■1980年代に登場し、一世を風靡したラグジュアリークーペを振り返る
昭和の時代には2ドアクーペが各メーカーから販売され、ラインナップも豊富でした。しかし、2000年代以降はニーズの変化から急減に減少してしまい、とくに小型の2ドアクーペは希少種となってしまいました。
かつて2ドアクーペは若者から人気を得ていただけでなく、幅広い年齢層のユーザーがパーソナルカーやファミリカーとして利用していました。
現在、大型で高額な2ドアクーペは世界的にも富裕層を中心に一定の需要があり、欧州車を中心に販売され、国内メーカーも販売しています。
大型のクーペは1980年代には日本でも高い人気を誇り、まさに隆盛を極めていました。
そこで、1980年代に登場したラグジュアリーかつスタイリッシュな2ドアクーペを、3車種ピックアップして紹介します。
●日産「レパード」
1980年に誕生した日産初代「レパード」は、当時、定番の人気車種だった「スカイライン」や「ローレル」とはデザインコンセプトが大きく異なるスペシャリティカーとして開発されました。
ボディは2ドア/4ドアハードトップセダンのラインナップで、ロングノーズに強い傾斜のAピラー、セダンもクーペスタイルを採用し、伸びやかでスタイリッシュなシルエットを実現。
フロントフェイスは2種類あり、スタンダードなレパードは異形コンビネーションヘッドライト、販売チャネルが異なる「レパードTR-X(トライエックス)」では、角目4灯が採用されました。
エンジンは1.8リッター直列4気筒、2リッターと2.8リッター直列6気筒が設定され、1981年には2リッター直列6気筒ターボの「L20ET型」を追加されました。
装備はゴージャスかつ先進的で、上級グレードには本革シートやクルーズコントロール、世界初の電子マルチメーター、ドライブコンピュータなどが標準装備され、1982年のマイナーチェンジでは世界初の光通信ステアリングスイッチを採用しました。
さらに、同じく世界初のワイパー付きフェンダーミラーや、日本初のオートボリュームコントロールオーディオなど、さまざまなアイデアが盛り込まれていました。
その後、1986年に2代目へとフルモデルチェンジして、ドラマ「あぶない刑事」でおなじみの2ドアクーペのみとなり、よりスポーティなラグジュアリークーペへと変貌を遂げました。
●ホンダ「レジェンド 2ドアハードトップ」
ホンダは1986年に、アメリカで高級車ブランド「アキュラ」を立ち上げ、フラッグシップモデルとして1985年に日本で発売されたのが、ホンダ初のラグジュアリーセダン「レジェンド」です。
外観はボンネットラインを低く抑えたフォルムにブリスターフェンダーを採用するなど、ホンダらしさあふれるスポーティな印象で、新開発の2リッターと2.5リッターV型6気筒SOHCエンジンを搭載。
室内はFFならではの広さを誇り、本革や本木目パネルを積極的に採用するなど、英国調の気品ある空間を演出していました。
そして、1987年にはクーペモデルの「2ドアハードトップ」を追加ラインナップ。
ボディサイズは全長4775mm×全幅1745mm×全高1370mmと低くワイドで、外観はセダンのエッセンスを残しながらも、フロントフェイスなどのデザインはクーペ独自とされました。
内装はセダンに準じた意匠ですが、パーソナルクーペとして仕様はセダンよりもさらにラグジュアリーな印象です。
エンジンは2ドアハードトップ専用に最高出力180馬力の2.7リッターV型6気筒SOHCエンジンを搭載するなど、セダンと差別化されました。
その後、1980年に2代目レジェントが登場。1991年には2ドアクーペの「レジェンドクーペ」がデビューしましたが、この代を最後にレジェンドの2ドア車は消滅しました。
●トヨタ「ソアラ」
トヨタは1967年発売の3代目「クラウン」から2ドアクーペを設定しており、高級パーソナルクーペ市場をけん引する存在でした。
その後、1979年に登場した6代目クラウンまで2ドアクーペが設定されていましたが、1981年には初代「ソアラ」が誕生し、以降はクラウンのラインナップから2ドアクーペは廃止。
ソアラの外観はロングノーズのエレガントなフォルムで、ラグジュアリーかつスポーティなイメージを押し出すことで、ユーザー層もクラウン時代から大きく若返りを果たし、ヒット作となりました。
外観の美しさだけでなく、グラフ表示式のタコメーターやデジタルスピードメーターを配置した「エレクトロニックディスプレイメーター」、コンピューター制御によるオートエアコンなど、先進装備も大いに注目されました。
発売当初、エンジンはトップグレードの「2800GT」に2.8リッター直列6気筒DOHCを搭載し、そのほかのグレードも全車直列6気筒エンジンで、トランスミッションは5速MTと4速ATを設定。
1985年のマイナーチェンジでは2.8リッターから3リッターエンジンに換装するなど、さらにラグジュアリー志向を高めました。
そして、1986年に2代目が登場すると、デザインは初代からキープコンセプトとされ、好景気に湧いていたことや、中流意識の高まりという時代背景もあって、高額なモデルながら初代以上のヒットを記録しました。
※ ※ ※
今では考えられないことですが前述にあるとおり、昭和の時代はクラウンやレジェンドなど高級セダンでも2ドアクーペがラインナップされていました。
ほかにも日産「セドリック/グロリア」にクーペが設定されていましたが、それほど需要があったということです。
大型クーペはそのボディサイズを生かし、スタイリッシュなモデルが多い印象で、それは昭和も令和も不変といえるでしょう。
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みんなのコメント
デジタルメーターが(当時としては)未来感タップリだったなぁ……。
今のクルマと比べると四角いし、何より小さいよね。