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やっぱりセダンって魅力的だね──2台のFRセダン、ジュリア&スカイラインを試す!

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やっぱりセダンって魅力的だね──2台のFRセダン、ジュリア&スカイラインを試す!

4ドアセダンの人気が下がっていると誰もが口にする。新車販売市場の比率を単に数字やグラフで見れば、その傾向が読み取れるのだろう。だからといって、世界の自動車メーカーが4ドアセダンの開発を止めるのかといえば、そうでもない。筆者自身は4ドアセダン好きである。

理由はいくつかある。まず大人4~5人がきちんと座って移動できる空間が確保されること。また今日の4ドアセダンは荷室容量も大きく、よほど高さのあるものでなければ積めるし、長さがあっても横にしたり、後席背もたれを倒したりなどすれば運べる。そして、荷室が客室と完全に分離されるので、走行中の静粛性も高い。

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そのうえで、4ドアセダンの格好は、SUVやステーションワゴンと違って荷室部分の屋根が低いので、全体的に低重心となり、操縦安定性に優れる。しっかりとした車体剛性と、きちんとしたサスペンションを備えたクルマであれば、かなりスポーティな運転も楽しめる。

ほかの面でも、高齢者にとって、SUVやミニバンは座席位置が高く乗り降りしにくいが、4ドアセダンは座席が低いので、より楽に乗降できることを両親の介護経験から実感した。

以上のようにさまざまな融通が利きながら、運転の喜びも実感できるのが4ドアセダンの特徴でもあるし美点であると言える。

走る喜びを大きく感じられるジュリア

4ドアセダンの位置づけの意味合いが持つ重さは、昨年発売されたアルファロメオ ジュリアに実例として見ることができる。

フィアットグループの一銘柄として存続するアルファロメオは、フィアットの前輪駆動車を活用した車種展開をしてきた。しかし、あらためてアルファロメオの独自性や独創性を主張するため、ジュリアを復活させた。その際、独自に後輪駆動の車台(プラットフォーム)をあえて開発した。それは、続くSUVのステルヴィオにも応用している。

販売動向には時代の流れもあるだろう。4ドアセダンが時流と合わなくなったとしても、だからといって4ドアセダンが無用であるということにはならないのではないか。メルセデス・ベンツ Cクラスは、メルセデス・ベンツにおける最量販車種であり、その根幹は4ドアセダンだ。そのうえに、ステーションワゴン、クーペ、カブリオレなどが構築されていく。

電気自動車メーカーのテスラも、独自の車種展開を開始するに際しては、4ドアセダンの姿(実は、後ろがハッチバックではある)であるモデルSを、まず市販に移した。そのあとから、SUVのモデルXという順だ。

さて、4ドアセダンとして目新しいアルファロメオ ジュリアは、興味深い車種であることに間違いはない。後輪駆動用のプラットフォームを新開発しただけでなく、前後重量配分を50:50とするため、変速機を後輪側に配置する手法を採っている。実際、車検証の前後軸重量で確認したら、前輪側が10kgほど重いが、50:50といっていい重量配分になっていた。

前後重量配分へのこだわりはBMWも同様で、その成果は、クルマが発進して間もない低速走行でも、動きが素早いという手ごたえとして実感出来る。市街地を走る場合も、角を曲がるといった日常的なドライビングのなかに、運転操作通りにクルマが動いてくれる嬉しさを体感することが出来るのだ。

運転の喜びとは、郊外のワインディングロードへ出かけたり、サーキットを猛烈な速度で走ったりしなくても、本来は日常の中で感じられるものであるはずだ。そこに4ドアセダンの存在意義もあるし、重量配分など基本設計がしっかりいきるように作り込まれているかどうかということが問われる。

ジュリアには、そうした喜びをもたらす開発者の思いが伝わる運転感覚がある。

一方で、後輪駆動車の開発が久し振りであるせいもあるのか、俊敏な動きを意識し過ぎてのことなのかもしれないが、ステアリング操作に対するクルマの動きが急すぎる傾向にあるのも事実だ。また、偏平タイヤへの適応も十分ではなく、路面の轍にステアリングをとられやすい傾向もある。

前輪駆動のクルマをスポーティに走らせようとすると、どうしてもタイヤに無理をさせ、クルマの向きを強引に変えさせようとする設定になりやすい。もしかするとアルファロメオには、前輪駆動時代の意識がまだ残っているのかもしれない。またクルマの挙動をタイヤに依存しようとして、タイヤを偏平にし過ぎたことも考えられる。

とはいえ、基本的な素性の良さを持つクルマなので、年を追うごとに成熟度を増していく期待をいだかせる1台だった。

力強さや静粛性は評価出来るが古さも感じるスカイライン

スカイラインは、日産自動車だけでなく日本を代表する4ドアセダンの1台と言っても過言ではない。また後輪駆動の高性能車といった伝統も忘れられてはいない。実際、現行のスカイラインには、日産独創の1モーター2クラッチ式のハイブリッドが搭載され、またステア・バイ・ワイヤー(ステアリングホイールによる操舵とタイヤの切れ角を独立して電子制御する技術)も世界で初めて搭載した。

久しぶりにスカイラインのステアリングを握り、思ったのは、すでに登場から4年を経過した古さであった。また、期待のステアリング・バイ・ワイヤーも、手ごたえが軽すぎ、タイヤの接地感覚が伝わりにくいところに、制御の改善が感じられなかった。欧州メーカーは1車種の寿命が約8年と永いが、日進月歩で改良が施されていく。しかしスカイラインは、開発当初のまま停滞しているような印象を受けた。

とはいえ、1モーター2クラッチ式ハイブリッドは力強く、静粛性にも優れ、他社のハイブリッドシステムと比べても、現行スカイラインのような上級4ドアセダンとの相性がいい方式であると実感する。

スカイラインの伝統に対する日本人の思いだけでなく、世界的に今なおその存在が重視される4ドアセダンの基幹車種として、スカイラインが素養を活かし、大きく前進することを期待したいところだ。

ジュリア、スカイラインともに改善点はあるにせよ、魅力的な4ドアセダンであることは間違いない。ユーザーもSUVやミニバンばかりでなく、これら4ドアセダンにもあらためて触れて欲しいと思う。想像以上の完成度や使い勝手の高さ、そしてSUVやミニバンでは得られない“走る喜び”にきっと気がつくはずだ。

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