその上アメリカ製。アメリカ人だって高性能な日本車は日本人が作っているからこそ価値があると分かっているよ。安くてかっこいいコルベットの登場で完全終了だね。
  • もはやアキュラ自体、高級ブランドというより
    お金を掛けたネタ作りブランド。

    だから海外では国によってNSXの名を
    アキュラとホンダで使い分けているんでしょ。
    その時点で迷走しているのが
    北米で見抜かれているから売れてないの。

    だってこういうのを買う富裕層は性能より
    ブランド力なんだから。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2420.02794.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

600.04980.0万円

中古車を検索
NSXの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2420.02794.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

600.04980.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村