過去最大の規模のアストン・ミーティング
執筆:Paul Hardiman(ポール・ハーディマン)
【画像】マーティン・オーナーズ・ミーティング カラム・ヴァンキッシュ25とヴァルキリーも 全78枚
撮影:Paul Hardiman(ポール・ハーディマン)/Mac Earey(マック・アーリー)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)
英国では過去最大の規模で開催された、アストン マーティンのオーナーズ・ミーティング。アストン マーティンで現存の最古といわれる、A3の誕生100周年を記念したイベントだ。
2021年6月26日、ダラス・バーストン・ポロクラブの敷地に新旧様々な約700台が集合。ロンドン南西のフェルサムからニューポートパグネル、ブロックシャム、そして今のゲイドンに至るまで、ブランドが有する歴史の厚みを実感する内容になった。
アストン マーティン・オーナーズクラブのほか、アストン マーティン・ヘリテイジ・トラストが有する車両も登場。初期のレーシングマシンのLM1やLM2、LM3に加えて、ディーラーや専門ガレージなどからも、珍しいクルマが展示された。
英国編集部はイベントへお邪魔し、100年もののA3だけでなく、多くのアストン マーティン・ファンへ取材させてもらった。その内容をご紹介させていただきたい。
アストン マーティンA3(1921年)
代理人:ロブ・スミス
このイベント開催のきっかけとなった、最古参のアストン マーティン。ヘリテイジ・トラストの会長を務めるロブ・スミス氏へ、普段はオックスフォードシャーのドレイトン・セントレオナルド博物館で展示されているA3についてお話を伺った。
「アストン マーティンの設立は1913年。ライオネル・マーティンとロバート・バンフォードの2人が立ち上げました。しかし、第一次世界大戦で生産は一時休止します」
「このA3は戦争が集結し、量産再開までに作られたプロトタイプの3台目。ライオネル・マーティンが個人的に乗り、レースにも出場していたクルマです」
「1921年、ブルックランズでいくつかのカテゴリー記録を残しました。100マイル(160.9km)の平均速度、138.7km/hなど。1500ccのエンジンとしては悪くない成果です」
アストン マーティン・ヘリテイジ・トラストは2002年にこのA3を購入。戦前のアストン マーティンを専門に扱うガレージ、エキュリー・ベルテッリ社によって丁寧にレストアされた。
2013年にはアストン マーティンの創業100周年を祝い、世界中のディーラーでA3が展示されている。また記念ツアーも開かれた。
今回のイベントではA3の隣に、このクルマをオマージュして2021年に発表されたA3ヴァンテージ・ロードスターが並んだ。アストン マーティンの最も古いディーラー、HWM社の協力によるものだ。
アストン マーティンDB Mk III(1958年)
オーナー:アラステア・ギレスピー
スマートなハッチバックは、英国在住のアラステア・ギレスピー氏が所有する1台。彼が住むウェストミンスターの町で日常的に利用している、唯一の愛車でもある。
「カナダ生まれで、幼い頃はシボレーのV8エンジンで育ったようなものです。それから英国製のクルマへ興味が移り、ジャガーEタイプやXK120、XK150などに乗りました」。とギレスピーが振り返る。
「英国への移住を期に別のクルマを探し始め、これを発見しました。3年前にオランダで。過去にレストアされていましたが、さほど乗られることはなかったようです。購入後にメカニズムの作業を行い、今ではすっかり好調です」
「ボディはオリジナルカラーで、インテリアも純正のまま。このクルマを買おうと決めた理由の1つでもあります」
「もともとはAHLエクルズというレーシングチームに納車されたクルマで、かなりの数のレースに参戦していたようです。今は特に気を使わず、雨の日でも乗っています」
「コーンウォールからグラスゴー、ノースコースト500を走る、6週間のドライブ旅行も過去に楽しみました。このMk IIIがビッグベンの付近を走る姿も、しばしば見れると思いますよ」
ラゴンダV12(1939年)
オーナー:アンディ・チスホルム
オーストラリアで、素晴らしいコンディションのラゴンダV12を発見したというアンディ・チスホルム氏。だが結果的に、2台のラゴンダを所有することになった。
「オーナーズクラブから、ロング・ホイールベース版のV12があるという話を聞きました。オーナーが亡くなり、その息子はクルマの売却を考えていたんです」。チスホルムが当時を振り返る。
「彼へ連絡し、ショートシャシーのスポーツサルーンを探している、という本意を伝えると、なんとそのクルマも持っているとのこと。結果的に2台とも買うことに決めました」
「このラゴンダは1960年以降、まったく手が加えられていません。乾燥した環境で保管され、オリジナルの状態が保たれています。驚きますよね」
ボディはオリジナルペイントで、修復で施された塗装は2・3か所に留まるという。インテリアも見事な状態が保たれ、純正のツールキットも残っている。左フェンダーのスペアタイヤ・カバー内側には、作業用の補助灯も付いたままだ。
蒸気船でオーストラリアへ運ばれる際、窓にワックスクレヨンでメモ書きされた「キー23番」という文字まで残る。「レストアするつもりはありません。でも、このクルマをどう残すべきか、考えを整理できてもいません」
「ちゃんと走ります。この会場へも自走で来ました。タイヤも60年前のものなので、公道走行は避けたいところですが」
アストン マーティン・ヴァンキッシュ・ザガート・シューティングブレーク(2018年)
オーナー:デイブ・クーリング&ウェンディ・ガン
オーナーの2人にとって、初めてのアストン マーティンだという1台が、ヴァンキッシュ・ザガート・シューティングブレーク。思い切った決断をしたものだ。
ヴァンキッシュの生産終了を記念し、古くからブランドとの結びつきを持つカロッツエリアのザガート社が手掛けたのが、このシューティングブレーク。ピクニックに出かける最高のクルマとして、99台が作られている。
ザガートは他に、99台のクーペとヴォランテ、28台のスピードスターも製作した。自然吸気のV型12気筒エンジンの最後も飾った、貴重な限定車だ。
ザガート・シューティングブレークはラピード用の燃料タンクを利用し、リアの荷室空間を大きく取っている。そのおかげで、驚くほど実用性に優れている。
「1週間ぶんの旅行の荷物を積めます」。と笑顔で話すデイブ・クーリング氏は、以前アストン マーティンでバイヤーを務めていたという。現在は、アストン マーティン用ホイールの販売事業を展開しているそうだ。
「ある日、人生として重要な部分が欠けていると気付いたんです。それは、自らアストン マーティンを所有すること」
古い同僚との偶然の出会いで、登録すらされていない、最後の真新しいシューティングブレークの発見へつながったらしい。ほぼすべてのオプションを選んでおきながら、キャンセルされたクルマだという。
「(荷室が)世界最小のステーションワゴンかもしれませんが、顧客へホイールを運ぶことはできます。スコットランドやグッドウッドにも足を伸ばしています。走行距離は、あっという間に5600kmほど伸びました」
「テールライトは、バイヤーとして当時わたしが取引したもの。惚れ惚れするようなディティールが気に入っています」
この続きは後編にて。
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