日本でも人気となっているランドローバーの伝統的なSUVモデル、ディフェンダー。昨年4月から日本市場への導入がスタートしたのだが、最近ではこのディフェンダーの中古車の値上がり状況が注目されているという。その傾向を追ってみた。
文/萩原文博、写真/ベストカー編集部
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■なかには新車価格を超える中古車も!
世界的な半導体不足によって、全体的に新車の納期が延びている。さらに人気車となると、1年以上という長期に渡ることも当たり前となっている。現在、人気の高いSUVではその傾向が顕著となっているのだ。コンパクトからフルサイズまでさまざまな大きさを用意し、スタイリッシュなクーペモデルからタフギアさを全面に押し出したモデルなど多彩なラインナップとなっている。
そのなかでも納車まで2年待ち(一部では4~5年)となっているトヨタランドクルーザーをはじめ、1年待ちのスズキジムニーといった国産車。さらに輸入車では軍用車をルーツとするメルセデスベンツGクラスなど1980年代に席捲したクロカン4WDを彷彿させるタフギアさを前面に押し出したSUVの人気が高くなっている。
直線基調ながら角は丸みも帯びている……。最新のディフェンダーのスタイリングは先代の伝統を受け継ぎながらも単にヘビーデューティではない遊びの要素を随所に取り入れた
そして、2019年のフランクフルトモーターショーで世界初公開され、2020年4月から日本市場に導入されたランドローバーディフェンダーも人気が高く、納車期間が長くなっていることから新車価格を超える中古車が流通している。そこで、ココでは世界で唯一のSUV専門ブランドであるランドローバーが満を持して復活させた現行型ディフェンダーの魅力そして現在の中古車相場を紹介する。
■現行ディフェンダーはショートとロングの2タイプのボディを用意
現行型ディフェンダーは「90」と呼ばれる3ドアのショートボディと、「110」と呼ばれる5ドアのロングボディという2つのボディを用意。車両本体価格はディフェンダー90 P300の551万~ディフェンダー110 X D300の1171万円と幅広い。
ショートボディの「90」。武骨だった先代をオマージュしつつ、随所に遊びゴコロあふれるデザインに仕上がっている。このスタイリングながら悪路走破性は比類なきものなのだから恐れ入る
輸入車のタフギア系SUVと車両本体価格を比べてみると、JEEPラングラーは受注生産となっているスポーツの536万~5ドアのアンリミテッドサハラ2.0が635万円。メルセデスベンツGクラスはG350dの1251万~AMG G63の2218万円で、ディフェンダーはちょうどラングラーとGクラスとクロスオーバーしない絶妙な価格帯となっているのも人気となっている要素のひとつと言えるだろう。
ボディサイズはショートボディの90が全長4510×全幅1995×全高1975mm(P300)。対して、ロングボディの110は全長4945×全幅1995×全高1970mm(110S)で、110のほうが全長で435mm長くなっている。
こちらはロングの「110」。ショートに比べると端正で落ち着いた感じに見える。驚いたことにモノ コックボディで、ラダーフレームだった先代比3倍の剛性と軽量化を両立した
現行型ディフェンダーは、シャシーに軽量アルミニウム構造で全く新しいアーキテクチャーである「D7x」を採用。従来のラダーフレーム構造と比較して3倍のねじり剛性を確保するだけでなく、軽量化も両立。ランドローバー史上最も頑丈なボディ構造となっている。
サスペンション形式はフロントがダブルウィッシュボーン式、リアがマルチリンク式を採用。90はオプション、110では標準装備となる電子制御エアサスペンションを搭載し、優れた快適性と走行性能を実現。
そのうえ、車高は標準の高さより40mm低いポジションから最大で+145mmというワイドレンジで設定可能。スムーズな乗降性に加えて、最大渡河水深900mmという高い悪路走破性を実現。さらに3Dサラウンドカメラとウェイドセンシングにより水深の把握をサポートしてくれる。
