■ヒット作にならなくても爪痕を残したクルマを振り返る
2020年に、日本でもっとも売れたクルマはホンダ「N-BOX」で、19万5984台を販売しました。2019年比だと77.3%と、新型コロナウイルス感染拡大などの影響で大きく落ち込みましたが、それでも月間平均で1万6千台以上売ったことになります。
このように大ヒットするクルマがある一方で、月間数百台から数十台といった低空飛行を続けるモデルもあり、もともと販売目標が少ないモデルや、モデルライフ末期のクルマなど、すべてがダメなクルマではありません。
そうしたヒット作にならなかったモデルのなかには、強烈なインパクトを持ったクルマも存在。
そこで、記録より記憶に残る迷車を5車種ピックアップして紹介します。
●ユーノス「コスモ」
かつて、マツダの高性能エンジンといえばロータリーエンジンでしたが、このロータリーエンジンの性能を極限まで高めようとして開発されたのが、1990年に登場したユーノス「コスモ」です。
ロータリーエンジン専用車として開発されたコスモは全長4815mm×全幅1795mm×全高1305mmの体躯を誇り、このロー&ワイドなボディは、いまも美しいと評されています。
そして最大の特徴であるエンジンは、トップグレードに世界初の3ローター・シーケンシャルツインターボを搭載し、最高出力280馬力を発揮。
また、3ローター車の内装には、シートや内張りに本革が惜しみなく使われ、ウッドパネルのインパネ、イグニッションをONにすると浮かび上がるイルミネーションメーターや、「CCS」と呼称された世界初のGPSカーナビゲーションを搭載(グレードにより設定)するなど、エンジン以外も先進的で豪華な装備が満載でした。
しかし、バブル崩壊後は急激に販売状況が悪化し、1996年に生産を終了。極悪だった燃費は今も語り草になっていますから、ある意味記録にも残っているといえるかもしれません。
●日産「インフィニティQ45」
日産はバブル景気のピークだった1989年に、アメリカで高級車ブランドの「インフィニティ」を立ち上げ、同じく高級車ブランドの「アキュラ」や「レクサス」との覇権争いを繰り広げました。
そして同年、インフィニティのフラッグシップとして「Q45」を発売し、日本でも日産「インフィニティQ45」の名でデビュー。
インフィニティQ45は「ジャパンオリジナル」をコンセプトに開発され、グリルレスとした独創的なフロントフェイスには七宝焼きのエンブレムを配置するなど、日本の伝統工芸も採用されました。
ボディサイズは全長5090mm×全幅1825mm×全高1435mmと、初代「シーマ」の全長4890mm×全幅1770mm×全高1380mmよりさらに大きく、特徴的なフロントフェイスと相まってワイド感を強調。
搭載されたエンジンは新開発の4.5リッターV型8気筒DOHCで、最高出力280馬力を発揮し、トランスミッションは4速ATのみです。
さらに、市販車としては世界初の油圧アクティブサスペンションをグレード別で設定するなど、技術的にも意欲作といえました。
しかし、シーマやトヨタ「セルシオ」の押しの強いデザインが勝り、インフィニティQ45の独創的なフロントフェイスは好き嫌いが分かれてヒットには至らず。
1993年のマイナーチェンジで、フロントに小ぶりなグリルを装着することで、巻き返しを図りますが、インフィニティQ45は1997年に生産を終了。3代目シーマに統合されるかたちで、国内では一代限りで消滅しました。
なお、オプションで52万円の18金製キーや、最高286万円のダイヤモンド入りキーが設定されるなど、まさにバブルを象徴する1台です。
●ホンダ「インサイト」
ホンダは1999年に、トヨタ初代「プリウス」に対抗するために、燃費性能向上に特化したハイブリッド専用車「インサイト」を発売。
パワーユニットは、70馬力を発揮する新開発の1リッター直列3気筒エンジンに、13馬力のアシスト用モーターを組み合わせたパラレルハイブリッドを採用。
シャシは製造コストが非常に高いアルミ製モノコックとし、ボディパネルの多くはアルミとプラスチックで構成され、室内は2名乗車とするなど大胆な軽量化を実施したことから、モーターやバッテリーを搭載しながらも車量820kg(5速MT)を実現しました。
