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多くのフェラーリ乗りはランボルギーニを体験すると戻れない! W所有のジャーナリストが馬か牛か論争を斬る

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多くのフェラーリ乗りはランボルギーニを体験すると戻れない! W所有のジャーナリストが馬か牛か論争を斬る

 この記事をまとめると

■フェラーリからランボルギーニに買い替えると戻る人は極めて稀とのこと

「フェラーリ」と「ランボルギーニ」はガチライバル? 2社の気になる販売台数を比べてみた

■日本ではランボルギーニの方が格上に見られる傾向にあるという

■フェラーリのエンジンは孤高の存在だと乗り比べるとよくわかるという

 フェラーリからランボルギーニに箱替えすると戻ってこれない?

 私はこれまで13台のフェラーリを乗り継いできたが、途中、ランボルギーニ・カウンタックも2度購入している。そして結局、フェラーリに回帰した。

 スーパーカーオーナーのなかで、フェラーリからランボルギーニに買い替えて、再びフェラーリに戻った例は極めて少ないらしい。中古フェラーリ専門店『コーナーストーンズ』代表の榎本修氏によると、「僕の知る限り、清水さんただひとりです。フェラーリからランボルギーニ、とくにカウンタックに進まれた方は、2度とフェラーリには戻ってきません。なぜならカウンタックは地上の帝王だからですウフフフフ~!」とのことである。

 スーパーカーブーマーにとって、カウンタックは究極の存在で、無敵の帝王だ。スーパーカーブーマーど真んなかの榎本氏にとっても、カウンタックこそ神。中古フェラーリ専門店の代表でありながら、心はカウンタックにある。フェラーリ屋になったのも、「カウンタックは現実的じゃなかったんで」。現在も、中古フェラーリを中心に扱いつつ、たまに入庫するランボルギーニを、宝物のように販売している。

 日本においては、スーパーカーブームの影響は巨大で、現在に至るまで、フェラーリよりもランボルギーニのほうが格上とされている。なかでもカウンタックやディアブロ、ムルシエラゴ、アヴェンタドールといったシザースドアを持つV12ランボルギーニの威光は絶大だ。

 ただ、本国では事情が異なる。少なくとも20世紀中は、圧倒的にフェラーリが格上だった。理由はF1での活躍にある。多くのイタリア人にとって、フェラーリ=F1の帝王。つまりスポーツのヒーローで、市販車は付け足しだった。モータースポーツにあまり参加しないランボルギーニは、「バカな外国人が買うバカ高いクルマ」という感覚だったのだ。かつてジローラモ氏はランボルギーニについて、「田舎の人が買うクルマです」と語っていた。

 が、近年はイタリアでもF1人気は凋落し、フェラーリが国民の絶対的ヒーローでもなくなってきた。ブランドイメージの差は縮まっているようだ。

 ランボもいいけどやっぱり俺はフェラーリが好きだ!

 まあとにかく、世間的にはそうなのだが、私にとってはフェラーリこそ神。それはひとえに、フェラーリの自然吸気エンジンが放つ悪魔的な魅力によるものだ。フェラーリのV8やV12をレッド寸前までブチ回せば、神々しいフェラーリサウンドとともに、神が見える。脳内麻薬の大量分泌による幻覚作用である。フェラーリエンジンは麻薬なのである。

 が、ランボルギーニのエンジンははるかに重々しく、少なくともディアブロまでは、削岩機のようだった。同じスーパーカーでも性格はまるで違う。少なくともV8ミッドシップフェラーリとカウンタックではまるで違う。フェラーリはエンジンを回してナンボのスーパースポーツだが、カウンタックは動くだけで拍手喝采の「ザ・スーパーカー」。エンジンを回してどうこうなんて、そんな細かいことはどうでもいい。存在そのものがスーパーなのだから。

 個人的はエンジンフェチであり、エンジンの魅力やサウンドでは断然フェラーリだ。ウラカン系のV10エンジンは、フェラーリV8ターボをはるかに超える快感があるが、フェラーリ崇拝者の私にとっても、ターボ化されたフェラーリエンジンは信仰の対象外といった複雑な事情もある。

 私は現在、フェラーリ328GTSとランボルギーニ・カウンタック・アニバーサリーを所有しているが、近々、カウンタックを手放すことにした。もともと榎本氏に頼んで半分だけ所有権を売ってもらっていたに過ぎないが、ここ1年ほどまったく乗っていなかった。

 私にとってもカウンタックはスーパーカーの帝王だが、自分の趣味嗜好とは対極の存在。異物だったからこそインパクトは強烈で、約10年前に一度所有した思い出が超絶体験として美化され、もう一度半分だけ所有したが、数回乗ればそれで十分であることに気づいた。よって、本物のカウンタック信者である榎本氏にお返しすることにした。

 榎本氏は、小学5年生の時にカウンタックが神となり、現在に至っているが、私にとっては、27歳で初体験したテスタロッサのエンジンが、神との初邂逅だった。結局、原体験が人間の志向を決めるということだろう。

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