住友商事と欧州住友商事会社は、2019年6月にイスラエルに設立したコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)「IN Venture」を通じ、新たな水素製造技術を開発するH2Pro Ltdに出資した。
近年、CO2排出量削減による地球温暖化の抑制がグローバルな課題となっているなか、水素は利用段階でCO2を排出しないため、将来の重要なエネルギーの一つとして期待されている。また、水素はエネルギー貯蔵・運搬が可能で有用性も高いことから、水素市場は今後大きく伸びると予測されている。
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一方、現在の水素製造は、低コストで製造できる天然ガスなどの化石燃料を用いた方法が主流だが、製造過程でCO2を排出します。製造過程でCO2を排出しない方法として、水の電気分解があるが、製造コストが高いことが実用化の課題の一つである。
H2Pro社は、水の電気分解を改良した新たな水素製造技術「E-TAC」(注1)を開発している。通常の水の電気分解による水素製造では、酸素と水素が同時に発生するが、「E-TAC」はH2Pro社が開発した電極を用いて酸素と水素を別々に発生させる技術。これにより、酸素と水素の混合を防ぐための隔離膜(注2)が不要になることや、製造時のエネルギー効率が高くなることで、低コストでの水の電気分解の実現を目指す。「E-TAC」を実用化させ、一般的な電気分解での製造方法に比べ製造コストを大きく下げることで、水素エネルギーの普及に貢献する。
住友商事は、2018年5月に「水素関連ビジネスワーキンググループ」を立ち上げ、水素関連ビジネスの可能性を追求している。住友商事グループは、H2Pro社への出資および今後の協業を通じ、さらなる水素社会の実現に向けた取り組みを加速させていく。また、今後も、IN VentureをはじめとするCVCによるスタートアップへの投資を通じ、住友商事グループのデジタルトランスフォーメーションを推進し、事業の強化および高度化、新規事業の創出を目指す。
注1 E-TAC:Electrochemical, Thermally Activated Chemicalの略
注2 隔離膜:酸素と水素が同時に発生する通常の水の電気分解において、 酸素と水素の混合を防ぐための仕切り
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