トヨタ・ヤリス・クロスのライバル
韓国のヒョンデは、最新のバッテリーEVで躍進中。しかし、エンジンで走るクロスオーバーも手は抜けない。欧州市場では特に、このボディタイプの人気は高いからだ。
【画像】ヤリス・クロスの韓製ライバル ヒョンデ・バイヨン 同クラスのクロスオーバーたち 全151枚
統計によると、英国だけを見ても、クロスオーバーの市場規模は2017年から2倍へ膨らんだとされている。どの自動車メーカーも、ホイールアーチを樹脂製のカバーで覆い、車高を持ち上げたハッチバックを各種ラインナップしている。
2021年に登場したバイヨンの競合は、フォルクスワーゲンTクロスやルノー・キャプチャー、トヨタ・ヤリス・クロスなど強敵揃い。3年目を迎え、競争力を高めるべく、フェイスリフトが施された。ベストのタイミングといえるかもしれない。
スタイリング上の変更は限定的。フロントグリルとヘッドライト回りがリフレッシュされたものの、基本的なイメージに変わりはない。シャープな目つきと、楔形がモチーフになったスタイリングの特徴はそのまま。好き嫌いはわかれそうだが、個性はある。
プラットフォームは、ヒョンデとキアの共同開発による、コンパクトクラス用のK2。現在選べるエンジンは、99psを発揮する1.0L 3気筒ガソリンターボのみ。トランスミッションは、6速マニュアルか7速オートマティックを選べる。
インフォテインメントがバイヨンの強み
トリムグレードは、アドバンス、プレミアム、アルティメットの3段階。16インチのアルミホイールが組まれる、お手頃なアドバンスの英国価格は2万2480ポンド(約438万円)から。プレミアムでは、17インチ・ホイールとツートーン塗装などを獲得する。
トップグレードのアルティメットは、2万5280ポンド(約493万円)。スマートフォン充電パッドにボーズ社製オーディオ、サンルーフ、ブラインドスポット・モニターなどが追加される。
運転支援システムは標準。クルーズコントロールに車線維持支援、衝突被害軽減ブレーキなどが備わる。少しうるさい制限速度警告は、タッチモニターのメニューを掘り下げればオフにできる。
インテリアは、シンプルなデザインで雰囲気が良い。内装の素材に特徴は薄いが。
10.25インチのタッチモニターが標準で、その下へ実際に押せるハードスイッチが並ぶエアコンの操作パネル。扱いやすく、理解しやすいレイアウトだ。ドライブモードとシートヒーターのスイッチは、シフトレバーの影になっている。
インフォテインメント・システムはバイヨンの強み。グラフィックは美しく、操作しやすく、タッチモニターの反応も良い。アップル・カープレイには有線で対応するが、付属するのはUSB-Cケーブルだった。
後席側の空間は充分。ルーフラインが後方へ絞られており、身長の高い大人の場合、頭上の余地は限られるが。荷室容量は411Lで、ボディサイズを考えれば妥当。後席の背もたれをたたむと、1205Lへ広がる。
6速MTがハイライト 想像より硬めの乗り心地
さて、路上へ出てみよう。バイヨンの1.0Lターボエンジンは、マイルド・ハイブリッドでもない。アクセルペダルに対する反応はやや鈍く、パワーデリバリーは遅れ気味。ターボラグも目立つ。だが市街地だけでなく、高速道路でも充分なパワー感はある。
高負荷時に高まるエンジン音は、洗練度を落とすものの、力強く筆者は嫌いではなかった。6速MTを積極的に操ると、気持ち良くスピードを維持できる。シフトレバーは軽く倒せ、手のひらへ心地良い感触が伝わり、ハイライトの1つといえる。
乗り心地は想像より硬め。キビキビとした身のこなしで、小さなクロスオーバーを特徴付けようとしたのだろう。カーブへ突っ込むと、ボディロールを伴うものの、適度に抑えられている。敏捷性でいえば、Tクロスの方が上だが。
グリップ力はほどほど。連続したカーブを安定して駆け抜けられるが、ステアリングホイールへフィードバックは殆ど伝わってこない。切り始めの反応は、おっとり気味。そのかわり、パワーアシストの効き具合は丁度いい。
不快なほどではないものの、低速域では細かな揺れが続く。大きな窪みなどの衝撃も伝わってくるが、価格帯を考えると、乗り心地と操縦性のバランスは悪くないだろう。
燃費は、カタログ値で18.2km/L。非ハイブリッドとしては悪くなく、現実的な環境でも、この数字へ近づけることは難しくないようだ。
軽快に運転できるクロスオーバー
フェイスリフトを受けたバイヨンだが、ベースにある強みは変わらない。お手頃な価格で、実用的で、適度に快適。軽快に運転できるクロスオーバーといえる。
走り味も、SUVというよりハッチバックへ近い。市街地では扱いやすく、郊外の流れの速い区間では、実際にハッチバックのように運転できる。
ただし、1択しかないエンジンや少し安定しない運転支援システム、内装の素材など、及ばない部分があることも否めない。Tクロスなどの実力派が、このクラスをリードしているが、充分にキャッチアップすることは難しいかもしれない。
◯:不足なくパワフルな3気筒エンジン 明るく開放的で使いやすい車内空間 魅力的な6速MTでの走り
△:プラスティックが多い内装 狭めの後席 硬めの乗り心地
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みんなのコメント
日本に全く関係も無いし記事にする必要は無いな