また、外観は完全にスポーツカーといえるウェッジシェイプで、空力性能を追求し、Cd値(空気抵抗係数)は当時としては驚異的な0.25を達成。
その結果、燃費性能は目標どおり初代プリウスを抜き、当時の量産ガソリン車で世界最高となる35km/L(10・15モード)を誇りました。
しかし、インサイトは2名乗車という使い勝手の悪さから販売は低迷。燃費も2003年に発売された2代目プリウスが35.5km/Lまで向上したことで、世界最高を更新されてしまいました。
その後、インサイトも2004年のマイナーチェンジで36km/L(10・15モード)まで向上して抜き返しましたが、販売の回復にはつながらず、2006年に生産を終了。
初代インサイトはある意味かなり贅沢なクルマとして、今も語り継がれる存在です。
■強烈な個性を放つ三菱とトヨタのモデルとは
●三菱「スタリオン」
三菱は1982年に、欧米のスポーツカー市場へ参入することを目的に「スタリオン」を発売。
ボディはリトラクタブルヘッドライトを採用する直線基調の3ドアハッチバッククーペで、ノミで削ったようなウェッジシェイプのフォルムは正統派スポーツカーであることを主張していました。
トップグレードに搭載されたエンジンは2リッター直列4気筒SOHCターボで、145馬力(グロス)を発揮。しかし、ライバルが出力向上を果たしていったことから、1983年にはインタークーラーを装着して175馬力(グロス)にパワーアップ。1984年には最高出力200馬力(グロス)まで向上するなど、2リッター車ではトップクラスに君臨。
そして、1987年には2リッター車に、迫力ある輸出用のワイドボディを採用した限定車「GSR-VR」が登場。さらに1988年には、これに2.6リッターエンジンを搭載した、カタログモデルのGSR-VRが発売されました。
しかし、国内では人気の低迷が続き、モデル末期には月間50台前後しか売れず、1990年に後継車の「GTO」が発売されたことで歴史に幕を閉じました。
ワイドボディもナローボディも今では見られなくなったシャープなデザインで、かなり斬新な印象ではないでしょうか。
●トヨタ「セラ」
トヨタのクルマはかつて「80点主義」と呼ばれ、堅実なモデルが多いというのが一般的な意見でした。しかし、歴代トヨタ車のなかでひと際異彩を放つモデルが1990年にデビューした「セラ」です。
セラは同社のコンパクトカー「スターレット」をベースに開発された3ドアハッチバッククーペで、全体のフォルムはそれほど奇抜ではありませんが、最大の特徴はガルウイングドア(現在では「バタフライドア」と呼称)を採用していたことです。
ガルウイングドアの採用はあくまでもデザインを重視した結果であり、まさにバブルの産物といえます。
フロントからリアに至るまで、キャビンは大きなガラス面で構成されたインパクトのある見た目でしたが、当時のガラスはIRカット機能など採用されておらず、コンパクトカーとしては珍しくオートエアコンを全グレードに標準装備するなど、室内の温度上昇の対策が図られていました。
それでも夏場の直射日光はかなり厳しかったようで、上部のガラスを覆うサンシェードがオプション設定されたほどです。
当時の新車価格は160万円(東京価格、消費税含まず、5速MT)からで、内容を考えるとかなりのバーゲンプライスだったといえるでしょう。
※ ※ ※
今回、紹介した5車種のなかで、インサイト以外はバブル期に誕生もしくは販売されていたクルマです。
このバブル期にヒットしたセダンというとシーマやセルシオが挙げられますが、もっと凄かったのはトヨタ8代目「クラウン」であり、1990年には約24万台を販売する金字塔を打ち立てました。
当時のクラウンは数多くのバリエーションを展開することで、あらゆるニーズに応えていたとはいえ、コンスタントに月間2万台を販売していたのは驚き以外ありません。
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みんなのコメント
商品としても商売としても成り立たなかったがトヨタがやったらやらねばならぬの意気込みは感じた。
ある意味「ポリシーが有った」頃のホンダ。