「著しい交通の危険」が適用される場面とは
’20年6月30日に「妨害運転罪」が施行された。だが実際には何に気をつければいいのかよく分からない状況だろう。取り締まりの基準は? 法律の問題点は? 本特集では、これらの疑問を解決すべく、警察や弁護士にも徹底取材を行った。本記事では妨害運転罪の摘発/逮捕実例を見ながらそのポイントを解説する。
妨害運転罪適用に関する警察側の見解は?〈あおり運転”加害者誤認”回避マニュアル#3〉
◆【事例1:東京都】初適用! クラクションを約2分間鳴らし続け、自分の車を被害者の車の前に割り込ませて通行を妨害
◆【事例2:大分県】初の逮捕! クラクションを鳴らしながら急接近する行為を約3km繰り返し、被害者の車の進路に割り込んで接触
◆【事例3:千葉県】県内初摘発! 前走車の前に割り込んで急ブレーキをかけて停車させ、交通の危険を生じさせた
どの実例も10類型を複数犯している
上に示した3つの事例は、妨害運転罪の施行後に耳目を集めた摘発の事例だ。どの事例の加害車も10類型の違反を数種類犯してあおった上で、相手の車(被害車)を停止させ、「道路における交通の危険を生じさせるおそれ」を発生させている。これがポイントだ。
中でも千葉県内で初摘発となった事例3では、妨害運転罪の中でもより重い罰則が適用された。国道16号線という首都圏でも交通量の多い幹線道路で他車をあおったという行為が妨害運転罪と認定された上で、「道路における著しい交通の危険を生じさせた(注:”おそれがあった”ではなく”生じさせた”)」ことが「著しい交通の危険」となる妨害運転罪の国内初適用となった。
道路上で停車させて怒鳴りつける/暴行するなど、どれも明らかに悪質な行為であり、妨害運転罪以外にも暴行罪等が適用されている事例もあるが、加害者はまず自分が被害を受けた(迷惑をこうむった)と感じている点にも注目したい。そうした怒りやイライラでカッとなってしまうのは、車に乗っていて気が大きくなっているからかもしれないが、バイクの場合はそうはいかない。車の前に割り込んで急停車させようと急ブレーキをかけても、接触した瞬間にライダーは無事では済まないからだ。
だからこそバイクに乗るライダーは、挑発されたりあおられたと感じても、4輪の運転時より冷静さを保つべきだ。怒りの感情をコントロールする”アンガーマネジメント”として、よく「6秒待とう、数えよう」と言われるが、それに加えて自身の理性と冷静さを保つためにも、ドライブレコーダーは装着しておいた方がよいだろう。
次ページでは、数々の交通事故や道路交通法違反に関する弁護を行い、事故や違反の要因分析もされている交通関係のスペシャリストに、妨害運転罪について伺った。
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みんなのコメント
まぁー速やかに抜いて行ってくれるから別に問題ないけどね。
感情的になる様な報道をしていましたからね。
厳密には運転中の行為が原因ではなく駐車場トラブルがきっかけですから。
追い越し車線で停車して喧嘩中に(被害者がハザード ランプを付けていなかった事もあり)前方不注意と車間距離不足のトラックが追突して夫婦が亡くなったのに、なぜかマスコミが煽り運転による死亡事故として報道してしまいましたからね。
普通ならトラック運転手の過失ですが、世論を受けて本来なら進路妨害で停車と暴行で責められるべき加害者に死亡事故の過失を押し付けるという前代未聞の事になってしまいましたからね。