機能を過信するとアクシデントを生むこともある
日産の国内販売が好調だ。その原動力となっているのは21世紀的「技術の日産」といえる。シンボルといえるのは、100%電気自動車の「リーフ」であり、キーテクノロジーとなっているのは「e-POWER」と「プロパイロット」であろう。
シリーズハイブリッドを再定義することで、「電気自動車の新しいカタチ」として価値を生み出した「e-POWER」。そして高速道路での単一車線における加減速と操舵アシストながら「自動運転」というバズワードを利用してイメージアップを図った「プロパイロット」。
それぞれに技術レベルとプロモーションのイメージによる乖離を批判されることもあるが、結果として「e-POWER」や「プロパイロット」という言葉を生み出しての宣伝活動により、日産のブランド力は高まった。もっとも、批判を真摯に受けとめ、ユーザーが機能を誤解しないよう配慮している。
なお、自動運転技術のテレビCMにおいて、実現されていない機能をあたかも実装しているような表現(手放し運転など)をすることを禁止することが、2016年12月に一般社団法人自動車公正取引協議会より発表された。交通事故の9割はヒューマンエラーが原因とされている。
つまり、高度な自動運転が実現すれば交通事故は9割減になると期待されるわけだが、だからといってユーザーが機械に全面的に運転を任せておけるレベルには至っていない。現状は、あくまでも運転支援システムと表現するほうが相応しい機能といえる。
また、宣伝活動などによって機能を過信させてしまうことは、せっかくの機能を正しく利用できず、本来であれば生まれないであろうアクシデントにつながる可能性もある。ユーザーが機能を正しく利用することが安全運転につながるのであり、宣伝文句などで「機能を盛ってしまう」ことは事故を減らすという目的において逆効果になってしまいかねないのだ。
というわけで、最近では自動運転技術より「ADAS(Advanced driver-assistance systems)」という言葉が使われることが増えてきている印象もある。日本語にすると「先進運転支援システム」、いまや軽自動車にも備わっているほど普及が拡大している機能だ。ちなみに、「ADAS」については「アダス」ではなく「エーダス」と読むのが一般的だ。
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