■伝統の4WDシステムの進化や最新のエンジンで圧倒的な走破性を支える
駆動方式は、ランドローバー伝統のフルタイム4WDシステムを採用。砂地や雪道などの厳しい路面状況でも前後輪のトルク配分を最適化して安定した走行性能を発揮する。さらに路面状況に応じて、サスペンション、トランスミッション、トラクションなどの設定を自動制御するテレイン・レスポンス2を採用。
ディフェンダーのインパネ。スイッチ類が整然とレイアウトされ、操作性のよさが窺える。2m近い車幅により、室内空間も余裕たっぷりなうえ、スクエアなデザインのおかげで見晴らしも最高だ
6種類のモードでオンオフ問わず卓説した走行性能を実現。さらにディフェンダーにはコンフィギュラブル・テレイン・レスポンスを採用し、ドライバーの好みに合わせてテレイン・レスポンスをカスタマイズすることが可能となっている。
デビュー当初は最高出力300ps、最大トルク400Nmを発生する2L直列4気筒INGENIUMガソリンターボエンジン+8速ATというパワートレーンだけだったが、2021年モデルからは、最高出力300ps、最大トルク650Nmを発生するマイルドハイブリッド仕様の3L直列6気筒INGENIUMディーゼルターボエンジン+8速ATを110に追加。
当初2Lのダウンサイジングターボのみの設定だったが、直列6気筒3Lのディーゼルターボが追加となった。今後はEVといった電動モデルの追加もアナウンスされている
さらに最上級グレードのXやディフェンダーのタフさやダイナミック差を強調する内外装を採用したXダイナミックというグレードを導入し、全14グレード構成とラインアップを強化している。ADASと呼ばれる運転支援機能はエマージェンシーブレーキ、レーンキープアシスト、アダプティブクルーズコントロール、クリアイグジットモニターなど充実。
さらに、最新のインフォテイメントシステム「Pivi PRO」をブランド初採用し、インターネットに常時接続することで多種多様なオンラインサービスを車内で楽しむことができる。
■ディフェンダーの人気は高く、新車納期も長め。中古車にはプレミアもついている
2022年モデルのディフェンダーの車両本体価格は90が551万~835万円、110は619万円~1171万円となっている。新車の納車時期はタイミングとグレードによって異なるが、最も長くても1年くらいとなっている。ほしいクルマに1秒でも早く乗りたい! というのであれば、中古車を狙うしかない。
現在、現行型ディフェンダーの中古車は約48台流通していて、平均価格は約815.9万円。中古車の価格帯は約644万円~約1308万円と新車時価格を上回るプレミアム価格となっている。これはディフェンダーが人気であることと同時に納車までの期間が長くなっていることがこのプレミアム価格の原因である。
流通している中古車のうち、ショートボディの90は約6台流通していて、価格帯は約644.8万~約729万円。一方、ロングボディの110は約42台流通していて、約669万~約1308万円となっている。流通している中古車はほとんどがガソリン車だが、数少ないディーゼル車のほうが値上がり幅は大きくなっている。
本格的なクロスカントリーSUVながら、国産のランクル系とほぼ同一の価格帯で購入可能であることが人気の理由か。ショートボディの90は写真のようにカスタマイズすればさらに個性が際立つ
また、走行距離は多くても1.8万km、ほとんどが5000km以下という高品質な中古車が中心なので、グレードやボディカラー、装備など自分の好みに合ったクルマがあれば、中古車を狙って見るのもイイだろう。
ディフェンダーの人気の要因は高いポテンシャルに対して、価格が割安であること。そして3ドアと5ドアを用意していること。日本では人気の高いディーゼルエンジンを設定していること。
そして曲線を多用したデザインのSUVが多いなかで、直線的なデザインのディフェンダーが新鮮に感じられることが挙げられる。まだ、流通台数が少ないディフェンダーだからこそ、早く乗れば羨望の眼差しで見られるはず。
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