2020年12月23日より発売となった日産『新型ノート(E13型)』。この発売日当日に発表されたのが、新型ノートの「e-POWER 4WD」だ。2021年2月に発売開始となる。
これまでのE12ノートにもリアタイヤを小型モーターで駆動する、いわゆる「生活4WD」はあったのだが、今回の新型ノートではリアに搭載するモーターの出力を飛躍的に向上させており、従来型とはひと味もふた味も違うレベルに仕上がっているようだ。
シルフィ消滅でブルーバード栄光の歴史に幕! 今こそブルーバードSSSの中古車が欲しい!!
新型ノートに搭載される、この「e-POWER 4WD」はどの程度期待ができるアイテムなのか? e-POWER 4WDの性能に迫ってみようと思う。
文/吉川賢一
写真/NISSAN、編集部
【画像ギャラリー】ライバルをしのぐ本気度! 新型ノート e-POWER 4WDの走りと秘密をチェック!!
■電動車ならではの4WD制御は期待大!!
「e-POWER 4WD」は、4輪すべてを強力なモーターで駆動する本格電動4WDだ。新型ノートではリアに最高出力50kW/最大トルク100Nmのモーターを積んでおり、これはE12ノート4WDのリアモーター出力(3.5kW)と比較すると、なんと14倍もの容量アップとなる。フロントモーターの出力と合わせれば135kW級(最大出力は184PS、最大トルクは380Nm)だ。
このシステムが搭載される新型ノートe-POWER 4WDは、1340kg(FFは1220kgなのでプラス120kg)と軽量。そこにV6並みの最大トルクを発生するモーターを備えることになるのだから、相当に痛快な走りが期待できる。
従来のモーターアシスト4WDとは一線を画す、本格電動4WDを搭載したノートe-POWER 4WD。
新世代システムが作り出す楽しい走りへの期待が高まる
後輪用モーターのサイズアップによって、車両後部のフロアレイアウトが相当難しかったという。だがその分、e-POWER 4WDのパフォーマンスは大いに期待できる
■e-POWER 4WDは、あのSUV兄弟が「本命」!?
なぜここまで大きなモーターとなったのか。そこにはこんな理由があると思われる。2020年欧州日産は『新型キャッシュカイ』にe-POWERを搭載することを発表している。ご存じのとおり、欧州キャッシュカイはエクストレイルの兄弟車だ。そのキャシュカイにe-POWERが搭載されるということは、2021年登場が期待されている『次期型エクストレイル』にもe-POWERが搭載されることは確定路線だ。
欧州日産のティザーサイトに現れた、3代目となる新型キャシュカイ。第2世代e-POWERを搭載する旨が発表されている
ということは、SUVとしては重要な装備である4WDシステムも新型ノートと同じ「e-POWER 4WD」となることは間違いない。これは推測だが、新型ノートに搭載された第2世代e-POWER、そして「e-POWER 4WD」は、こうした上位グレードのSUVに合わせて作ったものを、新型ノートへに先に採用した、ということなのだろう。これだけのスペックがあれば、エクストレイルの4WD級の車重(約1.6トン)であっても、相当な速さが期待できる。
実際に、新型ノートの試乗会に参加させていただいた際、日産のエンジニアは、「E13ノートの4WD車は、いままでの生活4WDとはかけ離れた高い動性能を実現できました。ただしリアモーターの出力は、E13ノートには完全にオーバースペックであり、出力は適宜絞っています」と話していた。
■フィットe:HEV/ヤリスハイブリッドとは「格が違う」
4WDシステムはモーターのスペック表を眺めて把握できるものではなく、クルマに乗ってみないとわからないものではあるが、現時点で比較ができる4WDシステムの違いと、後輪モーター出力の数値でライバル車と比較をしていこう。
ホンダ『フィットe:HEV』の4WDは、簡素なスタンバイ式のビスカスカップリング4WDだ。前後輪の回転差が大きくなると効き始める仕組みで「余計なところでは効かない」という安定感はあるが、積極的に車両挙動をコントロールするようなシステムではない。
またトヨタ『ヤリスハイブリッド』は、後輪用のモーターが駆動する4WDシステムで、最大出力は3.9kW(5.23ps)、最大トルクは52Nm(5.3kgm)程度であり、これはE12ノートと同レベル。こちらも、新型ノートの数値には及ばない。ちなみにヤリスクロスも、モーター出力を見る限り、まったく同じシステムだ。
新型ノートの後輪用モーターのスペック(最高出力50kW/最大トルク100Nm)は、例えばハリアーハイブリッドのE-Fourに搭載されている後輪モーター(最高出力40kW/最大トルク121kW)に近い。車重が300kg軽い(新型ノート4WDが1340kg、ハリアーハイブリッドが1680kg)新型ノートには、ずいぶんと贅沢なリアモーターであることがわかる。
高出力リヤモーターにより後輪に大きな駆動力を発揮できることで、雪道などの走破性でライバルに対して大きなアドバンテージを持つことができた
ちなみに、4WD駆動制御に長けているのは日産と協業関係にある三菱だ。新型エクリプスクロスPHEV(車重1920kg)は、リアモーターに70kW/195Nm(フロントは60kW/137Nm)とさらに大きなリアモーターを積んでいる。
前後の駆動用モーターをフルパワーで常に使い続けるようなことはないとは思われるが、クルマの向きを積極的に変えていくにはリアへこれほどの大出力モーターを積む必要があるのだ。
■e-POWER 4WDは、今後の日産の秘密兵器
日産の4WD技術といえば、インテリジェント 4×4といったSUV向けのトルク配分制御に加え、アリアに搭載される「e-4ORCE」という新技術がある。
この「e-4ORCE」に採用されているトルク配分を行うヨーモーメントコントロール技術や、車体の揺動を抑え乗り心地をよくする制御技術は、モーターのトルクを緻密に制御することで旋回時のヨーモーメントを自在にコントロールしたり、上屋のボディモーションをコントロールしたりができる。これらの技術や得られた知見はe-POWER 4WDにも生かされていることだろう。
前後モーターの緻密な制御により、あらゆるシチュエーションでの走行安定性や快適性を
実現できたのは、世界に先んじて電動化を推進してきた日産だからこそ
新型ノートの開発担当者によると、ルノーと共用である最新型プラットフォームの太い骨格と後輪用モーターのサイズアップによって、車両後部のフロアレイアウトがかなり難しくなったそうだ。しかしそのおかげで、E12に対してとてつもない進化を新型ノートは実現できたそうだ。
後続の『新型キャッシュカイ』、そして『新型エクストレイル』で本領発揮すると思われるe-POWER 4WD。このe-POWER 4WDは今後の日産の秘密兵器となるだろう。
【画像ギャラリー】ライバルをしのぐ本気度! 新型ノート e-POWER 4WDの走りと秘密をチェック!!
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
伊藤かずえの愛車、“30年以上”乗り続ける「シーマ」だけじゃなかった!? まさかの「もう1台の愛車」登場! 6か月点検の様子を報告
新型「GT-R“R36”」まもなく公開へ!? 1000馬力の“4.1リッターV6”搭載!レトロな「旧型風デザイン」もカッコイイ「和製スーパーカー」の正体は?
信号が青になっても動かないクルマに「プッ!」何か問題が? 法的にはどうなのか 「私は待つ」
「最後まで使わなかったわー」……クルマって使わない[スイッチ]多すぎるよね?
1泊3000円で泊まれる!? 「高速SAホテル」がスゴい! 車中泊と違う“一般道に降りず”に泊まれる施設、SNSでの反響は?
みんなのコメント
コスパかなり高いよね。