三菱自動車は、かつてWRCを席捲し世界中のラリーフィールドで活躍した名門ブランド「RALLI ART(ラリーアート)」を復活。今年(2022年)11月21日(月)~26日(土)にタイ東北部からカンボジア北西部の世界遺産であるアンコールワットを舞台として開催される「アジアクロスカントリーラリー2022」にトライトンで参戦する、と発表。この参戦車両の耐久テストが実施された。むちゃくちゃカッコいいので報告します。
文/ベストカーWeb編集部、三菱自動車、写真/三菱自動車
三菱名門ブランド「ラリーアート」復活戦はタイ!! アジアクロスカントリーラリー参戦車トライトンのガチ度がすごい
■総監督はあのレジェンド
三菱自動車のワークスブランド「ラリーアート」といえば、WRCやパリ・ダカでの活躍を思い浮かべる方も多いだろう。本企画担当もランエボシリーズに衝撃を受けた世代なので感慨深い。1990年代後半から2000年代前半にかけて世界のラリーフィールドを文字通り席捲した同ブランド。2010年3月に大幅に業務を縮小していたが、2021年5月にブランド復活を三菱が発表。2022年1月の東京オートサロンでは「ラリーアート仕様」のアウトランダーPHEVも展示された。
そんなラリーアートが、アジアクロスカントリーラリー2022に出場する。チーム総監督は日本人で唯一、パリ・ダカを総合優勝二連覇した増岡浩氏。
復活を果たした三菱「ラリーアート」ブランド。写真はトライトン。これむちゃくちゃカッコいいのでは…。三菱らしい武骨さが出まくったタフギア
アジアクロスカントリーラリー2022は、東南アジア特有の大自然の中、約1週間、総走行距離2,000km前後で競われる過酷なクロスカントリーラリー。例年8月に開催されていたが、新型コロナウイルスの影響により2020年と2021年は中止になった。今年(2022年)は11月21日(月)~26日(土)に延期され、タイ東北部のブリラムからカンボジア北西部の世界遺産であるアンコールワットを舞台として開催される。
「チーム三菱ラリーアート」は今年(2022年)6月に、本番を想定した高負荷の耐久テストを実施し、主に車体とエンジンの信頼性・耐久性を確認した。荒れたハイスピードの砂利道と道幅が狭く曲がりくねった林間コースを組み合わせた1周約10kmのコースでラリー車の性能確認を行った。
以下、総監督である増岡浩氏のコメント。
「トライトンは実績のある堅牢なシャシーフレーム構造でありながら、優れたハンドリング性能を持ち合わせており、市販車の素性を生かした必要最低限の軽量化を施し、本戦に投入します。終始期待通りのパフォーマンスを発揮、2日間のテスト走行で800km以上を走破し、本番に向けて確かな手応えを感じています」
さすがソツのないコメント。
タイで実施された耐久テストも順調にクリア。競技でもあり冒険でもあるアジアンクロスカントリーラリー。渡河コースもあるそうです。マジか
■トライトンは2.4Lディーゼルターボ
今回の参戦車両となるトライトン競技車は、国際自動車連盟(FIA)のGroup T1カテゴリー(改造クロスカントリー車両)に合致させたラリーカー。タイ仕様のダブルキャブをベースとし、ボンネット、前後ドア、内装部品などを軽量化するとともに、ロールケージやアンダーガードを装着するなどボディの要所を補強。ラリー専用のサスペンションを装着して、優れたハンドリング性能を実現した。前後LSDの採用や大径オフロードタイヤ&軽量アルミホイールの装着も相まって、悪路走破性を大幅に向上させている。
ラリーは走行性能と耐久性を極限レベルで鍛え上げることができる。ここで得た教訓を市販車にフィードバックできる
搭載する2.4Lディーゼルターボエンジンは、フリクションロスの低減と軽量化を中心としたチューニングにより、主にラリーで使用頻度の高い中速域での応答性を向上。なお、アジアクロスラリーのステージには川を渡る場面もあるため、各部のシーリングの強化やシュノーケル(吸気ダクト)の装着など、水回りの対策も行っているという。
【以下、トライトン競技車主要諸元】
全長5,300mm×全幅 1,815mm
ホイールベース…3,000mm
トレッド(前/後)…1,520mm / 1,515mm
エンジン形式…4N15型4気筒 MIVECターボディーゼル
燃料噴射装置…高圧コモンレール
排気量…2,442cc
最高出力…133kW
最大トルク…430Nm
変速機…6速マニュアル
4WDシステム…スーパーセレクト4WD-II
フロント/リヤデフ…「CUSCO」製 差動制限装置付
フロントサスペンション…独立懸架/ダブルウィッシュボーン式コイルスプリング
リヤサスペンション…リジッド/リーフスプリング
ショックアブソーバー…「CUSCO」製 減衰力調整式ダンパー
ステアリング形式…ラック&ピニオン(パワーステアリング)
ブレーキ形式…「ENDLESS」製 4ポットキャリパー+ベンチレーテッドディスク
ホイール …「WORK」製 アルミニウムホイール(17in×8J)
タイヤ…横浜ゴム社製 GEOLANDAR M/T G003(265/70R17)
その他特徴…カーボン製フード、前後ドアパネル
現在日本市場では、ベース車両であるトライトンさえ販売していないが(2006~2011年)、この武骨さと世界での信頼性の組み合わせは魅力的。競技での活躍を背景に凱旋帰国を果たしてほしいのだが…。ランクル300があれだけ人気なのだから、売れそうな気もするぞ。いずれにせよ本番ラリーは本年11月。大活躍を期待したい。
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みんなのコメント
公道でのラリーが盛んだから、日本から参戦してるラリー屋も多い。
途上国クオリティでクローズドにしたはずの公道になぜか勝手に走っている対向車もいるらしく、クラッシュすることもあるらしい。
ただ熱いラリーシーンがあるのはすごくいいことだと思う。
ピックアップで言えばハイラックサーフのGRエディションが箱だしで参戦できるくらいの戦闘力あるから、三菱としては負けてられないよね。
日本でもピックアップトラックがもっと増えてほしい。