2月16日、トヨタがTNGAによって一新した新型パワートレーンを発表しました。今回は編集的に興味深い、新型CVTと4WD、2つの新技術を中心に紹介します。
■発進用ギアを備えた世界初の乗用車用CVT(写真1枚目)
プーリーと呼ばれる向かい合わせた2個の三角すいの径(断面)を連続的に変化させ、無段変速を実現するCVTトランスミッションに、CVTが苦手とするロー側=発進時専用のギアを追加した、乗用車では世界初のシステムで、正式名は「Direct Shift-CVT」。
ギア駆動の力強い発進加速が可能で、アクセル操作に対するもたつき感も改善し、スムーズで気持ちのいい発進性能を実現。ギアからCVTに加速を引き継ぐ際のショックも、従来のATのノウハウで滑らかにできるそうです。
ロー側をギアが受け持つことで、変速比幅も2.0Lクラストップの7.5を実現。同じ理由から、ベルトの狭角化やプーリーの小型化も実現して、変速速度が20%向上。価格は従来のCVTよりやや高くなりそうですが、弱点をカバーした新型CVTの実力に注目です。
■後輪への駆動系を完全に切り離せる4WD
エンジン車用(HV車用とは別)に開発された新型4WDシステム「ダイナミック トルク ベクタリングAWD」は、走行状況に応じて、リヤのトルクを左右独立で制御するトルクベクタリング機構が採用され、旋回性能や悪路での走破性能が向上しています。
そしてこの4WDの注目は、前後の車軸に設けた世界初の「ラチェット式ドグクラッチ」で、前後輪の車軸とプロペラシャフトを完全に切り離すことができること。欧州メーカーにも、多板クラッチなどで切り離す類似のシステムはあるのですが、トヨタの4WDシステムはドグクラッチ(歯型を噛み合わせる断続機構)によって機械的に完全に切り離せるため、オイルの引きずり抵抗などもなく、燃費で有利とのこと。
・・・他にも、7kgの軽量化と24mmの全長短縮を実現した「新型6速マニュアルトランスミッション(写真2枚目)」。高速燃焼技術などで40~41%という世界トップの燃焼効率を実現した「ダイナミックフォースエンジン(写真3枚目)」の2.0L版の追加(2.5L版はすでに新型カムリに搭載)。4代目プリウス用をベースに新開発した「2.0Lトヨタハイブリッドシステム(THSII)(写真4~6枚目)」。後輪の駆動トルクを1.3倍に増加させ、新制御の駆動配分システムを採用したHV車用4WDシステムの「新型E-Four」も発表されました。
・・・C02削減のためには電動化はマストで、トヨタも2030年に“電動車”の販売比率を50%(うちEVとFCV=水素燃料電池車は10%)へ引き上げると宣言しています。しかしこれは、2030年でも10%のEVとFCVを除く90%の新車がエンジンを持っているということ。つまり、エンジンの省エネ技術を引き続き磨くことは、最も効果の高い地球温暖化への対策のひとつなんですね。
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